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空飛ぶ「天磐船(あめのいわふね)神話」から楼門にプロペラ、矢田坐久志玉比古神社(大和郡山市矢田町)/毎日新聞「やまとの神さま」第42回

2023年05月10日 | やまとの神さま(毎日新聞)
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は木曜日(月3回)、毎日新聞奈良版に「やまとの神さま」を連載している。先月(2023.4.20)掲載されたのは〈門にプロペラ「航空祖神」/矢田坐久志玉比古(やたにいますくしたまひこ)神社(大和郡山市)〉、執筆されたのは、大和郡山市在住で奈良まほろばソムリエの会理事の大江弘幸さんだった。
※トップ写真は、プロペラが奉納されている矢田坐久志玉比古神社の楼門=大和郡山市矢田町で

この神社は何と言っても、楼門のプロペラでよく知られている。空を飛ぶ岩造りの「天磐船(あめのいわふね)神話」から、「航空祖神(そしん)」とあがめられているのである。では、全文を紹介する。

矢田坐久志玉比古神社(大和郡山市)
矢田坐久志玉比古(やたにいますくしたまひこ)神社は、矢田丘陵から東に広がる田園地帯にある古社です。主祭神の櫛玉饒速日命(くしたまにぎはやひのみこと)は、天照大神の孫の邇邇芸命(ににぎのみこと)が、九州日向の高千穂峰に降臨するよりも以前に天降(あまくだ)った神さまと伝わります。

櫛玉饒速日命は当初河内国に降り立ちますが、宮の地を求め再び岩でできた天磐船(あめのいわふね)に乗って天空を飛び、3本の矢を放ち、落ちた場所を宮と定めることにしました。社伝によれば2番目の矢が落ちた場所がこの神社で、別名「矢落(やおち)大明神」とも呼ばれ、境内には「二の矢塚」があります。

神社の東南の小字「一の矢」という場所には「一の矢塚」があり、また土地の人が古くから「みやどこ(宮所)」と呼ぶ北西の場所には、「三の矢塚」があります。

主祭神とともに祀られている妻の御炊屋姫命(みかしきやひめのみこと)は、この地の大豪族・登美長髄彦(とみのながすねひこ)の妹でした。長髄彦は日向の地を出て大和に入った邇邇芸命のひ孫の神倭伊波礼毘古命(かむやまといわれびこのみこと、後の神武天皇)と戦い、破れました。

石造りの鳥居をくぐると正面には立派な楼門があり、飛行機のプロペラが奉納されています。これは空を飛ぶ天磐船神話から当神社が「航空祖神(そしん)」とあがめられていることに由来します。神代と今をつなぐ古社です。(奈良まほろばソムリエの会理事 大江弘幸)

(住 所)大和郡山市矢田町965
(祭 神)櫛玉饒速日命、御炊屋姫命
(交 通)近鉄郡山駅から奈良交通バス「横山口」下車、徒歩約10分
(拝 観)境内自由
(駐車場)有(無料)


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