第49回 パールレース

スタートですッ!!

今更だけど・・・パールレースのレポートです。長いです。覚悟してください。

今年もまた葉山のSydney36CR・Gaia号でパールレースに参加させてもらいました。なんと言っても今年は同型艇Miwaが居ます。でも、乗ってるメンツを見ると、サウナ帝王M石氏、M代氏、Hineちゃん、ネゴロフスキーなどまぁ内輪みたいなもので、ライバル艇というよりは、ラットの色で赤チーム、青チームみたいな感じですかね。スピンの有無や重量などでビミョーにIRCのレー ティングが違う2艇なのですが、なんとビックリ、GaiaがIRC-Aクラス1、MiwaがIRC-Aクラス2に分かれてしまいました。同型艇なのにぃー。(でもこのおかげでナイスな結果となるわけですが。エヘヘ)

7/25金12:10、快晴の空のもと180マイル先のフィニッシュ目指していよいよスタートです。スタートラインのバイアスは相変わらずものすごいことになってますが、まぁそれも含めて全部レースの要素なのでヨシとします。ピン側からまずまずのスタート。高い所に居た艇がラウンジエンドで戻っていきます。第1レグ、まずは135度方向の神の島へ。ジェネカーはちょっと無理そうなのでライトジェノアで行きます。昨年はもっと風弱く展開もスローだったのでトップ艇団にいながらの勝負だったのですが、今年はそこそこ風があり各艇一斉に横ッ走りを始める競馬スタートだったので、なんとなく艇団に埋もれてしまいました 。(-_-;)

神の島は水面下で見えませんが、水面がシャバシャバしてます。GPSで神の島を北に見る位置になったのでこのあたりが少々安全目な回航ポイントです。ベアダウン&ジェネカーアップ。かなり団子状態。ここからは伊豆諸島の利島まで東へまっしぐら 気の遠くなる125マイルの第2レグです。マストトップジェネカー様々の威力を発揮してぐぐーっと前へ出る走りをしたいところです。風は徐々にあがり安定して南15~6ノット。これから徐々に右に振っていき、南西~西、しかも夜にかけてあがってくる予報です。風を掴みに極端な沖出しをするとか、北に変わり岸に期待するようなも要素もナシなので、ジェネカーでラムラインをひた走ります。カミにMiwa、シモにOREOS(X-35OD)。どちらかと言うとケアすべきは、同クラス・同一レーティングのOREOSですかね。


順風~。ジェネカーでカッ飛びます!

日が暮れる頃になり、順調に南西の風を受けて走りますが、ジェネカーで効率良い角度となると少しずつラムから離れて沖に出ていく感じ 。このままジェネカーでずーーーっと突っ込んで深いジャイブをするのか、スピンで落してラムを走るのか。難しい判断を迫られます。Miwaはジェネカーでガンガン沖へ。でも同じクラスのスピン艇がきっちり落してラムに乗せているので、ここでスプリットするよりはスピンを揚げてこれ以上ラムから離れないように走ることにします。そしてすぐにシモの艇団に追いつき、追い越し

夕陽は水平線に沈んでいきました。そして日が暮れてナイトに突入。
でも・・・。なんか・・・。風が・・・。ツオイような気がする・・・。さっきからコンスタントにTrueで25ノット、時折30ノットの数字が見え始めました。波も悪くサーフィングも豪快で、ボートスピードも13ノットを超えてきます。WOW!デンジャラス~!で、やりました。夜の遠州灘で。1発、2発、3発・・・とブローチング(汗)。ガツーンと横倒しにはならなかったけど、チョイこけからなかなか立て直せず、何度も何度もこけ、、、。かなりビビリました。喉、カラカラになりました。これでせっかく抜いたシモの艇団にまた並ばれたけど、幸いスピンも破かず誰も怪我もなく、気を取り直して超爆走プレーニングを続けます!みんなテンションあがってるし!こんなコンディションなので、交代ヘルム以外はオールハンズ&オンデッキ。

夜が更けてきました。気付けば落っこちて来そうな満点の星空に、ドバーーーっと横たわる天の川。濃紺の空に、吸い込まれそうに白い月明かり。地球なんてこの星の中の一粒なんだなぁ、なんて訳も無くおセンチになったりします。風は、また22~24ktくらいで落ち着きます。

昨年は一晩中スローペースだったけど、今年はとんでもないハイ・スピードで、暗いうちに伊豆半島をかわし、Fl 6s の利島灯台を確認。そして、水平線から朝日がのぼりました。太陽が水平線に沈んで水平線から昇ったのを続けて見たのは初めてのことです。


先行艇の向こうの水平線からデッカイ太陽が昇ります

いよいよ相模湾です。利島と鵜渡根の間を狙ってジャイブし、ジェネカーで北上開始です。明るくなったら回りにチラホラとフネが見えてきました。たぶん夜の間スピンで並走していた何艇かと、前にMiwaの赤いジェネカー。


夜明けの利島です

利島回航後、Gaiaは大島の西端を狙います。ずっとジェネカーとスピンで快走を続けて来たけれど、ここへ来て試練の時を迎えます。ま、想定内だけど、風が弱くなり先行艇のヘディングがおかしくなりました。爆走ランはジ・エンド、ここまでです。ジェノアをアップし、シマシマの水面を風を探して走ります。前の艇団が止まってるのでチャンスでもあります。

