道々の枝折

好奇心の趣くままに、見たこと・聞いたこと・思ったこと・為たこと、そして考えたこと・・・

ナンバンギセル

2021年09月29日 | 自然観察
わずか10日前の、月見に供えた鷹の羽ススキの鉢植え2つ、株元から、ナンバンギセルがニョキニョキと生えてきた。
そのひと鉢には8本もの茎が立ち、齢のせいで滅多なことには動じない老生も、さすがに狼狽した。




ナンバンギセルの風趣ある姿形を愛でる人は多く、種を蒔いて栽培する好事家も多い。イトススキやヤクシマススキに寄生させ、他の秋草と寄せ植えにしたものは、草物盆栽の花形でもある。
だがススキを大切に栽培している老生には、脅威の寄生植物、悍(おぞ)ましい天敵であるのだが。

この異形の植物、葉緑素をもたず光合成ができないから、ススキの根に寄生し、栄養分を奪って成長する。これに寄生されると、ススキの成長が阻害され、場合によっては枯死することもある。ススキ愛好者?にとっては、絶滅させたい悪魔のインベーダーである。何よりも、ススキの穂が出なくなるのが困る。

根絶の対策はないかとネットで調べたが、ナンバンギセルの育て方は無数にヒットするのに、駆除根絶法のサイトは皆無だった。孤立無援ということになる。
むしろ、世間はススキを雑草扱いし、これを駆逐するための生物的駆除法の尖兵として、ナンバンギセルを利用しようとしているらしい。環境を汚染する除草剤を使わないで、国土に蔓延るイネ科の雑草を駆除できるのではないかと、大いに期待されているようだ。

カヤで屋根を葺かなくなって以来、全国の里や山にあった萱野(茅野)や萱場(茅場)の名のある採草入会地(共有地)は減少の一途を辿った。共同体で大切に管理栽培されていた唯一の植物性屋根葺材ススキは、今日では無用の雑草に成り下がってしまっている。

広大なカヤの草原やカヤトに覆われた山稜に、限りない旅情を唆られる老生には、ススキへの関心の薄さは残念でならない。国草という言葉があるのなら、ススキ(茅・萱)をこそ、そう呼びたいくらいだ。

あれこれ調べて、国会図書館にたった一冊、ナンバンギセルの退治法が載っている書物があることが分かった。ネット閲覧は出来ないので、コロナが熄んだら、国会図書館を訪れてみなければならない。それまで、ススキが保つかどうか・・・






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