1/20、関西元気文化圏推進協議会(会長 秋山喜久関西広域機構会長)は、関西から日本を元気にした個人・団体などに贈る第8回「関西元気文化圏賞」大賞に、平城遷都1300年記念事業協会を選んだ。協会の皆さん、おめでとうございます!
朝日新聞奈良版(1/21付)《知事「奈良の歴史力、開花」》によると《「関西元気文化圏賞」の大賞に、平城遷都1300年記念事業協会が選ばれた。大阪市で20日あった贈呈式には、協会理事長の荒井正吾知事と公式マスコットだった「せんとくん」が出席した。平城遷都1300年祭は昨年1年間、平城宮跡や県内各地の寺社などで開かれ、全国から多数の人が訪れた。同文化圏推進協議会(秋山喜久会長)は、協会について「歴史・文化遺産などを活用し、バラエティーに富んだ催しを展開。奈良県のみならず、関西の観光振興に大きく貢献した」と高く評価した》。
《荒井知事は「奈良が持つ歴史力が開花し、それを多くの人に楽しんでもらえた結果」とあいさつ。せんとくんは一昨年の同文化圏賞のニューパワー賞に続いて2度目の受賞。トロフィーを受け取ると、深々と頭を下げた。昨年には興福寺の国宝阿修羅像が同文化圏賞の特別賞を受賞しており、県関係の受賞は3年連続になる》。3年連続とはすごい。せんとくん(ニューパワー賞)→阿修羅像(特別賞)→1300年記念事業協会(大賞)と、毎年着実にランクを上げていたのだ。
薬師寺西塔(10.4.8)
今回の贈呈式には、荒井知事(協会理事長)が出席されていた。年末から1300年祭閉幕後の2011年に入ってからも、同祭に関する知事の発言が各メディアで報道されている。いくつかピックアップし、同祭の総括として紹介させていただく。まずは元旦の奈良新聞「新春知事対談」。聞き手は同社の甘利代表である。1300年祭で知事は《売り出すもとを、本物の値打ちを発掘し展示しようと思いました。直ちにお客さんに飛びついたりしないように、「奈良の値打ち」を発掘したかった。奈良の値打ちは関東の人がよく知っている。その反応を見て、分析しようと。案外、近過ぎたら分からなかったりするんですね》。
《予想以上だと感じたのは、奈良に来る人は奈良をより深く知り、親しもうとされていた。奈良をよく知ろうとされ、とても上品に見ていただいたと思います。観光を一過性のものにしないためには、帰る時、どんな気持ちで帰っていただくかが一番のポイントになります。粗末に「もう来なくていい」などと扱っていたら、「奈良は修学旅行以来、来たことがない」ということになってしまう》《そのために「おもてなしの気持ち」を大切にしようと思いました。何度も来ていただいたのは、お客さまが奈良のことをよく知ろうとされたことと、サービスの面でボランティアの存在が大きかったと思いますね。ボランティアを中心に、県の職員も、平城遷都1300年記念事業協会の職員も精一杯のおもてなしをした》。
ポスト1300年について《奈良では宿泊施設の課題もあります。(宿泊客が)あふれて、よそに行ってしまうのは寂しいですね。それと今度よく分かったのはコンベンションの問題です。季節を問わず、奈良のコンベンションはとても喜ばれます。確かに警備は大変ですが、APEC(アジア太平洋経済協力会議)観光大臣会合も成功し、次はサミットを持って来たいという高い目標を持っています》《また南部も「巡る奈良」の継続が課題です》。
「ナント・なら応援団」ガイド事前説明会で(以下の2枚とも)大安寺(10.3.25)
次に、元旦の週刊奈良日日新聞の「荒井正吾知事 新春インタビュー」。聞き手は同社の藤山代表である。知事は《特に、巡る奈良事業の1つとして初の取り組みとなった『奈良大和路 秘宝・秘仏特別開帳』には約391万人の来場者があり、大半の社寺で前年比約2~10倍になった》《平城遷都1300年祭は観光振興の1つのパターンとなったが、このイベントの最大の成功要因は協働の力というか県民、ボランティアの力だと思う》《ボランティアというのは自発的なものであり、民の力。県としては平城遷都1300年祭という場を提供、支援したにすぎず、そこに社寺、観光関係者や地域の方々が参画し、地域イベントなどを展開していただいたわけで、参加者、ボランティアの手によってにぎわいをつくっていただいたと感謝している》。
