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H21年度分解整備事業実態調査緊急レポート(3)気になる工賃売上

2010年07月22日 | 業界動向

おはようございます。株式会社ティオ代表、motown21主宰の山本です。
今日は、H21年度分解整備業実態調査の緊急レポート(3)気になる工賃売上、です。

さて、整備売上でもう一つ見ておかなければならないのが「品目別売上」だ。品目とは、工賃、部品、外注のことである。

この3品目が整備売上の内訳である。この3品目の売上構成によって、粗利益率が変わってくるので、注意しておきたい売上である。

業態別の品目別構成比は、以下のとおりである。
 ・専業工場⇒ 工賃52.5% 部品35.3% 外注12.2%
 ・整備兼業⇒ 工賃46.7% 部品37.8% 外注15.8%
 ・ディーラー⇒工賃43.7% 部品38.9% 外注17.4%

この構成比を前年度比べてみると
 ・専業工場⇒ 工賃-10.6% 部品+15.0% 外注+15.1%
 ・整備兼業⇒ 工賃-0.4  % 部品-15.6% 外注+5.4  %
 ・ディーラー⇒工賃+10.8% 部品-3.2  % 外注-13.4%

専業工場では、工賃売上構成比が前年は58.7%だったものが、本年は52.5%となり、実に伸び率では二桁のマイナスである。工賃売上構成比が減った分、部品及び外注の構成比が高まった。デイーラーはその逆で、工賃売上構成は前年よりも10.8%も伸ばした。

この結果、粗利益率は以下の通りとなった。
 ・専業工場⇒ 62.7%(前年比-8.1%)
 ・兼業工場⇒ 58,9%( 同  -2.6%)
 ・ディーラー⇒61.8%( 同  +5.6%)

専業工場は、売上の減少額は工場平均でマイナス6,089千円(前年比ー14.4%)、粗利益額はマイナス5,985千円(-21.4%)の減少となった。この粗利益額は、整備要員の年間給与の1.7人分(一人当たり3,469千円)に相当する額が減少したことになる。

整備要員の労働分配率は56.8%である。他に使える割合が43.2%しかないことになり、よほど物件費を切り詰めないと、営業赤字または経常赤字になる確率が高くなっている。

したがって、コスト体質をそのままにして、価格競争に加わってはならないのだ。価格競争に加わる資格は、コストの削減が先に達成できてからのことになる。

コスト削減の対象は、「人件費」がまず挙げられる。固定的な賃金制度から変動的な賃金制度、いわゆる成果配分型の賃金制度への移行の検討だ。
また、正社員から臨時社員の検討も必要だろう。

次に、工場経費の見直しだ。特に、工場消耗品を見直してほしい。加えて、在庫経費の削減である。在庫部品、オイル類の在庫、塗料関係の在庫だ、安い時に大量に仕入れるようなことは、止めるべきである。必要な時に必要な量だけを仕入れる。義理や人情に負けれはダメ。

そして、作業時間の短縮である。一台の作業時間を10分縮めたら年間で短縮できる時間は莫大な量になる。一度計算してみてほしい。たかが10分などと思っているようでは、価格競争に勝利することはできない。

価格競争とは、体力競争でもある。大飯ぐらいのコスト体質であれば、スリムにしていかなればならないのだ。



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