硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

「巨神兵東京に現る」 週末を超えて。

2020-04-16 21:11:18 | 日記
伊佐木が語ることには、懐疑的にならざるを得なかったが、伊佐木は澪の気持ちに構うことなく話をつづけた。

「そして、船に残ったものは、地球を去る前に、なぜ人類が滅んだのかを徹底的に調査し、判明したのは、思想を分けた者達は『巨神兵』という強力な兵器を用いて、我々を殲滅しようとし、我々の祖先も、対抗するために、手に余る高出力エネルギー兵器を使用した。だが、結果は、相殺し合っただけであったのだ。」

「・・・・・・・。」

「そして、我々の祖先がコミニュティーの再構築を図り、新たな文明が繁栄した頃、相手の調査船が帰還し、変わり果てていた地球をみて驚いたのだが、文明が後退していた事に気づき、領土を奪還するために攻め入ったのだが、原始的な営みを選んだ者達には防衛する手立てがなく、口伝で伝えられたSOS信号を発信し、それを傍受した新たな惑星でコミニュティーを築き上げた、我々が防衛に駆け付けたのだが、理解できぬ科学力を目の当たりにした彼らは、我々を神と呼んだのだ。」

澪は、神殿を前に、神の存在を否定する伊佐木の言葉に違和感を覚えた。神は人類の創造物でしかないと言っているようなものではないかと。

しかし、人類最大の謎である神の存在など、澪の与り知らぬところである。それよりも、地上で争われたものなら、痕跡が残るはずであり、痕跡を発見すれば、考古学者が異を唱えるはずである。澪はその疑問を伊佐木にぶつけてみた。

「大きな争いがあったのであれば、なにかしらその痕跡が残るのでは? 」

その問いに、伊佐木は笑った。

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