逆に、1300年祭で浮き彫りになった課題は《やはり、バラエティーあふれる宿泊施設がもっと必要だった。そしてレベルの高いレストラン、コストパフォーマンスに優れた食事場所も必要だったように思う》《経済効果はそこそこあったとは思うが、私としては逆に経済効果を狙わなかったことが良かったのではないかと思っている。財布を狙うと感動は生まれない。財布の後ろのハートを狙わなければ、奈良の観光は良くならないと考える》。
1期4年間を振り返ると《平城遷都1300年祭は行事が先行したが、平城宮跡の国営公園化が印象深い。国営公園化により、世界に比べようのない超一流の観光地となったのではないか。一方で、残念だったのはホテル誘致がなかなかできなかったこと。県外観光客が予約を取れない状況が、ずっと続いている》。
岡寺(10.3.30)
1/30付奈良新聞にも、対談「ポスト1300年 観光 民間パワーで新風」が掲載されている。聞き手は明新社社長の乾昌弘氏(NPO法人奈良元気もんプロジェクト理事長)だ。知事は《平城遷都1300年祭はいろいろな工夫をさせていただき、結果として多くの人に来ていただきました。奈良の本質に気づいていただくとともに、奈良県民に奈良の魅力の本質に目を向けていただくきっかけになったのではないかと思います》《地方のイベントのグレードが高まるように苦心してきましたので、その点ではよかったと思います》。
《奈良県の観光事業で最も反省するべき点は、観光資源を十分に活かしてこなかったということです》《1年間を通じてボランティアの方々にはたいへんお世話になり、平城遷都1300年祭の成功に大きく貢献していただきました》《今回、観光ガイドなど目の前でお客さまが反応するボランティア(活動)がありました。お客さまは奈良のことを深く勉強しておられて、ハイレベルの内容を要求されることも多かった。したがって、観光ガイドももっと自分自身を高めなければということに気づかれ勉強された方が多かったと聞いています。このように、お客さまの満足とともにボランティア自身が高められていくということがある、そのような成長が観光の本質であると私は思います》。
同
県のHPにも、知事の発言がたくさん掲載されている。1300年祭や観光振興に関するものをピックアップする。まずは県職員向けメルマガ(10.12.20付)に掲載された「2010年を振り返って」。《私が奈良県知事となってからは、1300年祭を中心に仕事をしてきたような気がします。今年のはじめは、来訪者が少ないとか、地元であまり盛り上がらないなど、様々な課題があり苦労もありました。しかし、100年に一度しかない巡り合わせの時期ということもあり、4月の平城宮跡メイン会場のオープン以後は、たくさんの方々に奈良を訪れていただくことができました。また、10月8日の「平城遷都1300年記念祝典」では、天皇陛下に「奈良県民の幸せを祈ります」というお言葉を賜りました。奈良県は本当に幸せな県だと思っています》。
西山厚氏による岡寺での現地講話(10.5.21)
《このようなイベントなどを通じて、奈良が多くの人々に見直されてきたことにより、奈良の人も地元を見直し、自信や誇りにつながったということは、大変喜ばしいことです。1300年祭では、物ではなく“歴史の展示”に焦点を当て展開をしたということが、大きなインパクトになったのではないでしょうか。“奈良の持ち物である歴史”というものは、途方もないとても大きな値打ちだったということです。奈良の歴史の素材や奥深さはまだまだありますので、これからも“歴史の展示”に邁進しようと考えています》。
《職員の皆さんには、「1300年祭は職員の研修の場」と言ってきました。1300年祭を通じて、様々な体験ができたと思います。それが、お客さんに喜んでもらうことにつながったり、1ステップ300年祭の成功により、県内の経済活性化にもつながったと思います。アンケートの結果でも、「会場が清潔だった」「ボランティア・職員の対応が良かった」などの答えが多く、それは、職員と関係者の心からのおもてなしがあったからだと思っています》。
《行政がイベントをするということには、まちを活性化させるという大きな目的があります。イベントの舞台が不足しているなら舞台をつくる、舞台に行く花道が不足しているなら花道をつくるという、そんな考え方が大事だと思いま目標達成す。ただハードがあればいいということではなく、舞台として整備することが必要なのです》。
事前説明会・薬師寺(10.4.6)
