マクロ経済そして自然環境

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安倍政権、改憲までの経済政策二つのトリック

2013-11-27 09:36:17 | Weblog

秘密保護法が衆議院で可決された。“修正“賛成のみんなの党や自民党からさえ造反が出た。政権と国民世論との摩擦は時間とともに大きくなるばかりである。首相自身この先どう乗り切るか聊かならず頭が重いことであろう。恐らくはその中では60年安保で国会外多数を無視した岸首相の事を考えていることだろう。世間が反対していても“美しい国、日本“を取り戻すのが私の使命だとしておそらく今後も強硬姿勢で臨むつもりである。(ここまで来ては彼も引くわけには行かないからである)

 

ところでここまで強硬に進めようとする背景には世論調査での一定の支持率があるからである。逆にいえばそれをテコにして安倍首相にとっての本来的目的戦前型軍事独裁国家を一気に作ろうというのがその戦略であろう。改憲まで出来るのか?と言うような事が一般的観測としてはあったと思いますが今回の強行突破を見るなら長期政権の維持、改憲、“国防軍“設置まで本気で考えていると言うべきである。石波幹事長の言うように、“死刑や無期懲役をもつ軍事法廷の設置“も含まれる。

 

 

ところでこの間の彼の経済政策を見るならそこにはまず大事にさるべき国民生活の事は粗考えていないのは年金一律2.5%カットや生活保護10%切下げ“限定つき正社員制度(使用者側の都合で解雇が楽な正社員)の導入等々みれば明らかである。彼の“アベノミクス“の基本的脆弱性は経済の再生産構造の基底となるべき個人消費、個人の所得改善の直接的方策がなんら示されていないと言う事で明らかである。(これ抜きではどんな“持続的“再生産、成長も困難である)

 

 

政権当初、“大胆な金融緩和“とか言いつつ実際この間の一定の大企業中心的景況感の改善には、はからずもなった円安、更にもう一つの手段である財政出動、公共事業による短期的効果が現在出ていることによる物である。

 

 

 しかし上記軍事独裁国家実現の野望を持つ彼としては少なくとも中期、本音から言うなら長期政権を目指している訳で、今後の社会一般的景況を持続的に煽らなければならない。ここにきてその手段として出ているのが一つ目としてはオリンピック誘致を根拠にしつつそれを言えば公共事業もある程度多くとも容認されるとの“雰囲気“は既に生じている。例えば“東京オリンピックは既存の施設やインフラを活用するため、新規に建設される施設は少ないといわれている(目玉は総工費1300億円から2000億円といわれる新国立競技場)。だが関連の道路整備などを前倒しで実施するケースが出てくることや、地方での観光インフラ整備などが活発化する可能性があり、専門家の中には数十兆円の公共事業になる“との見方を示す人もいる。

 

と言うことでこの関連公共事業の正確な額をここでは述べられないが財政危機を考えれば当然公共事業費は抑制さるべきであるが、オリンピックと言うことでの“国民的興奮“はそれを 頓挫させる可能性が大きい。それが又彼のうそをついてまで誘致した理由である(財政再建、プライマリーバランス等は彼にとって二の次、三の次なのである。目標はあくまで改憲、国防国家であるからして。)

 

 

 

その次に一般的景況を煽る手段は、株価対策である。これは今年7月の参議院選挙でも活用したがこれをなるべく長く一定水準に保ち世間の雰囲気を変えさせないことである。そのためにどうするか?これは今月20日に発表された“年金資金運用有識者会議“の提言で、21日付け日経には“国債主体の資金配分の見直しを提言、成長株に重点を置く株式投資に加え“とし、伊藤座長は“2%の物価上昇を目指す現状を踏まえ見直しが必要“との見解を示し、具体的運用割合は示されなかったが、それにつき、同日付け日経では証券系役員の言葉としてGPIF(年金資金)について“現在12%の国内株式について17%程度まで引き上げられる可能性がある“としているが、25日の日経では22日にテレビ番組で同座長が私案として国内債権を現在の60%→35%、国内株式、外国債券、株式それぞれ12%→20%とする案が示された。25日の日経の観測者によれば本当にそれをやれば円安、株高は数年続く としています。

 

ここで問題なのは割合が減らされた国債をどうするかであって当然これを読んだ方はお分かりと思いますが、そう“日銀に買わせればいい“と言うことである。しかし既に国債市場に於いて日銀の占める割合は6~8月発行の10年債で44%、9~10月発行10年債で36%になっており(11月19日日経)このまま続けるなら実質的国債の日銀引き受けに限りなく近づく。又家計の2012年度末での金融資産総額1574兆、その内預金・現金848兆、証券228兆、保険・年金等433兆、借入を引くと純金融資産は1207兆円であり、その中には証券運用ではない実物経済面の貸出もある訳で証券用途はこれより少ない。(銀行114行の2012年9月期単独決算の預貸率は68.3%、因みに民間非金融法人は金融資産はマイナス)それがあればこその銀行引き受けであり、無制限的に買い込む事が出来るわけではない。ある意味、アベ式“経済政策“の弱点はここにあり、国債市況の維持がその頭から事実上抜けているわけでそれが齎すかもしれない近未来の金融市場の状態は彼にこそ責任をとって貰わなければならない。

 

 *仮に預貸率の残が証券用途と考えるなら848-364(借入)=484×0.32=154+228+433+62=877兆円であり現在の政府総債務(2013年3月末)

1121兆円はそれを超える。因みに同月末の日銀保有証券は136兆円である。

 

 

尚、ここで政府負債を考える時に資産部分を控除するなら資産503-負債1121=△618兆円であり上記家計資産が877兆円-618兆円=259兆円でありそれを各年の新発債約40兆円(2013年度で約42兆円)で割るなら6年余でその値に達する訳であり、このままの状態では近年中に極めて危険な状態に達するわけであり、現時点では与党の方針ではその危機を避ける事は極めて困難である。(計算すれば分かるように新発債を30兆円に抑えても10年しかない)

 

*当然ではあるが国債が“暴落“を始めた後では遅いと言うことである。

 

 

 

参照:資金循環統計(2013年第1四半期速報)参考図表(2013.6.13発表文)

 

 

 

 

 


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