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竹とんぼ

家族のエールに励まされて投句や句会での結果に一喜一憂
自得の100句が生涯目標です

父の日の大笑面に逢いにゆく 清水伶

2021-06-20 | 今日の季語


父の日の大笑面に逢いにゆく 清水伶

作者は久しく会っていない父を訪う道筋にいる
私に会えば父はいつもの笑顔で迎えてくれるに相違ない

しかし今日は父の日
小脇に抱えている父へのプレゼント
破顔の父に早く会いたい
足取りは早まってくる

大笑面が言いえて妙だ

(小林たけし)



【父の日】 ちちのひ
6月の第3日曜日。父に感謝する日。母の日と同様にアメリカから起った行事。

例句 作者

ガニ股に歩いて今日は父の日か 能村登四郎
忘られてゐて父の日の冷奴 吉田未灰
流れ弾に当りし如し父の日は 大畑等
父の日に形状記憶のシャツ貰う 山口伸
父の日に雨降る電信柱かな 福本弘明
父の日のさびさびとして中二階 山崎聰
父の日の公園背凭れなきベンチ 石田よし宏
父の日の夕空晴れて浅間山 山本紫黄


ふところに乳房ある憂さ梅雨ながき 桂信子

2021-06-17 | 今日の季語


ふところに乳房ある憂さ梅雨ながき 桂信子

男にははかれぬ感情だがさもあろうと納得する
その質量の存在感も憂きものだろうが
この梅雨どきの鬱陶しさはやりきれない
乳房に染み出るじっとりとした汗に叫びたく差へなる
(小林たけし)


【梅雨】 つゆ
◇「梅雨」(ばいう) ◇「黴雨」(ばいう) ◇「荒梅雨」(あらづゆ) ◇「梅雨前線」 ◇「長梅雨」 ◇「梅雨時」 ◇「梅雨空」 ◇「梅天」(ばいてん) ◇「梅雨雲」 ◇「青梅雨」 ◇「空梅雨」(からつゆ) ◇「旱梅雨」(ひでりづゆ) ◇「梅雨曇」
6月上旬から7月中旬にかけて降り続く長雨をいう。前半はしとしととした雨が続き、一旦中休みがあって、後半は梅雨明け間近には雷を伴って豪雨となるが多い。「つゆ」は“梅の実の熟する時期の雨(梅雨)”とも、“物に黴が生じやすい時期の雨(黴雨)”とも言われる。「青梅雨」は新緑に降る梅雨をいう。「空梅雨」は梅雨期間にほとんど雨の降らないこと。「旱梅雨」ともいう。


例句 作者

おほつゆの玻璃のかがやきそめにけり 原波朗
おほつゆの窓のさし来る旭かな 原波朗
かりそめの梅雨物語いま漕ぎ出でな 河西志帆
さよならと梅雨の車窓に指で書く 長谷川素逝
ずんずんと鼻毛の伸びる梅雨かな 丸谷才一
ほどほどにならぬが自然梅雨出水 出口民子
わが骨の音を消したる梅雨畳 勝部孚萩
わらうてはをられずなりぬ梅雨の漏 森川暁水
コソボ停戦その朝刊の梅雨湿り 倉本岬

またたきは黙契のこと梅雨の星 丸山哲郎

2021-06-16 | 今日の季語


またたきは黙契のこと梅雨の星 丸山哲郎

梅雨空に星のまたたきを観た
ただ黙って立ち続けたのはほんの数秒
しかしそのまたたきを観る前の
小さな悩みは消えていた
黙契は己自身の決意、確認のことだろう
季語 梅雨の星 ならではの情感が良い
(小林たけし)


