よむよま

よむ・よまない、それから。

世界の果ての庭

2013-09-01 19:32:52 | 読む
西崎憲「世界の果ての庭」創元SF文庫

謎の本だった。

ショートストーリーズと副題に付いてる。
そして帯にも、物語の断片が樹形図を成すと書かれているので、
私はてっきり、ショートストーリーたちが、最後には収束していって
一つの物語につながって、
謎解きもされて終わるんだろうと思ったんだけど、
そういうはっきりした解決編はない。

いくつかのお話が、断片的に語られて、
読みはじめは相互にまったくつながりのないことや、
あまりにも短い(オチなく短い)ことに、面食らった。
でも、読んでいくうちにおもしろくなってきて、入り込んでしまった。

作家の女性が知り合ったイギリス人の持ち込んだ意味不明のメモ、
若くなる病気にかかった母、
終戦の直前に脱走した日本兵がたどり着いた場所はナニ?
(この場所が凄くて魅力的)

キーワードがいくつかあって、
影とか、謎とか。

つながりも、あるにはある、
謎解きも、あるにはあるが。
大きな謎はそのまま残るので、
読み終わったとき、不思議な場所に置いていかれた感じだけど、
「えー、なにコレ?」というんじゃなくて、
さわやかな余韻がある。
コメント
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