今年も行ってきました!パールレース

今年もGaiaにお世話になりました~!

夏!と言えばパールレース!
三重県五ヶ所湾口をスタートして、伊豆諸島の利島を廻り、神奈川県の江の島のまで180マイル。雷雨、突風、満点の星空、夜明けのずぶ濡れハイクアウト、強烈な追い潮と、今年も色々なドラマがあったけど、元気に江の島にフィニッシュしました!

7月26日(金)、朝9:30、スタート海面の五ヶ所湾口に向かいます。今年もまた、あんまり(というか全く)役に立たないのに、僚艇Gaiaに乗せて頂きます。いつもありがとうございます!!

11:00、南東の風の中、53艇がスタートしました。まずは、7.2マイル先の最初のウェイポイントまで軽風の上りです。今年は神ノ島の外を回らなくてもよいので、最短コースは布施田水道の南側の岩礁エリアを抜けるルートです。スタートして暫くすると、徐々に風が後ろに回り始め、目標ルートの入口に向けられるようになってきました。


状況に応じて通り道は4パターン。オンデッキで避険線を書き込んだ手書きルート図とハンディGPSとをにらめっこしながら最短ルートの入口にアプローチします。チャート上は水面下にも浅いところが結構あるのに、何となく雰囲気でその上を通過しているような艇もいて、ローカルナレッジ乏しくチキンなわたしにとってはかなりヒヤヒヤです。変な汗をかきながらCOG106度、上りいっぱいでなんとか通過。ふー、これでへっぽこナビの仕事は半分終わったようなものです。

第2レグは利島まで東へひたすら走る124マイルです。沖出しのコースをとる先行艇が良い走りをしているようなので、沖の風を取りに行くことにします。午後になり日が傾くにつれ、太陽の動きを追うようにお約束の南西風がしっかりと入ってきました。ラムラインよりは3マイル程南に出しているけれど、この先暫くは、ほぼラムラインと平行に走れそうな感じです。ウホ!ジェネカーで頭を出していきたいところです

18:00のロールコールでは、先行した大型艇らしき数艇を除き、第2グループは団子状態の横並びのようです。


18:00ロールコールのプロット。第二集団の横並びって感じです

その後、再び風が振れジェネカーでは上りきれなくなりました。このまま行くとラムラインをクロスして北側に出ますが、周囲を見る限り岸はあまり風が良くないようです。南側のポジションをキープするのが得策と考え、ジブにチェンジして再び上り気味に沖出しを開始。

あたりが薄暗くなり始めた頃、雷がゴロゴロ鳴って雲行きが怪しくなりました。そのうち雨とともに360度あちこちで稲妻が光りはじめます。コワイ~。不気味な気配にビクビクしながら、あれ?ヒューっと冷たい風が来たね、なんて言っていた矢先に突風に見舞われます。ひゃー!セイルがバサバサ暴れるけれど、どっちにも孕みません。ダウンバーストみたいに上から下りてきている感じ。なす術なくブローチング1回。

ドタバタしたけれど、突風はそう長くは続きませんでした。その後、風がまっっっったく定まらなくなり、悲しい角度で暫く右往左往する羽目に。

0:00、御前崎の手前、掛川の経度線あたりでロールコール。



依然艇団の中だけど、少しだけばらけてきたようで、Gaiaもまずまずの位置に付けているよう。(でもこれは、あとでロールコール情報がプロットされたGoogleEarthを見てわかったことで、夜の間、同じクラスのライバル艇の動向はイマイチ把握できていませんでした)

長―い夜の間、一時的に北東の風が吹いた時間帯がありました。やっぱり海の上でも陸風って爽やかなんですねぇ。サラサラした乾いたそよ風が最高に気持ちよく、落っこちてきそうな満点の星空の下を、夜光虫をかき分けながら進みます。時々、流れ星がシャーっと斜めに下りて行きます。寒くて眠くて何かと辛いことが多い外洋レースだけど、こんなに広い海の上をヨットに乗って風を受けて進んでいくなんて、なんていうか、ロマンっていうか、日常のちっぽけな出来事なんてどうでもよくなって、自分はもっと大きい人間でいうよう、なんて思ったりして。わはは。

その後、空白の時間を経て(寝たとも言う)
風は概ね220度くらいで安定し、追い潮をガッツリ貰い、SOG9~10ktのジェネカーセーリングでぐいぐい走ります。一時ラムラインから8マイル近く以上沖に出ていましたが、落とせる時に落として行くということでヨシとします!

夜が明ける頃、徐々に風があがってきて、気づけばジブで上り一杯になりました。ラムラインの南にいた艇団はなんとか利島まで上りきれるのでこれでゲインしたはずです。この強風でタックを繰り返して上ってくるのはかなり大変そうなので。風速はどんどん上がり、あっという間に28ktくらいまで吹き上がり、今回初のフルハイクになりました。早朝から波をかぶってビッチョビチョです!どうせ濡れちゃったし、寒くないしで、もう開き直って歯を見せながらスーパーハイクアウトです!!