梅雨の星(つゆのほし) 仲夏
【子季語】
麦星/麦熟れ星
【解説】
梅雨の晴れ間に見える星。雲間に少し見えることもあれば、梅雨晴の夕空に輝くこともある。

例句 作者

梅雨の星齢といふも茫々と/廣瀬直人

水底の石にこもりし梅雨の星/伊藤敬子

畑から背負つて戻る梅雨の星/小出秋光

ひとところ密雲洩るる梅雨の星/道部臥牛

むささびや杉にともれる梅雨の星/水原秋桜子

電報の文字は「ユルセヨ」梅雨の星/西東三鬼

とんぼうに先手うたるる譜面台 峡天衣女

2021-06-14 | 今日の季語


とんぼうに先手うたるる譜面台 峡天衣女

作者は夏の午後
午睡から覚めてピアノに向かう
さてと譜面台に目をやると
とんぼが止まっている
そこを<先手うたれる>と表意
ただそれだけのことなのだが
その切り取りがさわやかで気持ちが良い
とんぼうと譜面台の取り合わせは他にはあるまい
(小林たけし)


【蜻蛉】 とんぼ
◇「とんぼう」 ◇「あきつ」 ◇「蜻蛉」(やんま) ◇「鬼やんま」 ◇「塩辛蜻蛉」 ◇「精霊蜻蛉」(しょうりょうとんぼ)
晩春から秋遅くまでいろいろな種類が見られる。飛ぶ姿が涼しげで、秋の季語とされる。蜻蛉は成虫・幼虫とも肉食で他の昆虫を捕食する。大きな複眼が印象的。

例句 作者

いたりやのふいれんつえとおしとんぼ釣り 阿部完市
かげろふの坂下りてくる大あたま 飯島晴子
かげろふや丘に群がる兵の霊 石原八束
さびしさに蛇や蜻蛉を生んでみる 鳴戸奈菜
とどまればあたりにふゆる蜻蛉かな 中村汀女
とんばうに肩先貸して棒になる 山﨑幸子
とんばうや後の敵の見えてをり 木村真魚奈
とんぼう、 子を焼く木ひろうてくる 松尾あつゆき

傘さしてこの世をへだつ花菖蒲 寺井谷子

2021-06-13 | 今日の季語


傘さしてこの世をへだつ花菖蒲 寺井谷子

中七が全てだろう
作者は何か思い切りたいものを胸に抱いているのだろうか
菖蒲の咲く池のほとり
雨の中 傘をさして現実と乖離したような救いを感じたのだろうか
(小林たけし)


【花菖蒲】 はなしょうぶ(・・シヤウ・・)
◇「白菖蒲」 ◇「黄菖蒲」 ◇「菖蒲園」
シベリア原産のノハナショウブを原種として、観賞用に品種改良された。江戸系、肥後系、伊勢系に分けられ、江戸系は比較的簡素で群生させて鑑賞するものが多い。藍、紫紺、紅紫、白、絞りなどがあり白か薄紫に濃い紫の脈の走るものが特徴。肥後系は花が大きく切花、鉢物に向く。伊勢系は花弁に繊細なひだや折り目がある優しい姿が特徴。ヨーロッパ原産の黄菖蒲もある。

例句 作者

僧形の魚をたどれば花あやめ 岩尾美義
大甕にとしつきの罅花菖蒲 横山房子
影はみな祈りのしぐさ花菖蒲 中村武男
沖からの日照雨となりし花菖蒲 伊野多津男
煽られて浮世ばなれの花菖蒲 三上啓
白菖蒲紫のなか白堪ふ 殿村菟絲子
紙兜かぶりし猫と花菖蒲 金井充
紫は水に映らず花菖蒲 高浜年尾
良き水を生む里に住み花菖蒲 津上清七
花菖蒲傘かしげして行き違ふ 今井游子

ネガティブな六区界隈心太 倉持淑子

2021-06-12 | 今日の季語


ネガティブな六区界隈心太 倉持淑子

あの六区界隈を作者はネガチィブと一言で言い切っている
しかしその本意はポジティブであることが伺える
季語 ところてん これは完全なる認諾ではないか
(小林たけし)