「平成22年仕事納め式」挨拶(10.12.28)では《10年以上前から県を中心として平城遷都1300年開催の研究会がスタートしておりました。途中で私がバトンタッチをさせていただいたわけでございますが、10年以上の年月をかけてこられた柿本前知事のご努力が今年いろいろな形で実り、成就したというように思います》《特に今年はボランティアの方々には大変熱意をもって参加していただきました。また、心を込めておもてなしをいただきましたので、大変好評でございました。この成功の一番の原動力は、ボランティアの方々のおもてなしの心であったかと思います。そのようなおもてなしの心が残って再び奈良にお越しになる方も多くなると期待をいたします》。
《この事業のなかで、いろいろなことを県庁の我々も学ばせていただきました。県民の方と共にいろいろな地域を興す、平城宮跡の事業よりも地域のイベントにたくさんの人が来られた、あるいは東アジアとの連携で、今まであるものが見直されたと思います。奈良の持っている値打ちが、我々県民が知らなかった値打ちが確認されたという面もあったかと思います。そこにあるがゆえあまり気に留めていなく、また十分な掘り起こしもしていない宝が、随分奈良には埋まっているということを確認した次第です。このような学習の場でもあった平城遷都1300年祭を振り返りながら、奈良がユニークな歴史を持った地域であるということを確認しながら、奈良の発展につなげていければと思う次第でございます》。
「平成23年仕事始め式」(1/4)では、《昨年は遷都1300年、1年通じて行いまして無事終わりました。お正月はやはりホッとした感じがございました》《一つ確認できたのは、県庁がいろいろ率先して、いろいろなご意見には十分耳を傾けながら、率先してチャレンジすると、いろいろな道が開けてくることもあるということは一つの体験であったように思います。チャレンジということで、従来と違った形で事を行わなければいけませんので、従来していなかったから、国の方針でないから、ということでするわけではなく、何かしないといけないというモチベーションがこの地域から、体の中から湧いてくるような仕事ぶりがわれわれの職場にとっていいのかなと感じたところでございます》。
事前説明会・秋篠寺(10.10.13)
そして1/4の定例記者会見では「今年の抱負」を話された。《県庁の役割として、3つ大きな役割といいますか、パワーを発揮すべき分野があるように思います》。3つとは1.分析力、2.構想力、3.実行力である。《1つは分析力です。テリトリーにかかわる情報の分析力を発揮できる組織ですので、行政組織の大きな役割は調査力だと思っていました。その調査は地域性を持っていますので、他の地域との比較、それと国際的な中での比較》。
《分析のない情報はありません。現場の声も一つですが、それはほかの現場の声と比較して初めて情報になると思いますので、たくさん出かけないと情報にならないのが普通です。一つの意見というのは情報にならないという観点からすれば、統計的な手法になりますが、行政の歴史のトレンドと、他府県や他の地域との比較という分析力を、できるだけ地域に還元するというのが県の大きな役目になります》。
《地域の方向をどのように示すのかという構想力ですが、構想はどの分野でも持てるわけなので、いろいろな考え方が出てくると思いますけれども、県はその分析をもとにした構想の方向を提示できます。その提示をどのように実行するかというのは、議会なり世論のコメントを踏まえた上でのことになりますが、分析力、構想力、実行力というのは中間地域を持っている自治体の大きな役目かなというふうに改めて思います》。
《そのようなサイクルを見ていますと、その中で実現する種も出てきますので、種をまいて実現するといろんな仕事も面白くなるのではないかと思いまして、楽しく仕事をしていただきますようにと仕事始め式でのあいさつにつながった次第です。原点に立ち返った仕事を心がけたいと思います》。
1300年祭で、知事はボランティアを高く評価していただいた。活動に関わってきた私としては、大変光栄であり、また有り難いことである。従来、奈良県民は不親切だと言われ続けてきた。県外出身者である私の見るところでは、これは単に「シャイな人が多い」ということであり、根はみんな親切で、もてなしの心にあふれている。
知事からの感謝状贈呈式(10.12.15 トップ写真とも)