朝からずぶ濡れ~


6:00ロールコール。…までは絶好調。

幾度となくジブ、コード0、ジェネカーのチェンジを繰り返し、もうセイルチェンジ何回やったか数えきれなくなった頃、低くて平らな新島が見えてきました。そこから左に目を移すと、小さな三角の鵜度根、その隣に大きな三角、利島を発見!(Gaiaでは「おむすび山」って呼んでます)
少しセイルを出せる角度になったけれど、コンスタントに22~25kt、AWA70度では、ジェネカーでは吹き倒されそうです。ジェネカー上りきれなくなると嫌なので、コード0で寄せておきます。スピードもいい感じ。その後、ジェネカーで利島アプローチに入ります。


鵜度根と利島の間は、潮が川のように流れていて海面が沸き立っています。いつ来てもすごい所です。そして運悪く、まさに利島にとっついたところで、急激に風が怪しくなりました。ぐるぐる振れて結局上りきれなくなり、慌ててセイルチェンジとなったところで不運なハリヤードトラブルが起こり、ジェネカーが途中までしか下ろせなくなってしまいましたー。ピンチです~!すったもんだの末、なんとか収束。毎年この辺りでチキンジャイブをしたり吹き倒されたりと、タダでは廻れない利島です~。


利島~!

いよいよ最終レグ。ヘディングを大島の西へ向けて落とします。ここからが本当の勝負どころです。風早の吹きおろしをガッツリ貰い、相模湾に入ったら、安定したシーブリーズで三浦エクスプレス航路を一気に北上…と行きたいところだけど、なかなかそう都合よくいくはずもなく、千波の手前で風がヒョロヒョロになってしまいました。まさかのピットストップです。そして、さっきまで晴れていたのに急に雲行きが怪しくなり、朝10時だっていうのに、夕立みたいにまた雷がゴロゴロなり始めました。

スタートしてから今まで、ずーっと潮は味方してくれましたが、ここへ来て向かい潮です。千波をかわすためにジャイブを繰り返しながら岸ベタを行きますが、極端に不安定な風の中、めちゃくやな角度でのた打ち回ります。少し離れたところでは、まったくの無風で漂っているフネもいます。雲の下はまだ風があるので、しばらくは雨雲大作戦です。そして…。雨雲がいなくなったら、風もいなくなりました。


大島雨雲大作戦!!

結果的に大島に寄りすぎたのがダメだったようです。何事もなく安定して北上できるレーンもあったようで、むむむ、少し、いやかなりやられてしまいました。
千波の浅瀬をギリギリで通過。黒潮の反流はこれでおしまい。(のはず。)

目の前に、なんだろう?津波みたいな潮目が現れました。海面が盛り上がって小さなチューブを巻いているすごい潮目です。風が全くなくなり、ジャンボは風速0、スピード0を表示していますが、なんと、SOGは5.5ノット、COGは10度を表示。ビックリ!江の島へ向いています。
対水スピード0だから、当然舵は全く効かず、ヘディングはぐるぐる、セイルもバサバサさせながら、全くなす術ないけれどフィニッシュへ向かって5ノットで流さていくという、なんとも不思議な体験。潮の神様のお導きによって、このドリフト走行は暫く(5分くらい?)続きました。

12:00のロールコールを終え、なんとかセイルを張ろうとわずかな風で頑張っていると、南東の風がようやく入り始め、やっとフィニッシュへ向けて走れるようになりました。


12:00ロールコール

その後、徐々に南へ振れて行き、やがて22~24ktのしっかりしたシーブリーズが入ります。やっぱり最後はこうなりました!
もう、気力体力全部使い切るぞーとばかりに、パンピングブラザーズとパワークランカーが交代で猛烈プッシュをしながら、執念の三浦エクスプレス航路を爆走です!


フィニッシュのはしだてが見えてきました

見慣れた江の島の風景が近づいてきました。そして、フィニッシュの海上自衛隊・艦艇「はしだて」も見えてきました。少し前に居るのが同クラスのライバル艇と判明したけれど、悔しいけど届かず。16:01、フィニッシュのプーが鳴りました。29時間と1分のレースでした。


爆走でフィニッシュです~。

結果は、惜しくもIRC-Bクラス2位(11艇中)、IRC総合では9位(49艇中)でした。うーん、やっぱり急展開の利島~大島のレグがターニングポイントだったようです。なかなか難しいレースでした。悔しいけれど、毎回そう思惑通りにいかないのがロングレース。色んな「タラレバ」が頭をよぎりますが、それも全部含めて勝負。でも、今回もまたすばらしい経験となり、サイコーのレースでした。Gaiaの皆さんありがとーーーございました!!


日本は海に囲まれた素晴らしい国。黒潮の豊かな海、緑濃い島々。やっぱり外洋レースは、心沸き立つのです。そんな事に思いを馳せながら、今は、アスファルトにゆらめく新宿の熱風をビロビロ浴びてしかめっ面になっています~。
 
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