過般の伊那路ドライブで、リンゴの「紅玉」を見つけたので、妻に「焼きりんご」用に購入するよう嘆願した。他のリンゴでは、つくれないからだ。
家庭でつくる素朴な一種のお菓子だが、老生は少年時代に知り合いの家で初めて食べた時のそのバターの香る甘酸っぱい味の感動が忘れられず、とてつもなく美味しいおやつとして記憶に固定されている。今とは違い、洋風おやつの少ない時代だった。
「紅玉」を見つけると、この老人、きまって反射的に「焼きリンゴ」と騒ぐので、妻はこのリンゴをなるべく見付けて欲しくなかったに違いない。内心は(キノコだけで欣んでいろ!)だったと思う。
老生が子供の頃のリンゴは、「国光」「紅玉」「インド」ぐらいしかなかった。中学生の頃から「ゴールデンデリシャス」という品種が出て、これを食べたときには柔らかく甘くジューシーで、これ以外食べられなくなった。
今日の多彩な糖度と香りが高い品種群から見ると、「紅玉」は酸味が強く、別種の果物のようである。それでも子どもの味覚に刻印された味というものは、何十年経っても忘れない。めんどうがらずにつくってくれた妻に大感謝。2個をペロリと食べてしまった。
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