マッサージ

YouTubeには、療法士さんや整体師さんなど専門家のアップした動画がたくさんあって、懇切な説明と指導をしてくれている。日頃マメにこれらの動画を閲覧している老生は、若い頃には指圧に熱中したこともあって、家族に見様見真似のマッサージを施すことが屢々ある。

加齢による衰えは、夫婦均等に進行しているはずだが、それに対する意識は、老生と老妻とでは天と地ほどの違いがある。

老生は老化に伴う痛みを、医療に頼らず自分で解決しようと、YouTubeで学んだストレッチや筋トレ、マッサージの手技で積極的に緩和しようと努めていて、効果も実感している。

一方の老妻の方は、身体のあちこちが痛いと言いながら、いっこうに対策に取り組まない。加齢によるものだから、仕方がないと諦めている。根が暢気なのである。「転ばぬ先の杖」がわからない。

女性は骨盤の幅が広く、股関節の間隔が男性よりも離れている。したがって女性は股関節を痛め易く、その障害は膝・足にまで及ぶらしい。日頃から、股関節周りの筋肉を鍛えることが大切だと注意しても、いっこうに自ら鍛えようとはしない。体重もなかなか減らない。

テレビを観ている時は痛くないらしいが、ドラマが終わって立ち上がると「イタタ！」と来る。また、お茶とかコーヒーなど、何か亭主が要望を発すると忽ち痛みが出るらしく「イタタ！」「イタタ！」が始まる。孫からの頼まれごとには快く応じ、痛みもなく楽しそうにこなすのだが・・・？

立っても座っても「イタタ！」を聴くのは耐え難いものがあるので、この程老生から申し出て、朝の起床時と風呂あがり、夜の就寝前に、マッサージを施すことになった。毎回20分、1日には１時間にもなる。全力でマッサージをすると、老体にはかなり堪える。

当人はご満悦だ。何しろ日に3度も簡易マッサージを受けられるのだから。心なしか、毎日の老生への文句も和らいできた。間違ってはいないのだろう。こちらも老体だからいつまで続けられるかわからない。

3度の食事を60年もつくってもらった恩義に報いているつもりなのか、諸々の罪滅ぼしのつもりなのか、自分でもよくわからない。