あまり誰も指摘しないが、昨年の県民ボランティア成功の最大の要因は、あの「真っ赤な制服」にある。制服を着ると、人が変わるのだ。物怖じしていたり、人見知りしていた人が、生まれ変わったように積極的になり、自信がつく。一旦自信がつくと、制服を脱いでも大丈夫。大切なのは、もてなしの「心」ではなく、もてなしの「行為」なのだ。心を具体的な行動へと駆り立てたのが、あの「制服」なのである。
観光客から見てもあの制服は安心感を与えるようで、私は町なかのお寺で赤いジャンパーを着てガイドをしていて、休憩時間に外へ出ると、よく道を尋ねられた。「今日はよく道を聞かれる日だなぁ」と思っていたが、要は制服を着ていたから「この人なら大丈夫」と思われたのだ。
最後の「1.分析力、2.構想力、3.実行力」は、観光振興にも当てはまる。従来は観光データすら踏まえず、思いつきの構想でとりあえずやってみて、一度うまく行かなかったらもうやめる、ということの繰り返しだった。当ブログで、私が口やかましく「観光データの正確性」にこだわるのは、それがすべての出発点になるからだ。ポスト1300年祭の観光シーズンが、まもなく始まる。今年は奈良県をどのように盛り上げるか、私も今、構想を練っているところである。
朝日新聞奈良版(1/21付)《知事「奈良の歴史力、開花」》によると《「関西元気文化圏賞」の大賞に、平城遷都1300年記念事業協会が選ばれた。大阪市で20日あった贈呈式には、協会理事長の荒井正吾知事と公式マスコットだった「せんとくん」が出席した。平城遷都1300年祭は昨年1年間、平城宮跡や県内各地の寺社などで開かれ、全国から多数の人が訪れた。同文化圏推進協議会(秋山喜久会長)は、協会について「歴史・文化遺産などを活用し、バラエティーに富んだ催しを展開。奈良県のみならず、関西の観光振興に大きく貢献した」と高く評価した》。
《荒井知事は「奈良が持つ歴史力が開花し、それを多くの人に楽しんでもらえた結果」とあいさつ。せんとくんは一昨年の同文化圏賞のニューパワー賞に続いて2度目の受賞。トロフィーを受け取ると、深々と頭を下げた。昨年には興福寺の国宝阿修羅像が同文化圏賞の特別賞を受賞しており、県関係の受賞は3年連続になる》。3年連続とはすごい。せんとくん(ニューパワー賞)→阿修羅像(特別賞)→1300年記念事業協会(大賞)と、毎年着実にランクを上げていたのだ。
薬師寺西塔(10.4.8)
今回の贈呈式には、荒井知事(協会理事長)が出席されていた。年末から1300年祭閉幕後の2011年に入ってからも、同祭に関する知事の発言が各メディアで報道されている。いくつかピックアップし、同祭の総括として紹介させていただく。まずは元旦の奈良新聞「新春知事対談」。聞き手は同社の甘利代表である。1300年祭で知事は《売り出すもとを、本物の値打ちを発掘し展示しようと思いました。直ちにお客さんに飛びついたりしないように、「奈良の値打ち」を発掘したかった。奈良の値打ちは関東の人がよく知っている。その反応を見て、分析しようと。案外、近過ぎたら分からなかったりするんですね》。
《予想以上だと感じたのは、奈良に来る人は奈良をより深く知り、親しもうとされていた。奈良をよく知ろうとされ、とても上品に見ていただいたと思います。観光を一過性のものにしないためには、帰る時、どんな気持ちで帰っていただくかが一番のポイントになります。粗末に「もう来なくていい」などと扱っていたら、「奈良は修学旅行以来、来たことがない」ということになってしまう》《そのために「おもてなしの気持ち」を大切にしようと思いました。何度も来ていただいたのは、お客さまが奈良のことをよく知ろうとされたことと、サービスの面でボランティアの存在が大きかったと思いますね。ボランティアを中心に、県の職員も、平城遷都1300年記念事業協会の職員も精一杯のおもてなしをした》。
ポスト1300年について《奈良では宿泊施設の課題もあります。(宿泊客が)あふれて、よそに行ってしまうのは寂しいですね。それと今度よく分かったのはコンベンションの問題です。季節を問わず、奈良のコンベンションはとても喜ばれます。確かに警備は大変ですが、APEC(アジア太平洋経済協力会議)観光大臣会合も成功し、次はサミットを持って来たいという高い目標を持っています》《また南部も「巡る奈良」の継続が課題です》。
「ナント・なら応援団」ガイド事前説明会で(以下の2枚とも)大安寺(10.3.25)
