
昨日(2025.4.29付)の毎日新聞奈良版に、〈「笠そば」シカ獣害で休業 あすから ソバの実収穫不足〉というショッキングな記事が出ていた。鹿にそばの実を食べられて、そばが提供できなくなったのだそうだ。
ここは、国営総合農地開発事業(パイロットファーム)として60ha以上の巨大農地を造成して、うち15haでそばを栽培していた。それが鹿に食い尽くされたというから、鹿の食欲には驚かされる。記事全文を紹介すると、

昨年9月の当地のそば畑。毎日新聞の記事サイトから拝借した
「笠そば」シカ獣害で休業 あすから ソバの実収穫不足
地元産ソバだけを使った打ちたてのそばが味わえる奈良県桜井市笠の人気そば店「荒神の里・笠そば」(山本信広社長)が、30日から半年程度の臨時休業に入る。シカによる獣害でソバの実を十分に収穫できなかったためで、新ソバ収穫後の11月初旬の営業再開を目指している。
「笠そば」は笠地区の住人らによって2002年に設立された有限会社。地区内の畑でソバの実を栽培し、店の食堂で「ひきたて、打ちたて、ゆでたて」の「3たて」のそばを提供している。山本社長によると、近年は10~12トンを収穫しているが、昨秋は獣害のため約3・5トンにとどまった。
シカが獣よけの電気柵を飛び越えて畑に入り、ソバの実を食べ荒らしたらしい。他地域産のソバの使用も検討したが、地元産へのこだわりから店舗営業を断念。関連商品の乾めんや「そばかりんとう」の販売も停止するという。
休業は正式には5月1日からだが、4月30日はもともと定休日のため、29日が休業前の最後の営業となる。山本社長は笠そばファンに向けて「苦渋の決断。獣害対策を見直し、新ソバの季節には必ず営業再開します」と話している。【望月靖祥】

ここのそばは、奈良の食文化研究会編著『奈良にうまいものあり!』(なららbooks)の「第1章 郷土料理」でも、大きく紹介されていた。引用すると、
桜井の笠そば
桜井市は、古くから三輪そうめんの産地として知られているが、山里の懐かしい風景が残る三輪山の奥に、地元で収穫されたソバを使った「荒神の里 笠そば処」がある。そば処は、「かまどの神さん」として信仰を集める日本三大荒神(こうじん)のひとつ、笠山荒神社の門前にある。
大和高原国営総合農地開発事業を契機として、造成農地の有効活用を図るため、平成4年(1992)に初めて六反の畑にそばを作付けしたところ、美味しいそばがとれたそうだ。当時、そば粉だけでは利益が少ないという理由で、これを活用するために細々と村の女性部でそば処を開いたという。
そんな山間部のそば処だが、やがて口コミで評判が広がり、マスコミにも取り上げられるようになった。そばは救荒作物(飢餓を救った作物)で、お米は収穫までに180日かかるが、そばは約70日でとれる。しかも寒さにも強い。宮沢賢治『雨ニモマケズ』の「サムサノナツハオロオロアルキ」で象徴された冷夏の時、稲が育たなくても、ソバは育ったのである。
笠のそばも1回や2回、霜にあたっても倒伏しない品種だそうだ。笠地区はソバ作りに大切な気候、風土、寒暖の差が信州と同じで、そば作りに適している。笠の自然が育てた、奈良県産のソバである。
そば打ち体験では、自分で打ったそばをざるそばにして食べることができる。8月中旬にそばの種が蒔かれ、9月中旬には真っ白いそばの花が里山一面に咲き誇る。例年11月中旬には新そばが出る。
ああ、それにしても、あのおいしいそばが秋まで食べられないとは、残念無念!
ここは、国営総合農地開発事業(パイロットファーム)として60ha以上の巨大農地を造成して、うち15haでそばを栽培していた。それが鹿に食い尽くされたというから、鹿の食欲には驚かされる。記事全文を紹介すると、

昨年9月の当地のそば畑。毎日新聞の記事サイトから拝借した
「笠そば」シカ獣害で休業 あすから ソバの実収穫不足
地元産ソバだけを使った打ちたてのそばが味わえる奈良県桜井市笠の人気そば店「荒神の里・笠そば」(山本信広社長)が、30日から半年程度の臨時休業に入る。シカによる獣害でソバの実を十分に収穫できなかったためで、新ソバ収穫後の11月初旬の営業再開を目指している。
「笠そば」は笠地区の住人らによって2002年に設立された有限会社。地区内の畑でソバの実を栽培し、店の食堂で「ひきたて、打ちたて、ゆでたて」の「3たて」のそばを提供している。山本社長によると、近年は10~12トンを収穫しているが、昨秋は獣害のため約3・5トンにとどまった。
シカが獣よけの電気柵を飛び越えて畑に入り、ソバの実を食べ荒らしたらしい。他地域産のソバの使用も検討したが、地元産へのこだわりから店舗営業を断念。関連商品の乾めんや「そばかりんとう」の販売も停止するという。
休業は正式には5月1日からだが、4月30日はもともと定休日のため、29日が休業前の最後の営業となる。山本社長は笠そばファンに向けて「苦渋の決断。獣害対策を見直し、新ソバの季節には必ず営業再開します」と話している。【望月靖祥】

ここのそばは、奈良の食文化研究会編著『奈良にうまいものあり!』(なららbooks)の「第1章 郷土料理」でも、大きく紹介されていた。引用すると、
桜井の笠そば
桜井市は、古くから三輪そうめんの産地として知られているが、山里の懐かしい風景が残る三輪山の奥に、地元で収穫されたソバを使った「荒神の里 笠そば処」がある。そば処は、「かまどの神さん」として信仰を集める日本三大荒神(こうじん)のひとつ、笠山荒神社の門前にある。
大和高原国営総合農地開発事業を契機として、造成農地の有効活用を図るため、平成4年(1992)に初めて六反の畑にそばを作付けしたところ、美味しいそばがとれたそうだ。当時、そば粉だけでは利益が少ないという理由で、これを活用するために細々と村の女性部でそば処を開いたという。
そんな山間部のそば処だが、やがて口コミで評判が広がり、マスコミにも取り上げられるようになった。そばは救荒作物(飢餓を救った作物)で、お米は収穫までに180日かかるが、そばは約70日でとれる。しかも寒さにも強い。宮沢賢治『雨ニモマケズ』の「サムサノナツハオロオロアルキ」で象徴された冷夏の時、稲が育たなくても、ソバは育ったのである。
笠のそばも1回や2回、霜にあたっても倒伏しない品種だそうだ。笠地区はソバ作りに大切な気候、風土、寒暖の差が信州と同じで、そば作りに適している。笠の自然が育てた、奈良県産のソバである。
そば打ち体験では、自分で打ったそばをざるそばにして食べることができる。8月中旬にそばの種が蒔かれ、9月中旬には真っ白いそばの花が里山一面に咲き誇る。例年11月中旬には新そばが出る。
ああ、それにしても、あのおいしいそばが秋まで食べられないとは、残念無念!

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