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精神科医師のブログ。
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HDS-RとMMSE

2013年01月20日 | Weblog
認知症の神経心理学的検査として用いられるミニメンタル(MMSE)と長谷川式簡易知能スケール改訂版(HDS-R)はよく似ているが、個人的には長谷川式の方が良くできていると感じる。





もっともこの2つの検査はどちらも30点満点であり質問項目にも共通のものも多くスコアは9割程度相関するといわれる。
ミニメンタルは言語機能(聴理解、書字など)や構成障害も入っているが、見当識の検査もちょっと細かくわかりにくい。(たとえば何地方?とか当地では答えが定まらない。)
長谷川式は特にアルツハイマー型認知症で障害される複数の要素がバランスよく入っており、3語再生の配置や野菜の名前10個が秀逸であると思う。

長谷川式は1991年に改訂されたが、改定版前の長谷川式(1974年に開発、終戦の年は?とか、今の総理は?とかが入っているやつ。)までいれればMMSEより歴史がある検査だ。
しかし治験やデーターベースなど学術的にはMMSEが国際的に広く用いられている。
長谷川式は英語版が標準化されておらず世界では使われていないからだろうか。

個人的には長谷川式に時計描画(CDT)と立方体模写を組み合わせが臨床的に一番よいとおもう。
長谷川式の一部の質問とCDTを組み合わせたような簡易スクリーニングの標準化も行われているようだ。

FTLDが疑われればこれにFABなどを組み合わせるのがよい。
MMSEは著者が著作権を主張しており、有料になる可能性もあるというきな臭い話もある。(→こちら
(1テストあたり1.23ドル!)

日本人なら長谷川式を応援しよう!
といいつつ安曇総合病院でもアメリカンスタンダードにまけてMMSEをとることになってしますが・・。

(略語がわけがわからない読者の方にはすみません・・)

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