次に、元旦の週刊奈良日日新聞の「荒井正吾知事 新春インタビュー」。聞き手は同社の藤山代表である。知事は《特に、巡る奈良事業の1つとして初の取り組みとなった『奈良大和路 秘宝・秘仏特別開帳』には約391万人の来場者があり、大半の社寺で前年比約2~10倍になった》《平城遷都1300年祭は観光振興の1つのパターンとなったが、このイベントの最大の成功要因は協働の力というか県民、ボランティアの力だと思う》《ボランティアというのは自発的なものであり、民の力。県としては平城遷都1300年祭という場を提供、支援したにすぎず、そこに社寺、観光関係者や地域の方々が参画し、地域イベントなどを展開していただいたわけで、参加者、ボランティアの手によってにぎわいをつくっていただいたと感謝している》。
逆に、1300年祭で浮き彫りになった課題は《やはり、バラエティーあふれる宿泊施設がもっと必要だった。そしてレベルの高いレストラン、コストパフォーマンスに優れた食事場所も必要だったように思う》《経済効果はそこそこあったとは思うが、私としては逆に経済効果を狙わなかったことが良かったのではないかと思っている。財布を狙うと感動は生まれない。財布の後ろのハートを狙わなければ、奈良の観光は良くならないと考える》。
1期4年間を振り返ると《平城遷都1300年祭は行事が先行したが、平城宮跡の国営公園化が印象深い。国営公園化により、世界に比べようのない超一流の観光地となったのではないか。一方で、残念だったのはホテル誘致がなかなかできなかったこと。県外観光客が予約を取れない状況が、ずっと続いている》。
岡寺(10.3.30)
1/30付奈良新聞にも、対談「ポスト1300年 観光 民間パワーで新風」が掲載されている。聞き手は明新社社長の乾昌弘氏(NPO法人奈良元気もんプロジェクト理事長)だ。知事は《平城遷都1300年祭はいろいろな工夫をさせていただき、結果として多くの人に来ていただきました。奈良の本質に気づいていただくとともに、奈良県民に奈良の魅力の本質に目を向けていただくきっかけになったのではないかと思います》《地方のイベントのグレードが高まるように苦心してきましたので、その点ではよかったと思います》。
《奈良県の観光事業で最も反省するべき点は、観光資源を十分に活かしてこなかったということです》《1年間を通じてボランティアの方々にはたいへんお世話になり、平城遷都1300年祭の成功に大きく貢献していただきました》《今回、観光ガイドなど目の前でお客さまが反応するボランティア(活動)がありました。お客さまは奈良のことを深く勉強しておられて、ハイレベルの内容を要求されることも多かった。したがって、観光ガイドももっと自分自身を高めなければということに気づかれ勉強された方が多かったと聞いています。このように、お客さまの満足とともにボランティア自身が高められていくということがある、そのような成長が観光の本質であると私は思います》。
同
県のHPにも、知事の発言がたくさん掲載されている。1300年祭や観光振興に関するものをピックアップする。まずは県職員向けメルマガ(10.12.20付)に掲載された「2010年を振り返って」。《私が奈良県知事となってからは、1300年祭を中心に仕事をしてきたような気がします。今年のはじめは、来訪者が少ないとか、地元であまり盛り上がらないなど、様々な課題があり苦労もありました。しかし、100年に一度しかない巡り合わせの時期ということもあり、4月の平城宮跡メイン会場のオープン以後は、たくさんの方々に奈良を訪れていただくことができました。また、10月8日の「平城遷都1300年記念祝典」では、天皇陛下に「奈良県民の幸せを祈ります」というお言葉を賜りました。奈良県は本当に幸せな県だと思っています》。
西山厚氏による岡寺での現地講話(10.5.21)
《このようなイベントなどを通じて、奈良が多くの人々に見直されてきたことにより、奈良の人も地元を見直し、自信や誇りにつながったということは、大変喜ばしいことです。1300年祭では、物ではなく“歴史の展示”に焦点を当て展開をしたということが、大きなインパクトになったのではないでしょうか。“奈良の持ち物である歴史”というものは、途方もないとても大きな値打ちだったということです。奈良の歴史の素材や奥深さはまだまだありますので、これからも“歴史の展示”に邁進しようと考えています》。
