僕には、自分でもいつ見たか分からないが、思い出す度に不思議な気持ちになる場面の記憶があります。<o:p></o:p>
一つ例を挙げます。<o:p></o:p>
季節は夏。<o:p></o:p>
花屋さんの涼しい店の中で。<o:p></o:p>
棚のガラス窓を覗くと、たくさんの花が入っている。<o:p></o:p>
そして濡れた目の細かいタイルの上には水の入った青いバケツが置いてあり、その中にはたくさんの小さな金魚が気持ちよさそうに泳いでいる。<o:p></o:p>
それを見ている僕も気持ちがよくなっている。<o:p></o:p>
もう一つ例を挙げます。<o:p></o:p>
これもまた季節は夏。<o:p></o:p>
母親と弟と共に店に入る。<o:p></o:p>
店の中は、冷房が効きすぎる位効いていて、寒い。<o:p></o:p>
そして生の魚の匂いがする。<o:p></o:p>
カウンターの中には板前さんが立っている。<o:p></o:p>
どうやらここは寿司屋らしい。<o:p></o:p>
これらの記憶は現実にあったことなのか、それともかつて見た夢を覚えているだけなのか、判然としない。<o:p></o:p>
確かめたいと思っても、確かめられない。<o:p></o:p>
つまり過ぎてしまったことはみな夢のようになってしまうのだな。<o:p></o:p>
幼い頃の記憶なのかしら…?