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精神科医師のブログ。
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映画『アキハバラ@DEEP』の考察

2006年09月24日 | Weblog
 映画はもっとも手軽な気分転換だ。現実逃避をしたいときによく使う。

 車で20分くらいのところにそれなりのシネコンがあり大手の配給ものの映画はたいてい見られるので月に1度くらい行く。たいていレイトショーだ。学生のころは市民ファンがお金を出し合ってつくったミニシアターがあるくらいのそれなりに大きな町だったので隠れたヒットを探すのが楽しみだった。しかし今いるくらいの町ではかなわぬ夢か。病院内にも映画館があればいいのにと思う。(つくりますか。)

 ジャンルとしては、ジェットコースタームービーも、お仕着せ感動作品も見ていて疲れるので、邦画、洋画、アジア映画を問わず、ポップ系の映画が最近の好み。何を見るかはそのときの気分にもよるが・・・。

 さて、映画版のアキハバラ@DEEPを見た。自分的にはかなりツボにはまったが、きっと好みは分かれるんだろうなぁと思う。もうすぐ終了なのでまだ見てない方お早めに。

 ストーリーその他は公式サイトを参照。格差社会、オタク、WEB2.0、オープンソースなどなどのまさに瞬な要素、トピックスを盛り込んだ内容。突っ込みどころ満載ですがなかなか楽しめました。

以下は本編をみていることが前提の記述です。ネタバレ注意です。

医学的考察

@DEEPのメンバーはU77世代。おたくというかハッカーはやはり自閉系が多いのか?

リーダーのページ(グーグルのページからの連想?)は、おそらくはアスペ。どもりもあり、チームでのコミュニケーションでもチャットを使っている。小学校のころのいじめの回想シーンもでてくるところなんか典型的。

すこしMRチックな雰囲気も残す、タイコは光パルスですぐに癲癇発作を起こしてしまう。

ボックスは清潔にこだわる強迫神経症。独自のスタイルをつらぬく。でも、ちょっとキャラは薄いかな?

紅一点のアキラは子供のころのDV(Domestic Viorence)を受けたアダルトチルドレンだ。メイド服のシーンも、格闘のシーンもなかなか良いです。

そして冷静なイズムは、紫外線にあたることのできない病気(色素性乾皮症?)で昼間は月夜に遊ぶ天使たちみたいな紫外線防護服を着て外出する華奢な少年。実は高校は飛び級で進学し実はMITを入学中という天才。

@DEEPのメンバーが「やろうぜ」というサインはみんな机をたたくなどもADHDチック。(ADHDの大人の多動は貧乏ゆすりや、机をたたくなどの形で現れることが多い。)

 そして悪役、デジタルキャピタルのCEOの中込はサディスティックな中年。オタクのカリスマを装っているが敵も多い。なついてくる人には甘いが逆らうやつにはこれでもかというくらい冷酷な仕打ちをする独裁者。。デジキャピ内にカースト制度さながらの格差社会をつくって徹底的に搾取もおこなう。
 
 金にものを言わせて少女を飼育する変態であり、これでもかというくらい典型的な悪役に仕立て上げられている。こんなリーダーについていくか普通?

 脇役もキャラが立っていてよい。中込のセキュリティサービス隊長で第二秘書のクールな渡会もいい味を出している。

あと、自白剤(イソミタール?)を筋注と皮下注の中間みたいな打ち方して場面もあったが、すぐに効くのか?

 そしてダリットのリーダー加藤が意識不明がどれだけ続くかわからない重態になるまでボコられてたけど、高次脳機能障害を行遺してないか心配。


IT的考察
 こちらも突っ込みどころは満載、細かいことを言えばきりがないが映画の演出ということで・・・。

 デジタルキャピタルはWEB0.5~1.0のビジネスモデル。クルークをベースに開発したスクープにしろ、βテストもせずに、●月●日に発売など、まるでWindows95の発売時みたいなやり方。強引な買収、応じなければ叩き潰す手口などはマイクロソフトを髣髴させる。

 背景となるテーマは、ネットの自由。WEB1.0とWEB2.0との戦い。@DEEPのリーダーがページ(googleの基礎技術をつくったエンジニアの名前。)というのもそれを示唆しているだろう。最後のシーンでの中込の「どうして君たちはそんなにネットの自由にこだわるのか。」という発言が象徴的。しかし@DEEPはユイのライフガードをもとに発展させたクルークでどういうビジネスモデルでどのように生活をしていこうとしていたのだろうか?

 ちなみにこの映画、国産サーチエンジンの草分けで唯一存在感を示せているGooが協賛しているところなど意味深。

映画の内容に関して
 ストーリー自体は青春もの、悪役と主役の色もはっきりしていてわかりやすい。最後のデジキャピ本社への討ち入りのシーン。ダイハードを髣髴させるアクションシーン満載。サービス旺盛で安心してみることができ、まるで水戸黄門とおもって見ていたら、忠臣蔵だとさ。小ネタも満載でした。

原作も読んでみたいと思った。ドラマは信越放送では10月開始。すでに放映されている他地域での評判もよいようだ。ちょっと見てみたいかも。