《職員の皆さんには、「1300年祭は職員の研修の場」と言ってきました。1300年祭を通じて、様々な体験ができたと思います。それが、お客さんに喜んでもらうことにつながったり、1ステップ300年祭の成功により、県内の経済活性化にもつながったと思います。アンケートの結果でも、「会場が清潔だった」「ボランティア・職員の対応が良かった」などの答えが多く、それは、職員と関係者の心からのおもてなしがあったからだと思っています》。
《行政がイベントをするということには、まちを活性化させるという大きな目的があります。イベントの舞台が不足しているなら舞台をつくる、舞台に行く花道が不足しているなら花道をつくるという、そんな考え方が大事だと思いま目標達成す。ただハードがあればいいということではなく、舞台として整備することが必要なのです》。
事前説明会・薬師寺(10.4.6)
「平成22年仕事納め式」挨拶(10.12.28)では《10年以上前から県を中心として平城遷都1300年開催の研究会がスタートしておりました。途中で私がバトンタッチをさせていただいたわけでございますが、10年以上の年月をかけてこられた柿本前知事のご努力が今年いろいろな形で実り、成就したというように思います》《特に今年はボランティアの方々には大変熱意をもって参加していただきました。また、心を込めておもてなしをいただきましたので、大変好評でございました。この成功の一番の原動力は、ボランティアの方々のおもてなしの心であったかと思います。そのようなおもてなしの心が残って再び奈良にお越しになる方も多くなると期待をいたします》。
《この事業のなかで、いろいろなことを県庁の我々も学ばせていただきました。県民の方と共にいろいろな地域を興す、平城宮跡の事業よりも地域のイベントにたくさんの人が来られた、あるいは東アジアとの連携で、今まであるものが見直されたと思います。奈良の持っている値打ちが、我々県民が知らなかった値打ちが確認されたという面もあったかと思います。そこにあるがゆえあまり気に留めていなく、また十分な掘り起こしもしていない宝が、随分奈良には埋まっているということを確認した次第です。このような学習の場でもあった平城遷都1300年祭を振り返りながら、奈良がユニークな歴史を持った地域であるということを確認しながら、奈良の発展につなげていければと思う次第でございます》。
「平成23年仕事始め式」(1/4)では、《昨年は遷都1300年、1年通じて行いまして無事終わりました。お正月はやはりホッとした感じがございました》《一つ確認できたのは、県庁がいろいろ率先して、いろいろなご意見には十分耳を傾けながら、率先してチャレンジすると、いろいろな道が開けてくることもあるということは一つの体験であったように思います。チャレンジということで、従来と違った形で事を行わなければいけませんので、従来していなかったから、国の方針でないから、ということでするわけではなく、何かしないといけないというモチベーションがこの地域から、体の中から湧いてくるような仕事ぶりがわれわれの職場にとっていいのかなと感じたところでございます》。
事前説明会・秋篠寺(10.10.13)
そして1/4の定例記者会見では「今年の抱負」を話された。《県庁の役割として、3つ大きな役割といいますか、パワーを発揮すべき分野があるように思います》。3つとは1.分析力、2.構想力、3.実行力である。《1つは分析力です。テリトリーにかかわる情報の分析力を発揮できる組織ですので、行政組織の大きな役割は調査力だと思っていました。その調査は地域性を持っていますので、他の地域との比較、それと国際的な中での比較》。
《分析のない情報はありません。現場の声も一つですが、それはほかの現場の声と比較して初めて情報になると思いますので、たくさん出かけないと情報にならないのが普通です。一つの意見というのは情報にならないという観点からすれば、統計的な手法になりますが、行政の歴史のトレンドと、他府県や他の地域との比較という分析力を、できるだけ地域に還元するというのが県の大きな役目になります》。
《地域の方向をどのように示すのかという構想力ですが、構想はどの分野でも持てるわけなので、いろいろな考え方が出てくると思いますけれども、県はその分析をもとにした構想の方向を提示できます。その提示をどのように実行するかというのは、議会なり世論のコメントを踏まえた上でのことになりますが、分析力、構想力、実行力というのは中間地域を持っている自治体の大きな役目かなというふうに改めて思います》。
