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「RRR」と「VIOLETOPIA」星組公演

2024-03-26 22:38:38 | 宝塚
3月24日に見て来ました、宝塚星組公演。
「RRR」は話題のインド映画で、イギリス統治下のインドを舞台に、民族運動の有名な二人の英雄をモデルにした物語で、イギリスへの抵抗や総督暗殺もあるけど、どちらかというと二人の友情と葛藤がメインで、見せ場はナートゥダンス!もとの映画は3時間もあるのを、宝塚では1時間半にし、映画ではムキムキ半裸の英雄を部族らしい衣装でカッコよく見せてます。
 映画の監督ご一行が数日前にご観劇だったそうで、驚かれたでしょうね!全員女性、水や火を群舞で表現、歌いながら踊る!演出家の谷貴矢先生が直接交渉に行った際、「舞台化」ではなく「宝塚化」したいのだということをちゃんと伝えて了解を得たそうで、宝塚はそういうところはちゃんとしてるのね。
 激しいダンスや群舞シーンが見せ場だけど、とてもよかったのが、主人公ビームの礼真琴さんが逮捕されて、鞭打たれながら歌う「コムラム・ビームよ」の歌。どんなに圧し潰されようとも屈服はしないという歌詞だが、曲は、自分は森の民だという民俗的な神話的なテイストのじっくり語りかける曲調で、礼さんが聴かせる。

 ショーは指田珠子さんという若手の女性演出家の大劇場デビュー作で、これが月組の「万華鏡」もそうだったけど、ダークな雰囲気の凝った設定のショーで、ファンの評価は好き嫌いというか賛否あるみたいなのね。で、私はといえば、このショー大好き!すごくいい!実をいうと「RRR」よりこっちのショーのほうがいろんな場面が印象に残ってる。「RRR」のほうが物語的には単純なんですよね。
 オープニング、すぐに礼さん演じる青年が闇の中に登場。廃墟になっている劇場にたどり着いて、すみれの花の飾りに触れるとそこから照明が入り始め、劇場の古い記憶たちが時の彼方からよみがえってくるという、この導入部が、わあ、いいなぁ!って感じなんですよ。礼さんと一緒に観客もこの世界の中に入っていく。そして現れるトップ娘役の舞空瞳さんの衣装がいいの!草木や蔦がからまっているようなデザインで、廃墟に植物がからまっているのを表してるんだと思う。
 よみがえってきたショーや芝居のシーンが次々展開していく構成で、花形ダンサーに憧れる裏方の青年の夢や、貴族たちと役者たちや、場面ごとの設定があるが、劇場という場の「虚構」が強く感じられる。どれほどの熱狂も幕が降りれば終わり。
 私が一番気に入ったのは、サーカスの場。ここ、始まったとき、わあ!これ、好き!と感じたの。上手から真っ赤な衣装の旅芸人たち数名が登場した瞬間、レイ・ブラッドベリの「何かが道をやってくる」だ!と思ったんですよ。演出の指田先生がブラッドベリ好きかどうか知らないですけど、まあ、もしかしたらシルク・ド・ソレイユのほうかもしれないけどね。そういう雰囲気だったんですよ。異様な人々、怪しい空間、不穏な空気。蛇の礼さんと村娘の舞空さんの恋?しかし、団長(極美真くん)に妨げられ、やがてサーカスが去っていくとき、シルエットの礼さんが差し出す花、それを舞空さんは目にすることなく去っていってしまう。この終わりもいい。
 キャバレーの狂乱のシーンの群舞もよかった。タキシードの紳士たちや美女たち、みんな実在してる感じがしない、禁酒法時代の熱狂みたいな危うい感じ。
 このあとの礼さんの「孤独」の場の歌が聴かせましたね。歌から、コンテンポラリーふうのダンスになる。じっと聞き入って見入ってしまいました。
 パレードは、大階段の男役群舞・娘役群舞、びっくりのサングラスダンスなどあり、とても楽しませていただいた星組公演でした。
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