
櫓田
無医村の棚田ひつぢを立たせけり (凡茶)
落日やひつぢ田帰る応援団 (凡茶)
穭・稲孫(ひつじ・ひつち・ひづち)は、
稲刈りをした後の株に再生した稲である。
いわば、稲の蘖(ひこばえ)である。二番穂とも呼ばれる。
稲刈り後もしくは穂刈り後に放っておくと、再び穂が出る。
穭稲(ひつじいね)・穭生(ひつじばえ)ともいい、
稲刈りのあと穭が茂った田を穭田(ひつじだ)という。
季語の意味・季語の解説
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稲刈りのあと、その刈り株から再び萌えだした青い芽を「ひつじ」と言います。
そして、ひつじが一面に生えそろった田んぼを「ひつじ田」と言います。
季語随想
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稲の一生には二つの時期があります。
一つは、田んぼに植えられてから刈り取られるまでの時期。
おいしい米をいっぱい実らせようと育っていく時期。
それは、人々の期待の中で、精一杯人々のために生きる時期です。
もう一つは、収穫後の、誰も見向きもしなくなった田んぼに、青々としたひつじとなって、再び萌えだした時期。
やがて冬の風に枯らされるまでの短い間、晩秋の色づいた景色や、初冬の小春日和を満喫する時期。
それは、他人に何かを期待されることがなくなっても、最後まで精一杯自分を成長させようと生きる時期です。
どちらの時期も、稲にとっては、かけがえのない時期なのです。
参照 http://haiku-kigo.com/article/133882668.html