道々の枝折

好奇心の趣くままに、見たこと・聞いたこと・思ったこと・為たこと、そして考えたこと・・・

気象と病気

2021年10月02日 | 人文考察
気象と病気は似たところがある。日常これほど自分の生活に密接な関係がありながら、自分では事象を掴むことはほとんどできなくて、片や予報に片や診察に、専門家の知見に依るほか実相を知ることができない。

気象には昔から観天望気というものがあって、船乗りや漁師・修験者などは、風や雲の形、空気の湿り具合などで天候を予測した。
病気となると、近代医学と異質な考えや手法が大昔から世の中にゴマンとあって、それぞれの専門家?が、治療類似行為をしていた。

今日のコンピュータと人工衛星の活用に因る気象予報の高度化とその結果としての予報精度の向上は、驚異的である。また遺伝子工学の発達と薬学の発展、電子工学の進歩の恩恵に与る医学の進歩が、素人には想像もつかない診断法と治療法を生んでいる。50年前と比べ、隔世の感がある。

しかしこれだけ予報技術が進歩しても、気象災害は一向に減らない。医療技術がこんなに進歩しても病気は減らず、私たちは昔よりも多数の新たな病気に怯え、検査結果に一喜一憂しながら暮らしている。

思うに、科学技術は着実に進歩向上したが、人間の心の不安は取り除けなかった。人間の思考・心理・行動は数千年来変わるところがない。情動は些かも変化しないからだ。

生きる知恵を開発できない人間が、科学技術を活用することから、人間世界には、昔は無かった新たな悲劇の芽が、次々と芽生えてきているように思える。

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