文章を書くということは、テーマを定めて思考を重ね思索を巡らし、論理を構築して文脈を調え文字を綴る、という一連の作業である。テーマの選定は独創性に富み、論旨は明解、論理は緻密で表現は斬新かつ大胆でありたい。取り上げるテーマは無限にある。談話と違って、時と場に配慮する必要がないから、これほど気随で愉快なことはないだろう。文筆で身を立てたい若者が多いのも理解できる。しかし、文筆家として成功出来る人はごく . . . 本文を読む
私たちの国は、国土の4分の3が山地の山国である。というより、海から迫り上がった島々。島国と呼ぶのが適切だ。私たちは山岳民族でなく、フィリピンやインドネシアと同じ、島嶼民族であることを改めて自覚しておきたい。私たちの先祖は、海から川を遡って内陸に分け入った。そこからは、山道が縦横に巡らされていった。大昔から人が繰り返し歩けば、道は自ずとできるのだから、山道は島内至るところに通じている。人煙のあるとこ . . . 本文を読む
今日では、銅壺(どうこ)と言っても、現物を見たことも触ったこともない人の方が圧倒的に多数だろう。それを使ったことのある人はもっと少ないに違いない。現物は、骨董屋さんでしか見られない。湯沸かしに電気とガスが使われる時代、銅壺は既に利用価値と存在価値を失って久しく、製造されてもいない。この名を知る人は少なくなっていることと思う。現物の画像を呈示できなくて申し訳ないが、銅壺とは、炭火の火鉢の灰の中に据え . . . 本文を読む
発想は思考の原点である。水の流れで言えば泉に該るものかと思う。私たちの頭の中では、日夜発想が湧き出ている。全て人夫々の発想は思考の流れとなって下り、思想という池や沼を形成している。発想が湧かなくては、人間何ひとつオリジナルなもの、その人ならではのものを生み出せない。思考して、思念を積み上げ思想を構築するには、絶えざる発想の湧出が必要である。この発想こそが、人の生命の核心そのものであることに遅れば . . . 本文を読む
日本語には女性の魅力を表現する多様な言葉が用意されていて、選択に迷うほどである。それだけ男性の側から見た女性の魅力には、様々な態様があるということだろう。女性美を表す日本語は、大きく分けて麗・艶ふたつの形容に分類される。【麗】綺麗・美麗・豊麗・婉麗・・・【艶】清艶・優艶・妖艶・濃艶・嬌艶・凄艶・・・麗にも艶にも、実に多様な形容語が付く。これらの言葉は中国に古くからあった言葉なのか、明治漢語の部類に . . . 本文を読む