新聞広告がすべてAdsence経由になった日

2009年01月01日 | 人生はマーケティングもある。
2016年04月1日は新聞に掲載される広告がすべてAdsence経由になった日として、広告史に記録される日となるであろう。
この日をもって日本で発行される総ての新聞広告の原稿は、Adsenceコンテンツマッチシステムで、最適掲載位置に掲載されるようになった。

[2016年現在の新聞の形]
毎日新聞がすでに日本国内向けの通信社となり、産経新聞が日本経済新聞と統合された2016年現在、日本全国をカバーする新聞紙は日経、読売、朝日という三つになっている。そして、印刷システムは、数年前に朝日・読売・日経の三新聞社間で完全に統合されて日本新聞印刷という会社になっている。また、新聞販売店は後継者不足とともに無くなり、個別配達は、宅配業者数社に配分されている。
今年現在、日本新聞印刷という会社も印刷機を持っているわけでない。今は、宅配業者の末端集配デポにおかれている、小型高速印刷機の管理をしているだけだ。この、高速印刷機によって、配達地域に配られるだけの部数の紙面が各新聞ごとに無駄なく印刷されて、昔と同じように毎朝ポストに新聞が宅配されている。購読料は、20世紀終わりの頃に比べれば2倍ほどになっているけれど、新聞を購読している家庭が5分の一ほどになっていることからすると、けっして高くなっているとはいえない。ぶすうが減っているとは言うものの、むしろ、最近では「新聞を購読している家庭」という、情報高感度高所得者層メディアとしての広告価値が高くなっているのである。

[Adsence経由の広告掲載の仕組み]
その日の紙面記事を印刷直前、そのデータが編集システムから、印刷システム送られる間にAdsenceコンテンツマッチシステムを経由させ、紙面に掲載される記事内容にマッチさせた(応じた)最適の広告原稿と合成されて、印刷システムに転送される。
たとえれば、冬前に、兵庫県は香住漁港に水揚げされたズワイガニの初せりを伝える記事があれば、その下の広告スペースにイトーヨーカドーの北海道魚介類セールの広告を掲載することで、読者の購買行動を励起させる、といったことだ。
地方面は、配信先の地域に応じて、地域情報を加味して、地域ターゲット広告を市町村単位で掲載することができる。
15段(全面)の広告においては、対向面の種類とそのコンテンツマッチする。
Adsence経由で広告掲載する場合、ネガティブマッチキーワードを設定することが出来る。(包丁の広告の場合の刺殺事件など)。見開き、マルチ広告の場合、コンテンツマッチは排他的(ネガティブマッチ)を主なものとする。

配達先の読者が望めば、読者のデモグラフィックや、ライフステージに応じた広告が掲載された紙面を手に入れることも出来る。また、PCや携帯を通じて接触した情報(行動データ)を新聞印刷・配達システムに転送することによって、読者の現在の興味・志向に対応する広告を紙面に反映することも出来る。この際に読者の許諾が必要となる。

[掲載料金の決定方法]
掲載料金は、入札制。ベッド価格の高い広告が優先されるのは、Adwordsと同じスキームを取る。契約単価(年間掲載総段数コミットメント)のある場合は、その価格が上限となり、入札価格比較は、絶対金額ではなく、入札できる金額の最高価格との比(パーセント)が基準となる。
契約単価のある広告主も、その価格より低い価格でベッドすることが可能で、掲載された場合は、コミットメントされた段数に算入される。この場合、契約単価より低い価格でベッドしたときの掲載されないという広告主の(契約段数を消化できない)リスク、紙面が空いているから、契約単価という値段の高い広告が取れないという媒体社のリスク、双方でリスクは相殺される(フェアネス)。
掲載面を指定しない広告入札も可。各面で、落札できるコンテンツマッチ広告がない場合に掲載される。この広告は、どの面に出るか、また明日は出ないかもしれないけれど、安く広告掲載ができることで、リスクの相殺が保障される。
広告サイズは、複数の入稿が可能。新聞社は複数サイズの原稿を組合すことで広告収入の最大化が図れるし、広告主も掲載されないリスクが軽減される(フェアネス)。
同載拒否設定が可能。ただし同価格入札の場合同載許可原稿が優先される。契約段数単価を持つ広告主も、段数単価正価を最高金額(契約単価を超える価格)での入札をする権利は留保される。

仮に、広告領域を埋めるだけの広告がない場合。新聞紙面には、新聞社自身の広告が掲載される。またはgoogleの自社広告が掲載される(新聞社と googleのリスク相殺)。15段を超える広告領域(紙面)余る場合は、印刷機が自動的に紙面数を減ページするだけで、印刷されていない白紙を配布するということはない。配達料金は配達先の戸数による定額制。

広告出稿を始めるには、まずはじめに広告原稿に応じたキーワード設定をする必要がある。キーワードの選択は、原稿をAdsenceシステムに送り紙面上に出現する単語、原稿上に表現されるビジュアルを元に、リコメンドされた、ターゲットワードとターゲットビジュアルのなかから、広告主が選択する。
すでに、PCにおいては、キーワードによるマッチ広告であるキーワードマッチとともに、ビジュアルの近似性を基にしたビジュアルマッチ広告というものがYOUTUBEの広告システムの開発を機に完成されて、ブランディング広告に威力を発している。

[そして新聞社はどうなったか]
こうして、新聞広告は、コンテンツマッチシステムからの自動配信になる。新聞社には、広告局と呼ばれていた組織はあるにはあるが、ほんの4~5人の要員で運用されている。
広告収入、購読収入もともに2000年頃の2分の1程度になっているが、社員も減っているので、十分やっていけるようになっている。社員記者も減っているが、一般の人の書く記事マーケットプレイスから購入することで、十分なコンテンツ量が手に入る。

こうして、日本の広告が、新聞・電波・雑誌・ネット・OOH(デジタルサイネージ)の媒体種類を問わずにメディア選択-効果測定のできる、統一プラットフォームへの一歩を歩み始めたのである。