父祖の喜怒三角四角秋棚田 田口十糸子
収穫の前か後ろか
今は亡き父の丹精の棚田に立っている
作者の姿が鮮やかである
この見事な棚田の容はさまざまで
ひとつとして同じ容はない
父の開墾の苦労がしのばれる
苦労の後の乳の笑顔もまた偲ばれる
(小林たけし)
【秋の田】 あきのた
◇「秋田」 ◇「色づく田」 ◇「田の色」 ◇「稲田」(いなだ) ◇「早稲田」(わせだ) ◇「稔田」(みのりだ) ◇「稲田道」 ◇「稲田風」
稲が成熟して色づいた田。稲は重たげに穂を垂れ、黄金色である。風がわたる毎にさやさやと穂ずれがして、波がわたっていくように見える。
例句 作者
秋の田にものを落して晩鴉過ぐ 山口誓子
宍道湖の波のかよへる稲田かな 大場白水郎
秋の田の父呼ぶ声の徹るなり 田中鬼骨
牛小屋に牛ゐて曇らざる稲田 原 裕
秋の田の大和を雷の鳴りわたる 下村槐太
友が住めるは此の里か稲田ひろびろ 荻原井泉
おほらかに生きて稔り田庭続き 大城まさ子
幸魂の集まる広場秋の田は 堀之内長一
稔る盆地に一途の煙マンの死へ 金子兜太
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