リカバリー志向でいこう !  

精神科医師のブログ。
弱さを絆に地域を紡ぎ、コンヴィヴィアルな社会をつくりましょう。

★お知らせ★




思うところがあってFC2ブログに引っ越しました。 引越し先はこちらで新規の投稿はすべて引越し先のブログのみとなります。

発達障害親子ディキャンプ

2006年09月10日 | Weblog
 当直明けの仕事をなんとか片付け、望月みどりの村というところでおこなわれた発達障害の子供の、親子でのディキャンプに途中からお邪魔させていただいた。佐久病院の小児科外来、臨床心理士、リハスタッフを中心とした発達外来が主催して今年で6回目だそうだ。両親や兄弟も参加して非常ににぎやかである。

 研修医の小児科ローテーションのときに、ボランティアで参加して以来2回目。親が講演会で勉強したり情報交換している間、子供には広汎性発達障害(PPD)の子供1人に、看護学生や研修医(事前に学習会あり)のボランティアが1人がついて、アスレチックや体育館で遊ぶ。リハビリの作業療法士や言語聴覚士もスタッフとして参加している。

 今回は公演会の方にもぐりこんで長野県精神保健福祉センターの言語聴覚士の日詰正文さんのお話をお聞きした。あったかい雰囲気の日詰氏は、発達障害の家族や成人の発達障害の方を支援すする活動をされている。言語聴覚士だが、ほどんどケースワーカーのような仕事をしているそうだ。自分の身を振り返っても、非常に思い当たる話も多く参考になった。

 広汎性発達障害といってもアスペルガー症候群などの軽症から、重症までさまざまであるが、まず知ることが重要とのこと。最近、かなり興味をもって、専門書や当事者の書いた本などを読み漁り(コミック「光とともに」や、泉流星氏や、ニキリンコ氏の本などは入りやすい。)、なんとなくわかってきたが、不可解に思える行動の裏にはちゃんと理由があるし、そだてかたにもコツがある。

 マイノリティの彼ら(自分も)が社会でうまくやっていくのは難しい。彼らを理解し、社会でやっていけるスキルを身につけさせ、社会不適応による2次性障害を起こさせないようにすることが重要なのだ。 広汎性発達障害の人は、「見えすぎている、聞こえすぎている。かもしれない。」と考える。そのために刺激を減らすことが重要。
 それから記憶のコントロールが苦手で覚えられない、逆に忘れたくても忘れられない、などの特徴がある。かつての失敗の記憶やいじめられた記憶などが何年もたって突然出てきたりする。

 普通なら考えればわかる、あるいは自然に身につくことも、わからずどうしていいよいかわからなくなってパニックになる。上手にほめ、またしかり、やり方を教え、そのたびに練習して成功パターンとして身につけることが重要。またサインなど視覚による入力を活用する。そして人に聞くという習慣も身につける。そうすれば大きな失敗はしなくなる。

 社会に出て苦労している成人のPPDの方と付き合う仲で日詰さんが伝えたい、PPDの子が身につけておいて欲しいスキルとは

 ① 休み上手になってほしい。
  (熱が出ても気づかない。つかれていてもぶっ倒れるまで気づかない。)
 ② ごほうびの意味がわかるように。
  (社会で働くにあたって、給料の意味などを理解。)
 ③ 仲間とダベる、ぐちるなど、ストレス発散の仕方も練習する。

 ・・・などなどだそうで、自分にとっても非常に参考になる話でした。