気ままな旅


自分好みの歩みと共に・・

「からくり箱」を開けた今日の散歩でした。

2018-04-11 17:06:57 | エッセイ

 いよいよひと月もすると、この街も花一面に覆われる街並みになる。全て、借景である。でも、街中の路を歩かなければ享受できない。 日頃の脚の鍛錬の賜物が利いてくる。 早朝から陽射しはさしているが、春風が強い。散歩をかねて医者に行くこにした。 アップダウンのある坂道を700m程の距離だ。花盛りはまだ早いが陽射しを浴びて歩きたい。 往復は無理だ。妻の声が「タクシーを呼びますか」そして、往きは車で帰りに歩くことにした。

 診察を終え、薬を調剤薬局で貰い、杖を突きつき慶應義塾の小学校のグランド脇の坂道をゆっくりと上った。 学童がいない広々としたグランドを眺めた。 ゴルフ場を思わせる芝生が一面に引き詰められていた。ここにも太陽の陽射しが・・・。40分もかかったが爽やかな清々しい気分になれた。

 昼食後、食後の疲れがくる。 「休んでくる・・」ひと言言うと床にはいった。 1時間程して目が覚めた。 「頑張って、引き続き整理するか・・」そして本棚の前に立った。 

 一向に進まない自室の整理をしていて昔から捨てきれずにある「からくり箱」がある。箱根の寄木細工で様々な種類の木を組み合わせ、木の温もりを感じさせるモザイク模様の伝統民芸品である。

 だが、何でここに昔からあるのかな? 記憶が間違っていなければ、中学の卒業旅行の記念に買ったものだ。 箱根には当時もう行けたんだ。 芦ノ湖での写真もある。箱のルーツが判明。 そう言えば子供の頃から大事な小さなものはこのからくり箱に仕舞っていた。 中身はもう、出してしまった筈だ。 でも、箱を振ると何か音がする。 小判でも入っているような気分で開けてみたくなった。だがそう簡単には開かない。 69年もたった年数の代物だ。 手順数は4回である。 記憶には自信がある。 堅くて15分も挑戦した。「開いた。空だ」何も入ってはいなかった。 しかし、よくよく考えると、中学時代の想い出は詰っていた。 だから、「自分史」を記述することができたのだ。 そのように思いたい。 

 これまで一度も気にしたことがなかったことが今度は気になった。       このからくり箱を買った時期は昭和24年の春。終戦後とは言え・・。「箱根」の文字がローマ字の「HAKONE」が気になった。箱根は戦前から国際的だったのなら戦時中は・・・と独り言をつぶやいた。

 こうして、今日一日はこれと言ったこともなく終わった。 

終わり