プシコの架空世界

ホレホレ触るとはじけるゾ。
理性がなければ狂いません(妄想の形成にも理性の助けがいる)。

クリフ・エフェクト(崖効果)

2014年02月02日 15時34分27秒 | インポート

 

 マット・リドレー著、中村桂子、斉藤隆央訳『やわらかな遺伝子』という本に統合失調症について書かれた章(第4章 狂気と原因)がありましたので、そこから興味深かった箇所を引用させていただきます。

 

 p.162

 

 狂気とはいえ筋が通っている(訳注 シェイクスピアの「ハムレット」にある科白)

 

(略)

 

 統合失調症患者が名家や頭のいい家系に現れることには、昔から多くの人が気づいていた(そこで、クレペリンと同じ時代に生きたイギリス人ヘンリー・モーズリーは優生学を否定した。彼は、精神病の傾向がある人々を断種すると、多くの天才も抹消することになると気づいていたのである)。軽度の障害がある人――「統合失調症型」人間と呼ばれたりもする――は、並外れて賢く、自信と集中力があることが多いのだ。ゴールトンも言っている。「私は、きわめて有能な人間の近親者に、精神異常が多く見られることに気づいて仰天した」

 

 もしかしたら異常さが、華々しい成功を助けているのかもしれない。偉大な科学者、指導者、預言者の多くが精神病という火山の火口の縁を歩き、親類に統合失調症患者がいがちなのは、偶然ではないようにも思える。ジェームズ・ジョイス、アルバート・アインシュタイン、カール・グスタフ・ユング、バートランド・ラッセルには皆、統合失調症の近親者がいた。またアイザック・ニュートンとイマヌエル・カントは、どちらも「統合失調症型」とされている。途方もなく厳密な検討の結果、著名な科学者の28パーセント、作曲家の60パーセント、画家の73パーセント、小説家の77パーセント、詩人の87パーセントに、ある程度の精神障害が見られると結論した研究もある。30年に及ぶ統合失調症から快復し、ゲーム理論にかんする研究でノーベル賞をとったプリンストン大学の数学者ジョン・ナッシュは、症状が出る合間に理性が戻るときはありがたくなかったと言っている。「理性的思考は、人が自分と宇宙との関係を考えるうえで制約を課してしまう」

 

 ミシガン大学の精神科医ランドルフ・ネッセは、統合失調症が進化論的な「クリフ・エフェクト(崖効果)」の一例ではないかと考えている。つまり、有益な遺伝子変異でも、すべての変異がひとりの人間で生じたり、変異が大きすぎたりすると、その段階で突然、複合的影響による災厄がもたらされるというわけだ。痛風は、この種のクリフ・エフェクトをもつ病気である。われわれは、関節内に尿酸が豊富にあるおかげで、早老を免れているのだが、過剰になると関節内に結晶ができ、苦痛に悩まされることになる。統合失調症も、良いものをもちすぎる結果、患うのかもしれない。通常は脳の機能に有益な遺伝的・環境的要因が、あまりに多くひとりの人間に集まりすぎたせいなのだろうか。そう見ると、統合失調症になりやすくする遺伝子が死に絶えない理由も説明できるだろう。それらは、組み合わさらないかぎり、ひとつひとつとしては持ち主が生きていくのに役立つのである。

 

 

 

う~ん。

 

どうでしょうか・・・。

 

けれども統合失調症に対する見方が変わったのは確か。

 

にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 統合失調症へ
にほんブログ村

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 雪の日に | トップ | 長生きするぜ~ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

インポート」カテゴリの最新記事