心太】 ところてん
◇「心天」(ところてん) ◇「こころぶと」 ◇「こころてん」
天草(てんぐさ)を日に曝し、水に浸して更に干した後、煮溶かして麻袋で漉し、型に入れ冷し固めたもの。四角い棒状に切り出し、心太突きで麺状にしたものに醤油・酢・蜜などをかけて食す。奈良時代から「こころぶと」として記載が見られるが、江戸時代以降には氷屋などで供されて、庶民に広く嗜好されている夏の食べ物。寒天からも作る。

例句 作者

くみおきて水に木の香や心太 髙田正子
くらやみの喉をとほりぬところてん 神生彩史
ところてんいま一族の腹の中 小菅白藤
ところてん煙のごとく沈みをり 日野草城
ところ天一気に押して父となる 吐田文夫
ひるすぎの町音にゐて心太 桂信子
みんな死ぬ暗黒映画ところてん 鈴木砂紅
九分通り肩書はづす心太 田口佐江

花嫁のように鯉くる梅雨の入り 和田浩一

2021-06-11 | 今日の季語


花嫁のように鯉くる梅雨の入り 和田浩一

花嫁のように来る鯉
見事な緋鯉、あるいはいたいけな小さな緋鯉か
作者は自分の娘の姿にかぶさって思えるのだろうか
あまり深読みしないで良いのだろうと思う
梅雨の入り が微妙な心理に取り合わせて絶妙
(小林たけし)


【入梅】 にゅうばい(ニフ・・)
◇「梅雨に入る」 ◇「梅雨の入」 ◇「梅雨入」(ついり) ◇「梅雨入」(つゆいり)
本来は立春から135日目、ほぼ6月11、12日頃を入梅としたが、最近では気象庁の「梅雨入り宣言」に基くのが慣習で、年毎に差異があり、又地域によっても梅雨の時期は異なる。梅雨はほぼ1ヶ月続く。

例句 作者

多機能を使いこなせず梅雨入かな 山中佐津喜
抽出しの軋む音して梅雨に入る 浅見芳枝
日本も日本人も梅雨に入る 國定義明
梅雨に入る水のにほひの永平寺 國定義明
梅雨の入り持病に一日付合ぬ 山根貞子
梅雨入りの囁き羅漢石の耳 進藤清
梅雨入りを前に身軽な山である 山口木浦木

麦飯のところどころでよいとまけ 篠原信久

2021-06-09 | 今日の季語


麦飯のところどころでよいとまけ 篠原信久

季語の麦飯が初夏の季語だと納得するまでに時間を要する
麦秋からの連想が浮かぶが
絶滅寸前の季語なのかも知れないと思う

掲句も古い記憶を呼び覚ましての作だろう
(小林たけし)


麦飯(むぎめし) 初夏
【子季語】すむぎ
【解説】
裸麦や大麦を米に混ぜて炊いた飯。近年では加圧して押し麦にしたものを炊き込む。麦の収穫は五月から七月頃。麦はビタミンB類が多く滋養に優れる。とろろ汁をかけて食べると美味。宮崎の冷や汁に麦飯は欠かせない。

【例句】 作者
京まではまだ二日路や麦の飯 草斧「新華摘」

夕陰の新麦飯や利休垣 一茶「八番日記」

城門に銃弾の跡青嵐 服部伶子

2021-06-06 | 今日の季語


城門に銃弾の跡青嵐 服部伶子

城址の散策に城門の銃痕を発見した
おりからの南風に青葉が大きく揺れる
一気に時空をこえて城のさわめきを共有する
(小林たけし)


【青嵐】 あおあらし(アヲ・・)
◇「風青し」 ◇「青嵐」(せいらん)
初夏の青葉のころに吹きわたる爽やかなやや強い風のこと。「夏嵐」とも。概ね南寄りの風である。「せいらん」とも読むが「晴嵐」と紛らわしいので「あおあらし」と読まれることが多い。同じ南の風でも「南風」(みなみ・はえ)の方が生活に密着した語であると言える。

