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tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

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田中利典師の「賢者は未来を計る」(書き下ろしエッセイ その2.)

2025年04月08日 | 田中利典師曰く
今日の「田中利典師曰く」は、〈愚者は常に過去を怨み、賢者は常に未来を計る〉(師のブログ 2019.2.1 付)。利典師は、毎日新聞から連載の依頼を受け、6編のエッセイを書き下ろされた。しかしその企画がボツになったので、師はご自身のブログとFBに、それらを掲載された。
※トップ写真は、ウチの近隣公園の桜(コロナ禍の2020.3.30 撮影)

過去にブログなどに紹介された「今日の一言」からお気に入りの言葉を選び、文章を起こすという趣向だ。今回はその第2弾である。以下に全文を紹介する。

「愚者は常に過去を怨み、賢者は常に未来を計る」
人生の答えは過去にはない。人生の答えは未来にこそある。私はそう思っている。しかし人間は往々にして、その答えを過去に求めがちである。

「あのときこうしておけば」「あんな人に出会わなければ」「あの事故さえなければ」…などなど、過去に起こった出来事や後悔に、いつまでも思い煩うのが人間の性(さが)と言える。

そこには、元には戻らない現実の答えを、過去に探そうとする愚者の姿を見る。しかし、過去に答えはないのだ。過ぎ去った事象は、どんなに思いを馳せようと、どんなに恨みを込めようと、取り替えることはできないし、過去に戻ってやり直すことなど出来ないのである。

逆に、答えは未来にはたくさんある。未来はいろんな可能性と多くの答えに満ち満ちている。過去の失敗から立ち上がり、あらたな自分を見いだす機会はいくらでも用意されているのである。

障害者スポーツで活躍する選手を見ていると、本当に勇気づけられる。足を亡くした少女がいた。きっと大きな大きな不幸に心は砕けたことだろう。しかしその悲しみの底から、いまの自分が出来ることを見つけ出し、不幸な過去を振り払うかのように、けなげに戦うその姿。

まさに過去を怨まず、自分の未来を計ろうとする、賢者そのものである。過去に答えを探そうとする人間の性を乗り越えて、未来に答えを作り出す賢者でありたいと、私も願うものである。

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昨日に続いて、某紙のために書き下ろした文章です。没になったので、未発表です。実は長年書いてきた「今日の一言」というつぶやきの中で気に入った言葉を元に、文章を起こしてみたという試しの作品。まだいくつか書きためています。よろしくければどうぞ。
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