メディア遊歩道

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銀河鉄道の夜(サイエンスドーム八王子)

2008-11-24 10:55:23 | Weblog
上映ギリギリに着いたサイエンスドーム八王子の入場整理券は75番。日曜日の昼なのに、客入りは寂しい。

客席には上映中に泣きそうな幼児や時々奇声をあげる監視が必要な方が居てなにやら悪い予感。


銀河鉄道の映像化は色々あり、プラネタリウム化も前例あり、府中郷土の森プラネタリウムでの上映を見たことがある。

それはキャラクターは抽象化されていたが、感動的であった。銀河鉄道の夜の映像化のなかでは成功した部類だった。

猫キャラのもありましたし、風の又三郎のついでに映像化した映画もあったしインスパイアされたものは数知れず。


今回は加賀谷作品ということで、サンシャインプラネタリウムから全国巡回している。

今回の映像化は、宮沢賢治がそのモデルとした軽便鉄道を本当に銀河の川縁に走らせることに集中しており、鳥以外の生物キャラクターは動かず、さそりはイラストと語りのみ。活字も牛乳もタイタニックも登場せず、博士おいておや。

ストーリー説明も放棄して、原作を読めと。

三角塔が、キャラクター的な扱いではあった(三角塔がこんなに重要なアイテムとは!この作品を見るまで気付かなかった。)

時間の限られたプラネタリウム作品ではやむを得ない処理だが、私は深く楽しむことが出来た。

途中で幼児が泣き、奇声があがり、トイレに行く子供のために非常口の明かりが灯ろうとも、作品の力は衰えることはなかった。


加賀谷さんは現地取材し、銀河の暗黒物質の深い川の川縁を黙々と進む銀河鉄道を表現している。

岩手のひんやりとした空気が伝わって来る。

そのためキャラクター性は排除し、あとでこの汽車を思い出しながら原作を読んで欲しいと思ったのだろう。
(また、猛烈に読み返したくなった)


この全天周映画の圧倒的イメージは、今後、未完成のその原作を読む時にまとわりついて離れないだろう。

20メートル程度のチンケなスクリーンで見てもしょうがない作品だから、それを狙っている。

だが、キャラクターは要らないけれど、銀河鉄道の全行程を忠実にたどった完全版を見たい。

特別編、「今夜の星空」なんて前座なし、原作読んでない人は途中下車な作品を見たい。

この作品が日本一周したら次には…

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