月組公演グランドコンサート「G.O.A.T」梅田芸術劇場1月17日~31日
初日を見て、その後複数回見ることができて、昨日がマイ楽でした。
トップスターのラストコンサートで、普通は月城かなとコンサートと副題が付くものらしいが、月城さんはそれを希望せず、あくまでも月組の公演として、月組生が新しい挑戦ができるように、みんなで作り上げる舞台になることを望んだのだそうだ。自分の退団を決めた理由が、月組の事業計画を見通した結果であったところからまったく変わらず、ずっと「組のため」「組子のため」と言ってる座長なんですね。もう、この人を解放してあげるには、早く退団させてあげるほかないんだなと思うね。
そういうわけで内容的にも、ラストコンサートらしい壮大なサヨナラショー的な構成では全然なかった。いちおう月城さんのこれまでの出演作のあれこれを見せるコーナーもあるのだが、そこが眼目ではなく、コンサートであることを生かしたショーというものになっていた。
開幕前からカウントダウンが始まり、まもなく始まるよ!という小芝居の録音が流れるのだが、鳳月さんのセリフの言い方があきらかに俊藤さんだと気づいたときの客席のざわめき!俊藤さんが出てくるのか?出てきたんですよ!
オープニングは月城さんがヒュー・ジャックマンのような司会者として、自分の出演作の軌跡を歌い、それに合わせて役に扮した組子がどんどん登場する。その中に俊藤さんがちゃんと登場して、劇中のワンシーンを再現!きゃー!
るろうに剣心に扮した風間くんが飛び出してくると、そこにせり上がってきたのは四乃森蒼紫!月城さんは久しぶりに着たという蒼紫コートを着て、二刀流、さすがのはまり役。初日の、この蒼紫登場のときの客席のどよめき!ギャー!やっぱり立ち回りうまいし、カッコいい。トップになってから一度も立ち回りないんですもんね。風間くんは立ち回り初心者で、動きを起こしてつけてもらった稽古は大汗びっしょりだったそうで、演出の三井先生に「こんなに汗かいた人、初めて見た」と言われたと。月城さんに「この人、汗びっしょりなのに、鏡見るのよ!自分チェックしてるの!鏡じゃなくてあたしを見て!って」とばらされてた。とはいえ、これで一緒にできてよかったねと言われていた。本公演のお芝居で見たかったけどね。鳳月さんとも立ち回りやってないし、ほんとにそこが残念なんですよ。
月ノ塚音楽学校というコント(お笑い)シーンが作られていて、やんちゃな生徒たちに外国人のツキシロ先生がタンゴを教えてオトナにするというクラス。雪組の望海さんのラストコンサートでもこういうコーナーありましたね、でも、月組の場合は、お笑いからさっさと色気たっぷりタンゴに突入しました。男子は学生服を脱いでツキシロ先生も上着を脱いで紫色のダンス衣装に変わり、女子はセーラー服を(なぜかうしろから男子が)脱がせて、いわゆるタコ足ダルマ姿に変身!その中で一際色っぽい女役が鳳月さん。鳳月さんだけはドレスでしたが、ロングスカートがタイトな上にスリット!ほとんどスリット!そしてツキシロ先生と鳳月さんとのデュエットダンスありました!うれしい、けれど、短いぞ!短すぎるぞ!二人のデュエットはまるまる1曲分ないとね。
しかし、このシーンの娘役さんたちみんな美脚ぞろいでしたね。学校コントも月城さんが主演だとオトナの色気の見せ場になるという。
白の衝撃と題する舞踊シーンが、さながらジゼルの二幕でした。白い衣装の女たちが迷い込んだ男を取り殺す、怖ーい雰囲気です。礼華はるくんに続いて月城さんも迷い込み、取り殺されていきます。ジゼルの存在はないんですよ、白い女たちみんなミルタなの。集団ミルタ、そりゃ怖いよ。そして驚いたのは、ここで客席降りがあるんです。1階席は白い衣装(たぶんみんな取り殺されちゃった)男たち、2階席は白い女たちが客席に来る。この難しい場面で客席降り?と面食らいました。私は初日は2階で、前が通路のセンター席。通路に来て踊る白い女たち、最後に目の前の彼女(若手のきれいな娘役さん、名前がわからない)は私の前の手すりを両手でつかみ、こちらに身を乗り出すようにしてキーッと威嚇するやいなや、ニヤリと勝ち誇って走り去っていきました。ひょえ~~!やっぱり白い女たちは死霊なんだと確信した瞬間でした。