《そのようなサイクルを見ていますと、その中で実現する種も出てきますので、種をまいて実現するといろんな仕事も面白くなるのではないかと思いまして、楽しく仕事をしていただきますようにと仕事始め式でのあいさつにつながった次第です。原点に立ち返った仕事を心がけたいと思います》。
1300年祭で、知事はボランティアを高く評価していただいた。活動に関わってきた私としては、大変光栄であり、また有り難いことである。従来、奈良県民は不親切だと言われ続けてきた。県外出身者である私の見るところでは、これは単に「シャイな人が多い」ということであり、根はみんな親切で、もてなしの心にあふれている。
知事からの感謝状贈呈式(10.12.15 トップ写真とも)
あまり誰も指摘しないが、昨年の県民ボランティア成功の最大の要因は、あの「真っ赤な制服」にある。制服を着ると、人が変わるのだ。物怖じしていたり、人見知りしていた人が、生まれ変わったように積極的になり、自信がつく。一旦自信がつくと、制服を脱いでも大丈夫。大切なのは、もてなしの「心」ではなく、もてなしの「行為」なのだ。心を具体的な行動へと駆り立てたのが、あの「制服」なのである。
観光客から見てもあの制服は安心感を与えるようで、私は町なかのお寺で赤いジャンパーを着てガイドをしていて、休憩時間に外へ出ると、よく道を尋ねられた。「今日はよく道を聞かれる日だなぁ」と思っていたが、要は制服を着ていたから「この人なら大丈夫」と思われたのだ。
最後の「1.分析力、2.構想力、3.実行力」は、観光振興にも当てはまる。従来は観光データすら踏まえず、思いつきの構想でとりあえずやってみて、一度うまく行かなかったらもうやめる、ということの繰り返しだった。当ブログで、私が口やかましく「観光データの正確性」にこだわるのは、それがすべての出発点になるからだ。ポスト1300年祭の観光シーズンが、まもなく始まる。今年は奈良県をどのように盛り上げるか、私も今、構想を練っているところである。
いい記事を読ませていただきました。
特に荒井知事の週刊奈良日日新聞のインタビューで「逆に経済効果を狙わなかったことがよかった。財布を狙うと感動は生まれない。財布の後ろのハートを狙わなければ奈良の観光はよくならない」とされているのは全く同感で、このような考え方のトップリーダーがおられると、これからの奈良がさらに魅力的なものとして、発展し続けると思いました
コメント、お気使いありがとうございます。
今日の発信は奈良を愛する御心「熱い」ですね。私も、今夜気付けば奈良に住まいして30年でした。気持に(楽しかった過去を振り返る)ゆとりを忘れてた14年の生活だったなぁ!。と思いました。
2月2日、行基菩薩の御命日にて、本山から法要に来られ庫裏での法話は「父母恩重経」=ぶもおんじゅうきょう=の訳文を教えて頂きました。
法要日の竹林寺の護寺ボランティアは「おもてなし」も手作りです。
本堂が、30人でいっぱいになりますので、参詣人が増えると途惑う事になるのですが、ご母堂様を孝養なさった場所に墓所を望まれた熱い親子の情が満ちています大僧正の「気」は、何かを感じて頂けるのでは・・・と思ってしまう私です。
> 経済効果を狙わなかったことがよかった。財布を狙うと感動は生まれ
> ない。財布の後ろのハートを狙わなければ奈良の観光はよくならない
はい、このインタビュー記事の中見出しも「財布の後ろのハート狙わねば 奈良の観光に感動は生まれない」でした。私も同感です。
奈良で「美味しくない」といわれる飲食店では、共通して「原価率をミニマムに押さえよう」という意図が透けて見えます。つまり、ダイレクトに財布を狙っているわけです。美味しいものを提供してリピーターになってもらおう、という方向に転換しなければ、奈良の観光は良くなりません。
> コメント、お気使いありがとうございます。
いえ。畳薦(たたみこも)さんや、尼御前さん改め鴨媛(かもひめ)さんが、気づいて下さると良いですね。
> ご母堂様を孝養なさった場所に墓所を望まれた熱い親子の情が満ちています
「父母恩重経」、以前高田好胤さんのご本で読んだことがあります。それにしても、無住のお寺をここまでにされた関係者のご努力には、頭が下がります。またタイミングを計って、お訪ねしたいと思います。