南九州の片隅から
Nicha Milzanessのひとりごと日記
 





 JR豊肥線の熊本-宮地間を走る「SLあそBOY」が老朽化のため、8月28日を持って83年(復活後の豊肥線では17年)の歴史に終止符を打ち、廃止されることになった。
 このニュースを知ったのは6月だった。すぐさま窓口へ電話をしたが、その日のうちに全て予約で完売とのことだった…。
 引退まであと一週間という今月22日、再び電話をしてみた。すると、なんと26、27日の上り列車にキャンセルがあるとのことだった。こうして、念願の「SLあそBOY」に乗れることになった。
 いつもなら、鉄道に興味がない…それどころか鉄道好きな私にうんざりしている(笑)彼女も、SLに乗れることに今回ばかりはさすがに喜んでいた。

 朝からは普通電車で阿蘇へ向かい、レンタカーを借りて米塚と草千里へ。小学生時分に登った米塚は今では登山禁止となっており残念だったが、草千里では生まれて初めて馬に乗った。

 午後、出発駅の宮地駅へ。ホームはSLとの別れを惜しむファンや観光客でごった返していた。私も負けじと写真を撮る。
 切符と座席を見比べて唖然とする! なんと、座席は客車の一番前! 団体客のキャンセルの穴埋めで取れた席が、まさかこんな大当たりの席だとは思ってもみなかった(感涙)。

 定刻になり、ゆっくりと動き出す。後ろから補助のディーゼル機関車が押しているとはいえ、SLの迫力と汽笛には圧倒された。
 途中、沿線には、一瞬を逃しまいと一眼レフのカメラを構える人、携帯電話のカメラで気軽に写す若者、家族で手を振る人、並行して走る国道57号線を行く車から顔を乗り出して眺める人がたくさん見られた。それに応えて、機関車は汽笛を鳴らし黒煙を上げながら疾走する。
 普段は鉄道にそれほど興味を感じない人も、さすがのSLには何か惹かれるところがあるのだろう、老若男女問わず皆こちらを振り返っていた。
 豊肥線には立野駅付近に、阿蘇の外輪山の険しい山道を越えるためにスイッチバックがある。SLがバックして客車を押して行く姿は、格好のシャッターチャンスだったのだろう、カメラを構えた人が多かった。

 終点・熊本駅に到着。ここでも多くのファンと観光客がホームで出迎える。今回運転した2名のベテラン機関士は、今日で引退だという。ホームで花束の贈呈。
 その後、SLが車庫のある停車場の方へ去るまで見送り続けた。

 これだけみんなに愛されているSLである。老朽化による引退では致し方ないかも知れないが、何とか復帰して欲しいと思う。


【写真1】阿蘇の原野に放牧されている馬たち


【写真2】草千里から阿蘇山中岳火口を望む


【写真3】米塚


【写真4】かわいらしい米塚


【写真5】宮地駅にて「SLあそBOY」出発準備


【写真6】肥後大津駅にて普通列車と並んで


【写真7】ウエスタンを思わせる豪華な客車内

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