憂国のZ旗

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トランプショック(下)

2016-11-14 04:05:00 | 政治


トランプ政権の打ち出す政策に大きな関心がある。

2016.11.12 14:10更新
【トランプショック(下)】
未知数なトランプ氏の外交手腕 変わらぬ対日観に警戒 同盟国・日本は地域安定のため米説得 「孤立主義」で中朝露を警戒

http://www.sankei.com/world/news/161112/wor1611120037-n1.html

米共和党のドナルド・トランプ次期大統領(70)は、選挙戦で多用した短い言葉で他国を批判する「サウンドバイト」をどう現実の外交、安全保障政策に落とし込むのか。各国が「翻訳」を試みている。当選から一夜明けた9日、ワシントンのシンクタンクで開かれた新政権の進路に関する勉強会には、未明までもつれ込んだ開票を見守ったせいで眠そうな外交官や研究者が詰めかけた。
 「トランプ氏の外交政策を判断するのは困難だ。彼が米国の『礎石』に異議を唱えているのは、共和党がこれまでに主張してきたことと著しく異なる」
 米中央情報局(CIA)で長く分析官を務めたブルッキングス研究所のブルース・ライデル上級研究員でさえ頭を抱えていた。
 北大西洋条約機構(NATO)と並ぶ米国の礎石であり続けた日米同盟の将来は日本にとって最大の関心事だが、トランプ氏が日本に触れるのは決まって貿易不均衡を強調する文脈だ。
 9月末のテレビ討論会で「私たちは膨大な規模の軍務を提供して大金を失っている。数百万台もの車を私たちに売りつけるような日本を守ることはできない」と述べた。米国が攻撃されても日本人は家でソニー製テレビをみているだろうと批判したこともある。
激戦州のフロリダでトランプ氏に投票した退役陸軍軍人のトロイさん(54)は「トランプさんだって日本との同盟は重要と思っているよ。でも、お互いが攻撃されたとき助け合うのが本当の友達だろ?」という。集団的自衛権の行使容認などの取り組みを米国民の多くは知らない。
 トランプ氏の対日観は日本がバブル経済に沸いていた1987年、ニューヨーク・タイムズなどの有力紙に「日本やサウジアラビアに私たちが提供している防衛のための費用を払わせろ」という意見広告を出したときから変わらない。共和党関係者はこうした対日観を「米軍駐留経費負担など、日本側の努力を直接説明できる顧問がいないことが理由だ」と説明する。
 日米は安倍晋三首相の米議会演説や今年5月のオバマ米大統領の広島訪問を経て、良好な関係にある。米軍と自衛隊の協力も進んだ。だが、トランプ氏が選挙戦で訴えていた孤立主義の傾向が強まれば北朝鮮の核・ミサイル開発、中国の海洋進出で日米の戦略に齟齬(そご)が生じる可能性がある。
 米シンクタンク、ヘリテージ財団のブルース・クリングナー上級研究員は「米軍の駐留費用が負担されなければアジアや欧州から米軍を撤退するという政策をとれば、同盟国に『見捨てられた』と思わせ、中国、北朝鮮、ロシアを軍事的な冒険主義に走らせる」と語る。
「正面からぶつかり合い、率直に話し合うことが大事だ」。トランプ氏の側近、マイケル・フリン元国防情報局長は10月の訪日時、新政権との関係構築を担う河井克行首相補佐官にトランプ政権との向き合い方をアドバイスした。フリン氏が菅(すが)義偉(よしひで)官房長官や河井氏と会談し、同盟の将来を話し合ったことは大統領選終了まで伏せられた。
 トランプ氏は米国の守りを最優先する「米国第一主義」を取り、海軍艦艇を350隻に増強することにしている。陸軍の現役兵力を54万人、海兵隊を36大隊に増やす計画だ。
 だが、増強した資源を世界のどこに振り向けるのか、アジア重視政策を続けるのかは明らかではない。日本は地域の安定に果たす米国の役割を粘り強く説得していく必要がある。安倍首相が17日にニューヨークで予定しているトランプ氏との初会談がその嚆矢(こうし)となる。(ワシントン 加納宏幸)