例句 作者

とまり木に老いける鷲や青嵐 水原秋櫻子
なつかしや未生以前の青嵐 寺田寅彦
カルメンの振り向く視線青嵐 小髙正子
下京を過ぎてしばらく青嵐 桂信子
光芒としての蛇口や青嵐 永井江美子
切符ふと落すメトロの青嵐 榎本愛子
四方みな山見ゆ二階青嵐 境初子
壮行の日もよ鎮守の青嵐 鈴木節子(道標・俳句人)
夏嵐机上の白紙飛び尽す 正岡子規

緑陰や輪ゴム千個に射抜かるる 渋川京子

2021-06-05 | 今日の季語


緑陰や輪ゴム千個に射抜かるる 渋川京子

青葉の重なりの作る木漏れ日を
作者は「輪ゴム」と表意する
夥しいその木漏れ日に気持ちよく射抜かれている
なんともしあわせな時間
(小林たけし)


【緑蔭】 りょくいん
◇「翠蔭」(すいいん)
茂った青葉が作り出す蔭をいう。炎暑の中にあって木蔭に一歩入った時の心地良さは格別のものがある。木洩れ日を浴び、時には涼風も吹く中で、人々は読書や語らいなど、思い思いに憩う姿が見受けられる。

例句 作者

緑陰の傀儡ひとりにひとつづつ 五島瑛巳
緑陰の笑顔そんなにさびしきか 齊藤美規
緑陰もまたおちつかず揚羽蝶 桂信子
緑陰やアルキメデスの話など 野木桃花
緑陰や水際に魚の匂ひして 桂信子
緑陰をよろこびの影すぎしのみ 飯田龍太
裏道に緑陰が見えそこへゆく 桂信子

六月とは遠くの牛の傾きなり 塩野谷仁

2021-06-04 | 今日の季語


六月とは遠くの牛の傾きなり 塩野谷仁

難解句ととらえるかは読者次第だ
六月の夏とは言えない独特の季節感は
なににも例えられない不思議な怪しいものがある
作者は作者だけの六月を主張している
これこそが心象というものなのだろうと納得する
(小林たけし)


六月】 ろくがつ(・・グワ・・)
6月は俳句の上では仲夏になる。緑も深まり、夏らしさが目について来ると同時に梅雨入りの時期でもある。

例句 作者

六月のしあわせ集む孫の婚 松本夜誌夫
六月のピアノを置いて嫁ぎゆく 松岡耕作
六月のメタセコイアの雀たち 崎元風骨
六月の女すわれる荒筵 石田波郷
六月の富士よく見えてこころに師 火野保子
六月の母の真珠の重かりき 小川葉子
六月の沼に浮かびし杭の先 福島知子
六月の海の碧さにポスト塗る 高篤三
六月の海原に玉沈めんか 原裕
六月の真夜の家裂く金の馬 金子皆子
六月の眩暈のような箱届く 服部修一
六月の背広に古きティッシュかな 松本勇二

夏草を抜いてもぬいても日曜日 酒井十八歩

2021-06-03 | 今日の季語


夏草を抜いてもぬいても日曜日 酒井十八歩

句意は明解
大切な休日が夏草に侵されて全滅する
作者は案外ひねもす草むしりのできる
日曜日を楽しんでいるかのような雰囲気もある
(小林たけし)


【夏草】 なつくさ
◇「夏の草」 ◇「青草」
夏に生茂る草で、抜いても刈っても横からはびこる。緑濃く、野山では乱れに乱れ茫々たるありさまになる。草の生命力を感じさせる。

例句 作者

夏草のかげの礎石にたちくらみ 原 裕
夏草に紙飛行機をすべらせる 秋田牧女
夏草や兵共がゆめの跡 芭蕉
夏草や海に傾く艀小屋 大野紫陽
夏草に汽罐車の車輪来て止る 山口誓子

