南九州の片隅から
Nicha Milzanessのひとりごと日記
 





 「くまもとアートポリス(KAP)」
 建築を学んでいる人ならば少なからず知っているだろう、熊本県が約20年にわたって進めている事業である。事業を始めたのは当時の知事・細川護煕氏と建築家・磯崎新氏。現在は伊東豊雄さんが3代目のコミッショナーを務めている。
 今日は、その75番目のプロジェクト「モクバンR2」の完成お披露目会が開催されるとのことだったので、見学に参加してきた。
 ちなみに「モクバンR2」とは「木造バンガロー・ラウンド2」の略らしい。

 現地は熊本県球磨郡(くまぐん)球磨村(くまむら)にある球泉洞(きゅうせんどう)休暇村。ここには鍾乳洞とキャンプ場、リフトや吊橋もあり、熊本県人ならば一度は足を運んだことがあるのではないだろうか。

 そこに1~2年前に「モクバン」(以下「R1」)が完成し、今回はその第2弾「モクバンR2」(以下「R2」)が竣工したという。R1もR2もコンペ(設計競技)で選ばれた設計者による設計とのこと。
 R1の設計者は今や新進気鋭の若手建築家・藤本壮介氏(若手と呼ぶのはもはや失礼か?)。R2は渡瀬正記氏・永吉歩氏。
 R1がルービックキューブのお化けのような四角い外観であるのに対し、R2は三角屋根のかわいらしい外観である。

 モクバンR2。
 床はもちろん、屋根も壁もすべて地元の杉材でできていて、それを透明のFRP(ガラス繊維強化プラスチック)で覆っている。FRPは防水材としてもよく使われる材料であり、これによって風雨を凌ぐらしいが、本当に大丈夫なのかちょっと心配…。
 それでも内部に入ると、外部から差し込む光がレースカーテンのようでとても綺麗だった。目の前を流れる球磨川も一望することができる。窓を開け放つと思ったより涼しく、快適に過ごせそうだった。

 見学会のあとは場所を川向いの森林館(設計:木島安史)に移して、R2の設計者である渡瀬・永吉両氏や伊東豊雄さんによるシンポジウム。木材の専門家の方も出席していて、建築方面ばかりに話が傾かなかったのもよかったように思えた。
 日本には建築資材としての成熟した木が豊富にあるが、それを手入れする人がいないこと、安い外国産材に市場を奪われていることで、日本の山は荒れ放題だという。
 何とかならないだろうか。私も建築分野に携わる者の1人として、ちょっと考えさせられた。



【写真1】モクバンR1。これって本当に泊まれるの?


【写真2】モクバンR2。とんがり屋根の外観


【写真3】モクバンR2。内部にこぼれてくる柔らかい光が心地よい


【写真4】モクバンR2。室内から球磨川を眺める


【写真5】目の前を通過していく“球磨川下り”。涼しそう

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