コンサートなのでトークコーナーもありました。MCが月城さんと海乃さん。稽古中のエピソードなど話すのですが、MCがこの二人だと、月城さんが海乃さんに話を振り、海乃さんが自分語りをして、終わってしまうのよね。鳳月さんがいれば、れいこちゃん(月城)は?と振ってくれると思うんだけど。もしかすると月城さんは自分のことはしゃべらないと決めていたのかもしれないですが。海乃さんが咲妃みゆさんからいただいたスカートの話をした時も、咲妃さんなら月城さんも大の仲良しだったんだから何か言うかと思ったけど、一言も口を挟まなかったし。
日替わりで組子2人が出るのですが、昨日はその2人がやりたいこととして、ダンスでよくある、男役が両手を広げて両側の娘役の手を取って、娘役は両側からクルリと抱き込まれる、そしてまた外側にクルリと展開するという振付を希望したのです。月城さんがそれをやってあげた後、次のコーナーで鳳月さん風間くんが登場したら、「あれやりたい!私たちも!」とおねだり。やったんですよ、男役3人で(笑)。そしたら鳳月さんに文句言われたのです、「なんか雑!」
月城さん「じゃもう一回!やさしくやるから」もう一回やって、「ひとりっ子トリオの決めポーズにしよう!」
この3人、3人ともひとりっ子で、よっぽど気が合ったのか、とてもとても仲良し。今回、ひとりっ子トリオと名乗ってるんですね。「ひとりっ子トリオです!と紹介されたら、これやろう!」と月城さんうれしそう。鳳月さんが、誰がそんな紹介してくれるの?と笑ってたけど、そうねえ、サヨナラショーの時にでもお願いします。
今日の千秋楽、このコーナーで、月城「ひとりっ子トリオも解散か」風間「解散しない!しない!したくない!」のあと、月城「ひとりっ子トリオは永遠でぇ~す」鳳月・風間「わぁーい!」という展開があったそうです。
このコーナーは、月城・鳳月・風間という、月組のトリデンテがスツールに座って、さぁ、じっくり歌をお聞かせしますよというコーナーなのです。宝塚のショーだったら必ずダンサーを出すか陰コーラスを付けるかするだろうけど、伴奏も少なくて、一部分まったくアカペラでハーモニーを聞かせたり、ソロで1曲ずつ、3人で2曲を歌う、コンサートならではの演出。そして、いま、歌だけを聞かせて成立させられる3人が月組にそろっているからできる演出。
今回、ペンライトがグッズで販売されていて、開幕からどんどん振ってて楽しいのですが、このコーナーでは3人もペンライトを持っていて、色指定があって、3人と一緒に同じペンライトを振りながらゆったり聞く歌声。しあわせな空間でしたね。
ショー的なコーナー、賑やかにパレード的なコーナーもあってからのラストは月城さんのソロ曲。一人でまるまるフルコーラス聞かせた「銀の龍の背に乗って」
感動でした!中島みゆきの曲なんですね。歌詞が、さまざまな傷を負って、それでも崖をのぼって龍の背に乗ろう、命の砂漠に雨雲を届けようという内容で、月城さんは今日の千秋楽のカーテンコール(緞帳前)で、この曲を選んだ理由を震災などつらいことがあって励ましになればと思ってと言ったそうだ。日本の状況もだし、宝塚の状況も思わせる歌詞なんですよね。
月城さんの「表現としての歌の力」がほんとうにすばらしくて、感動しました。この後、最後は全員でsing sing singを歌って踊って賑やかなフィナーレが用意されていて、手拍子してペンライト振って大盛り上がりの閉幕になるんですが、それでもなお、この「銀の龍」の余韻が残っていく感じ。月城さんはトップスターになってから、ほんとに歌のクォリティを急激に上げてきた人だと思う。このラストコンサートでそれが遺憾なく発揮されていました。
しんみりしたり、寂しくなるような風情をいっさい出さない空気で、それは月城さんが終始楽しそうに、張り切ってやってるからだと思う。ただ、月城さん自身は、もう退団発表したから言っていいんだ的に、もうすぐ自分はいなくなるというのをサバサバと入れ込んで話すんですよね。風間くんがペンライトの扱いにオタオタしてると、「大丈夫?(私がいなくなって)これから大丈夫なの?心配になるわ。ちなつさん(鳳月)よろしくお願いします」なんて言ったりするので、聞いてるファンのほうにはけっこう響くんですよ。まあ、それも月城さんらしいのかな。
さあ、ラストコンサートが無事に完走でき、あとはもう一公演を残すのみ。
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