朝凪の海見てこころ足りにけり 井上喬風

2021-06-01 | 今日の季語


朝凪の海見てこころ足りにけり 井上喬風

昨夜からのわだかまりにつかえていた胸だが
だれもいない穏やかな海をみていたら
つまらないことに拘っていた小さな自分に
自然と苦笑い
満たされるほどではないがじゅうぶんに心足りた気分になった
(小林たけし)



【朝凪】 あさなぎ
海岸地方で朝、陸風から海風に変る時、一時的に風が吹かなくなること。海風、陸風とも日射の強い夏期に特に発達し、それだけに朝凪、夕凪が目立つので夏の季題となっている。

例句 作者

朝凪のいかなご舟に波送る 殿村莵絲子
朝凪や渡島づとめの造船工 秋元不死男
朝凪といへども波は寄せてをり 平井照敏
朝風のくづるゝ待ちて打瀬舟 小島昌勝
善良な朝凪に棒立ててある 河西志帆


滝壺のぞく誰もかもひとり 石田よし宏

2021-05-31 | 今日の季語


滝壺のぞく誰もかもひとり 石田よし宏

滝壺までは友人だったり家族だったりが
一緒にに楽しんでいた遊行だが
その滝壺をのぞく際には
誰もが一人の世界に立つという
誰もが言えそうでなかなか言えない
(小林たけし)


【滝】 たき
◇「瀑」(たき) ◇「瀑布」(ばくふ) ◇「飛瀑」(ひばく) ◇「滝壺」 ◇「滝しぶき」 ◇「滝風」 ◇「男滝」(おだき) ◇「女滝」(めだき) ◇「夫婦滝」 ◇「滝道」 ◇「滝見」 ◇「滝見茶屋」 ◇「滝涼し」
(古くはタギと言って、川瀬の傾斜の急な所勢いよく流れる水や奔流のことをさした)高い崖から流れ落ちる水のこと。瀑布。奈良時代には垂水(タルミ)といった。滝は一年中かかっているが、清涼な眺めから単に「滝」といえば夏季に限定している。

例句 作者

滝壺の動かぬ水を怖れけり 森山夏城
滝壺へ落ち来て大和の水となる 小泉紀代子
滝描くなら音響のあるところ 佐々木洋子
滝水にまぎれて落ちるしろきもの 杉浦圭祐
滝激し激しき方に人の群れ 姉崎蕗子
滝落ちて神の鼓動に近づきぬ 大原祥督
滝行者渾身水色に徹す 國定義明

ひきがへるにも喉仏ありさうな 石倉夏生

2021-05-30 | 今日の季語


ひきがへるにも喉仏ありさうな 石倉夏生

蛙の泣き声を聴いての作品ではなさそうだ
当然泣き声の記憶は鮮明なのだが
掲句は蟇蛙の写生からの発想だろうと思う
喉仏をふるわす蟇蛙に親しみを感じたのに相違ない
(小林たけし)


【蟇】 ひきがえる(・・ガヘル)
◇「蟾蜍」(ひきがえる) ◇「蟇」(ひき) ◇「蟾蜍」(ひき) ◇「蝦蟇」(がま) ◇「がまがえる」 ◇「いぼがえる」
太く短い四肢をもつヒキガエル科の最大型の蛙。黒褐色の背面に沢山の疣をもち、のっそりと重たげに歩く姿はグロテスクともいえる。昼は草むらや床下などの暗いところに潜んでいるが、夕方になるとゆっくり這い出してきて蚊などの小さな虫を捕らえて食べる。「がまがえる」の異名。

例句 作者

ひきがへる眠り薬がまだ効かぬ 山田征司
ひとごろしのような空だな蟇 守谷茂泰
みちのくの海の明かりを思う蟇 川辺幸一
やさしいって大変なこと蟇 田中いすず
わがままな文豪のごと蟇 大牧広
ソムリエのエプロン長し蟾蜍 栗林浩
ヒキガヘルつるり腑に落つささめごと 阿川木偶人
リア王の蟇のどんでん返しかな 平井照敏
伊勢みちの途中鳴きたる蟇 桂信子