WESTWOOD -手作りビンボー暮らし-

持続可能な社会とは、必要なものはできる限り自分(達)で作る社会のことだ。衣食住なんでも自分で作れる人が偉いのだ。

ついに...

2015年12月26日 | 環境・エコ・共生・持続・温暖化とか・・

太陽光発電による大規模自然破壊が京都にもやってきた。

県境を接する南山城村と三重県にまたがる丘陵地を皆伐してメガソーラーを作る計画が持ち上がっているそうだ。(京都新聞12月23日)

小規模破壊は丹波や丹後でもあったし、耕作放棄地や河川敷、破綻したゴルフ場跡地のソーラー化はちょこちょこあったけれど、これほど大規模な破壊は京都では初だと思う。
八ヶ岳南麓や九州での同じような太陽光発電による自然破壊は過去記事でも書いた。

消滅危機自治体の1つである南山城村にとっては税収増が期待できる大型プロジェクト。少数の心配する村民は出たとしてもおそらく“粛々”と計画は進められるに違いない。

さて、「再生可能エネルギー教」の熱烈な信者、京都のおエライ「環境活動家」サンたちがこの降って沸いた問題にどのように対応するのか見ものだ。まあ、「再生可能エネルギーは推進すべきだが、自然環境、景観を大きく変えることは慎重に。」などと当たり障り・中身のないコメントに終始するのがせいぜいだろうけど。

ところで、本事件を取材し記事を書いた京田辺・学研総局の住吉記者はまだ入社2年目だそうだけど、本記事にはジャーナリストらしい批判的視点、記者魂の香りを感じた。
太陽光発電ムラの連中が住民説明会などで「メガソーラーの耐用年数は30年」と説明する中、「太陽光パネルの寿命は通常17年(土地環境によってはもっと短い)」とされていることをご存知なのはそこそこ勉強されていることを感じさせる。
本当はもっと問題点をえぐった記事を書きたかったのだろうけれど、まだ“ペーペー”の彼にはこれがせいいっぱいだったのだろう。ジャーナリズムの御用化が懸念される昨今、彼の今後に期待したい。大きな組織につぶされそうになって迎合してしまわないことを祈ります。


「宇宙史の中の人間」 海部宣男 講談社+α文庫

2015年12月11日 | 面白かった本

腰痛になってからかれこれ3ヶ月。動けない中時間だけはたっぷりあるので、徒然なるままにいろいろ本を読むことができました。その中からこれはと思った本を紹介いたします。

梶田さんがノーベル賞を受賞し、“あかつき”が5年の時を経て金星周回軌道への移動に成功し、宇宙や地球、生命の誕生の謎の解明がますます期待される昨今、その意義と現状を俯瞰するには最適の本だと思います。

「文庫本まえがき」より、
「1993年に「岩波市民大学講座」『人間の歴史を考える』の一冊として刊行した本書は、人間と宇宙との関わりを宇宙の歴史の中で位置づけてみようという、私なりの試みだった。それから10年経ち、講談社+α文庫に再録したいというお誘いを受けた。・・・・書きなおし書き足しているうち、結果としてかなり大きな改定となった。・・・・この宇宙について、宇宙で生命が生まれた(今も生まれているかもしれない)ことの意味について、そして、宇宙で生まれた人間とその未来について。これからも多くの読者、多くの方々と一緒に、考えてゆきたい。」

人間誰しもが一度は抱く永遠の疑問、「この世、、宇宙や生命、人間の誕生とその存在意義」について、科学(物理学、天文学、生命科学)の視点で解説を試みた本は数あれど、一般人が読みやすく腹にストンと落ちる解説をしている本にはなかなか巡り会いません。

その点本書は、物理学の難しい概念や科学の手法を高校生くらいの知識があれば理解できる言葉遣いで解説し、この壮大なテーマを誰もが俯瞰できるようにしてくれます。しかもややもすれば退屈になりがちな類書と異なり、まるで「スターウォーズ」を観ているかのような物語風の展開で340ページに及ぶ大冊を一気に読ませてくれます。

宇宙史の視点で地球や人間の歴史と存在の意味を考えるとき、テロ、戦争、原発、環境悪化、格差社会といった小さなこと(当事者にとっては大きなことではあるでしょうが)に争い、右往左往している人類がなんとも小さな存在であることかと情けなくもなります。
そんなことごとには関係なく、やがて人類がこの世から消えようが、宇宙の歴史は悠々と何億年も続いていくことでしょう。

本書刊行(2003年)後の最新の宇宙論によれば、宇宙は我々の宇宙だけではなく、あちこちで無数の宇宙がまるで泡のように、億年、兆年の単位で生まれては消えているのだといいます。そんな宇宙のどこかに我々ほど愚かではない人類?が生まれているのかもしれません。せめてこの宇宙に生まれた私達人類が、数ある宇宙の中での失敗作で終わらないことを願います。