ここから先は、ジェノアあげたりおろしたりあげたりおろしたり、またあげて、またおろしたり、もういい加減どっちかにしてくれーーーってくらい沖の風と陸の風がケンカしてがんばっちゃってる感じです。南西沖ブイの風情報は東1m・・・。その後も、ラルったり四畳半ブローを掴んだりしながら、それでも案外上手くくぐり抜け、ぐんぐん追い上げてMiwaを捕らえます。すぐ近くにOREOS、NANAちゃん、Gふぉーがいたはずだけど、このメチャクチャな風で見失ってしまいます。でも、ラッキーにも風は10ノット程の東風に落ち着き、最後はジェネカーで快走します。ここから先は同型艇Miwaと至近距離でガチンコ対決です。


相模湾に入ってからの同型艇ガチンコ対決!

見慣れた景色が近付いてきて、やっとやっとやっとフィニッシュの「はしだて」を確認しました。僅差のリードを保ったまま、Miwaの前で勝負!のジャイブをかまして、フィニッシュラインへ。そしたらMッキーから悲鳴があがります。なななんと至近距離からOREOS登場! Miwaと遊んでいるうちにやられるところでした。
同一レーティングであるからして、先に入った方が勝ちです。デッキ上に緊張が走ります。あっちがスタボのスピン、こっちがポートのジェネカーでミートです。ポートで前を切り、相手の前で今度はホントにホントに勝負のジャイブ!で、きれいに決まりました!一瞬オーバーラップしたけどすぐ切れて、インナーマークのぎりぎりを狙って加速し始めた次の瞬間、プーが!!なりました!!一同歓声(≧∇≦)。頭のテンコからアドレナリン大爆発。

24時間と28分9秒でフィニッシュしました。丸1日走って、同一レーティング艇と2秒差、同型艇と27秒差。こんなことって・・・あるんですねー・・・。暫くは心がワサワサして興奮状態でありました。これは、この先おばあちゃんになってもたぶん、一生忘れないシーンになるかも。


結果、IRC-A クラス1優勝!(≧∇≦)、同型艇MiwaもIRC-A クラス2優勝!(≧∇≦)。IRC総合はMiwaに軍配でした。あとほんのちょっと速く走れれば、総合優勝も手に入れることができたけど、やっぱりそう何もかもはうまく行くはずなく。利島であれだけリードされたMiwaに追いついて追い抜いただけでも相当ガンバリマシタ!!素直にMiwaの健闘をたたえたいと思います。まぁ、赤チーム、青チームの仲だしねぇ。

今年のパールレースは、Sydney36CRの2艇でIRCのワン・ツーとなりました。スバラシイ風、スバラシイ船、スバラシイ仲間、すべてに感謝です。Gaiaの皆さんどうもありがとうございました。

今回のわたしはと言えば、かなーりツカエナイクルーで・・・(-_-;)。ホビ号のヘルムは頑張ってるつもりだけど、最近、ヒモ引っ張ってないし、大きくて速いフネにも乗ってないし・・・。やっぱりヨットレースはスポーツなので、身軽にフットワーク良く機転利かせてナイスな動きができないと全くの役立たずです。かなり、自己嫌悪。またちゃんとトレーニングして、テーザーも頑張って、そしてたまには大きい速いフネにも乗ってあれこれバランス良くやっていかないと、動きの鈍い使えないヘルム・バカになってしまいます


GaiaとMiwaのオーナー二人で優勝カップでビールです!

そのあと、みんなもカップにビールをついで回し飲みします。チョットぬるくて金属臭いけど、美酒とはこのことを言うのです。最後は、こんなになっちゃってますが

はーっ。満点の星空のもと、真夜中の海をみんなと一緒に爆走したりしたあとは、日常の便利で生ぬるい暮らしはシゲキックス食べても刺激が足りなくなってきます。外洋レースの勝利は、本当に格別です。でもそんなものは超越して、なんかもうちょっと特別なものを感じてます。これは、走った人の心の中だけにある特別な気持ちだと思ってます。もしかして、おセンチなのはアタシだけでしょうか。

外洋レースは、なんだかわからないけど、かきたてられるものがあります。太陽は、水平線に沈んで水平線から昇って来るのです。大海原にぽつんと居ると、浮世のややこしい事なんて全部忘れて、「はじめ人間ギャートルズ」(古いよバカ)のゴンになった気分になるのです。(ドテチンはバウの方にいっぱい居たし)
暑くて暑くて潮と日焼け止めと汗で全身ベタベタで、臭いし、汚いし、もうチョー不潔な人だったけど、そんな事別にどうでもよく。こんな経験をすると、世知辛い都会生活や自分の仕事の悩みなんてかな~りちっぽけなもので、そんなショボい事はほっといて、自分はもっと大きく生きよう・・・なーんて思ったりするのです。

海は、ほんと偉大。

Yahoo!ニュース「外洋ヨットレースの国内最高峰「パールレース」36艇が志摩からスタート」
伊勢志摩経済新聞「外洋ヨットレースの国内最高峰パールレース」

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