スギ人工林の間伐が下層植生と訪花に与える影響 —アファンの森と隣接する人工林での観察例—.
高槻成紀・望月亜佑子
人と自然, 32: 99−108 こちら
日本の国土の27%は常緑針葉樹の人工林で占められている。これまで日本の林業は生産性が重視され、森林の生物多様性保全という視点は十分でなかった。本研究では、スギ人工林の間伐が下層植生や訪花昆虫による受粉(ポリネーション)に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。間伐を行うことによって照度、温度が好転した。下層植物のバイオマス指数(被度と高さの積)はスギ人工林に対して間伐1年目は1.7倍、2年目には80倍と大幅に増加した。特に先駆性の低木や、明るいところを好む大型双子葉草本が大幅に増加した。虫媒花植物も増え、ポリネーション数は大きく増加した。ポリネーションはスギ人工林ではまったく観察されなかったが、間伐林では落葉広葉樹林とほぼ同じ程度観察された。本研究はスギ人工林を間伐することで、生物多様性機能が回復することを示した。

位置図

調査地の景観

間伐林とスギ人工林の照度の月変化。間伐によって明るくなった。

間伐林とスギ人工林の湿度の月変化

間伐林とスギ人工林の地表温度の月変化


各群落のバイオマス指数 生育型によるまとめ。間伐2年目で植物量が急に増え、特に低木が大きく増加した。

各群落のバイオマス指数 散布型によるまとめ。間伐により鳥類散布型と動物被食散布型が増えた。

各群落のバイオマス指数 受粉型によるまとめ。間伐により虫媒花が大きく増えた。

各群落における訪花昆虫の数の月変化。スギ人工林では訪花昆虫が全く見られなかったが、間伐林では落葉樹林並みに増えた。
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