【主張】 日本は防衛努力を強める覚悟持て 規格外の人物登場「トランプ・リスク」は不可避だ

2016-11-14 03:56:44 | 政治

米国大統領選挙でトランプ氏が選定されて、様々な議論が飛び交っている。
中でも、重要なのは日米同盟の行く末である。
日米同盟破棄はいまだ早すぎる結論である。


2016.11.10 05:01更新
【主張】
日本は防衛努力を強める覚悟持て 規格外の人物登場「トランプ・リスク」は不可避だ

http://www.sankei.com/column/news/161110/clm1611100001-n1.html

超大国の次期指導者に、当初は泡沫(ほうまつ)候補扱いだったトランプ氏が決まった。
 不動産王として知られてはいたが、政治経験はない。イスラム教徒の入国禁止を叫ぶなど数々の暴言、失言で世間を騒がせた。そういう氏の勝利は衝撃的であり、同時にアメリカ国民の選択にも驚きを禁じ得ない。
 その行方は不透明だが、米国が劇的な変化を求めた結果を冷静に受け止めるしかない。
 日本は米国を最も重要な同盟国と位置付けてきた。問われるのは、自由と民主主義などの価値観を共有する関係を今後もいかに維持していくかの具体論である。
《価値観共有への努力を》
 格差拡大をめぐる不満などに起因する国内の対立の解消は、米国自らの手で行う問題である。だが、トランプ氏が訴える「米国第一主義」が孤立主義につながりかねない以上、自由貿易拡大の理念を貫徹するよう、日本は働きかける必要がある。
 予想外の展開、規格外の人物の登場により「トランプ・リスク」が生じるのは避けられまい。これに振り回されないため、政治、経済の両面での備えが必要だ。
 強く懸念されるのは、米国で内向き志向が強まることだ。
 安全保障の観点では、日米同盟軽視の姿勢は日本の安全に直結する。トランプ氏は日本だけでなく、北大西洋条約機構(NATO)加盟国や韓国など他の同盟国にも駐留米軍経費の負担増を求める考えを示している。
発想の根本には損得勘定があるようだが、国際秩序の維持に努める重大な意義と天秤(てんびん)にかけられる話ではあるまい。
 米軍はアジア太平洋地域の平和と安定に重要な役割を果たしている。この地域はいま、中国の一方的海洋進出に歯止めをかけられるかどうかの岐路に立たされており、その成否は米国自身の国益にも結び付いている。
 北朝鮮の核、弾道ミサイル開発も、米国の安全を脅かしかねない段階に入っている。
 日本の経費負担の現状や在日米軍の持つ抑止力の意義について誤解を解く努力を重ねるべきだ。より重要なのは、東シナ海の尖閣諸島の危機を抱える日本として、自ら防衛努力を強める覚悟を持つことである。
 安倍晋三首相は「普遍的価値で結ばれた同盟を強固にしていきたい」と語った。決意のみならず、具体的な防衛力の強化策を講じることが不可欠といえよう。
 トランプ氏優勢が伝えられた段階から東京株式市場の株価が暴落するなど、金融市場は大荒れの展開となった。
 保護主義的な主張への警戒だけでなく、予想のつかぬ政策運営で経済が混乱する不確実性への不安もあろう。
《経済変調に警戒怠れぬ》
 堅調な米経済が直面する新たな政治リスクが、停滞感の強い世界景気を下押しすることがないか警戒を怠るわけにはいかない。
 大統領就任時に、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)からの離脱を宣言するとした点は見過ごせない。米国の脱落はTPPを無にする。
 あらゆる国の経済が密接につながる中で、自由貿易を推進する経済連携を否定するなど、米国の成長に資するはずがない。
 TPPの戦略的な意義も再認識してほしい。覇権主義的傾向を強める中国ではなく、日米が軸となってアジア太平洋の新たな経済秩序を築く。その役割を放棄するなら、米国への信頼は失墜する。
 オバマ大統領は残りの任期中の議会承認を目指している。議会もこれに応じるべきだ。特に本来、自由貿易に前向きな共和党はその理念を実現する責任が大きい。
 日本が確実に国会手続きを進めるのは当然だ。
 その上で他の参加国とも連携し、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議などの機会に米国に承認を促すべきだ。
 差別的発言や女性蔑視発言が繰り返されたことは、米国内に宗教や人種、党派による分断状態があることを浮き彫りにした。
 オバマ大統領が世界の警察官を否定したことで、中国やロシアが台頭する局面が増え、米国の影響力低下が顕在化した。
 「米国を再建する」と語るトランプ氏には、融和と超大国としての責任を語ってほしい。