玉川上水みどりといきもの会議

玉川上水の自然を生物多様性の観点でとらえ、そのよりよいあり方を模索し、発信します

クズ

2016-08-01 02:30:52 | 8月の植物

クズ 2016.8.28

人のもつ感覚ですから、なんとも理屈ではどうしようもないことがあります。私はどうもこの花が好きになれない。ごめんなさい。マメ科の典型的な「蝶形花」で、フジが上からぶらさがるのに対して下から上に登る、これもごくよくあることです。それはいいのですが、この赤みがかった花の色と黄色のもよう。これがフジのように薄紫であればずっと印象は違ったでしょうに。それに葉が異様にといってよいほど大きく、つるの伸びるのの速いことはおそろしいくらいです。そのため、手入れの悪いスギの林などはクズに覆い被さられて枯れそうな木もあるほどです。
 ですから、林業家はクズをみつけるとナタで切ってこまめに森林の手入れをするのですが、クズがほかの国に入るとえらいことになるようで、いやな外来種として嫌われています。
 これが秋の七草のひとつに選ばれているのもやや腑に落ちないとことです。同じようなところに、ツリガネニンジンとかワレモコウなどほかにもよい花がいくらでもあるのに・・・と思うのです。
 「嫌い」というのとは違います。「大味にすぎてちょっと・・・」といったところです。
 ひとつ申し添えるなら、クズには思い出があります。高校生のころ、陸上競技をしていました。真夏に何本も50メートルのダッシュをさせられたものです。終わったときに仲のよかったともだちと、グランドの脇の芝生に倒れこんで空をみながら大きく息をついていました。そのとき、「ファンタグレープ」の匂いがしたのです。「なんでここでファンタグレープの匂いが?」と思いながら視線を動かしたらクズが咲いていました。匂いを嗅ぐとまさにその花から出る香りでした。この花をみるといつもそのときのことを思い出します。


カリガネソウ

2016-08-01 02:19:32 | 8月の植物


 8月28日に玉川上水を通りかかったら、センニンソウがきれいに咲いていました。それを見に行ったら、目立たぬようすでカリガネソウも咲いていました。この植物は茎をおるととても不愉快な匂いがします。花はさわやかな薄紫色できれいです。なかなかこった作りで、花びらの横に広がった2枚をカリガネの翼にみたてたのでしょう。



最大の特徴は花の上にニョキッとのびた雄しべです。側面からみると花から完全に飛び出しているのがわかります。それでは雄しべの意味をなさないように思いますが、私が以前にこの花を観察していて意味がわかりました。マルハナバチが正面の模様をみて花に「着地」すると、その体重で花が下に下がります。そのとき、花と雄しべの構造の具合で、雄しべがグッと下に押し下げられます。すると雄しべの先端がハチの背中をペタンと叩くのです。ハチは吸蜜に夢中ですから、なんだか花が目をもっていて、自分に抱きついてくる馬鹿者の背中をみながらぽんと叩くようです。