ニホンザル2群の群落利用に対する人の影響 – 林縁に注目して
海老原 寛・高槻成紀
伐採、植林、農地化、森林の分断化などの活動はニホンザルの生息地を改変し、その群落利用に影響した。神奈川県厚木市の森林をよく利用する「森林群」と農地をよく利用する「農地群」の群落利用を比較したところ、両群とも秋に落葉広葉樹林と夏に林縁をよく利用し、農地群は森林と農地の林縁をよく利用し、秋・冬には農地群による広葉樹林の利用が増えた。猿にとってオープンな場所は心理的に危険を感じるため両群とも森林をよく利用した。落葉樹林が人工林になり、農耕地には食物が豊富にあるため、サルは林縁を利用するようになったものと思われる。本調査では、従来面積的に狭いため、独立した生息地として認められてこなかった林縁を取り上げたことで、サルの群落利用が一歩深く理解できるようになった。
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サル2群の行動圏に占める群落の割合
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