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高槻成紀のホームページ

「晴行雨筆」の日々から生まれるもの

手足

2018-12-02 10:57:59 | 研究


手は、まあリスの手に近いです。広げなければ針状軟骨も目立ちません。下の写真は骨標本にするために水につけていたものを取り出したものです。針状軟骨はかなり下についています。手根骨との位置関係は表面からはわかりませんが、手首に近いあたりから出ています。






足はこんな具合で、取り立てて特別なものではないようです。



注目は針状軟骨です。腕の長さと比べるとそれと同じほどの長さがあります。その前側に長めの毛が生えています。

頭骨

2018-11-28 15:57:02 | 研究
ムササビの頭骨の標本ができました。やはり、げっ歯類としては大きく、なかなか見事なものです。
 全体はうっかり加熱しすぎてバラバラになり、うまく組み立てられるかやや自信がありませんが、なんとか頑張るつもりです。






基本情報

2018-11-27 11:18:43 | 研究
ムササビの計測値など(体重以外はmm)
場所  山梨県山中湖近く
年月日 2018.11.14
性別  オス
体重  902g
鼻先から肩まで  118
肩から尾の付け根 261
尾        205
前肢       198
上腕       130
尺骨       181
前足       90
大腿       149
脛骨       115
後足       41

ムササビ 後日談

2018-11-25 10:37:26 | 研究
ムササビの体はとてもおもしろい。とくに手の「小指」はおどろきでした。骨標本を作ろうとお湯で加熱しました。しばらくして様子を見て
「あっ!」
と声をあげました。「小指」がなくなっていたのです。正確にいうと、なくなったのではなく、チリチリにねじれて縮まっていました。あれは骨でなく軟骨だったのです。私が「小指」だと思ったのは、指が4本あって、その続きに「小指」があったからですが、その「4本の指」、つまり左手の内側をみると左から親指、人差し指・・・と並びますが、私がそう思っていたのは、実は人差し指、中指・・・だったのです。親指はどこに行ったかというと、ちゃんとあるのですが、極端に短くて手のひらに埋没していて「指」とは認識できませんでした。ややこしいことです。


ムササビの左前足内側。4本の指を私は親指、人差し指、中指、薬指と思い込み、針状軟骨を小指だと考えた。正しくは左から人差し指、中指、薬指、小指で、親指は手のひらに埋没している。


 それで文献を調べて見たら、これまたややこしい事情があることがわかりました。その説明をするために、まず人の手のひらを確認します。左手の内側です。手のひらの付け根には手根骨という小骨があって、私などにはとても覚えきれません。医学や獣医学を習得する人はこういうものを暗記するのだから大したものです。


人の手根骨


 わかりやすくするために小骨にA, B, Cと番号をつけました。このうちC, D, F, Gは問題がないので灰色にしていますが、ややこしい問題がある骨は色をつけました。
 ムササビの手の解剖学については押田先生の2000年の論文があり、針状軟骨は種子骨由来であると結論付けています。種子骨というのは手や足の筋肉や腱の中に形成される骨で、腱や靱帯の方向を変える滑車のようにふるまって筋力を伝達する腱の能力を高めるのだそうです。「膝の皿」も種子骨です。だから骨といっても、普通の骨は存在する場所が決まってそれにふさわしい名前がありますが、種子骨は「あちこち」にあるということになります。
 Oshida 2000はムササビの針状軟骨をこの種子骨由来と考えました。私はその論文を読みましたが、手根骨の知識がないので、論文に書いてある名前を確認しただけで、なぜ針状軟骨が種子骨由来と言えるかはわかりませんでした。要するに手のひら付け根に小骨が色々あって手首の右側にある三角骨(B)から種子骨由来の軟骨が伸びていると理解しました。人の手根骨を比べると豆状骨(A)が退化していることになります。この論文では筋肉も調べていて、針状軟骨には筋肉はついておらず、従ってムササビはこれを動かすことはできないとしています。これは納得できました。動かすわけではなく、前足を動かし、そこにこうもり傘の「骨」のようにあることで、飛膜の広がりに強度を持たせているということです。
 ところが、翌年Thoringtonという人がこれを批判した論文を出しました。難しいので、結論だけを紹介します。それによると、そもそもOshida(2000)の種子骨の識別は間違いだというのです。Thorngton(2001)の論文にその関係が出ています。


OshidaとThoringtonのムササビ手根骨の特定の違い


それによるとOshidaが三角骨(B)としたのは正しくは豆状骨(A)、その隣にある月状骨(E)は三角骨(B)ということです。なぜそう言えるかというと、多くのリスの仲間と比較すると、頭骨と尺骨との位置関係からそう言えるのだそうです。そして舟状骨(H)はそのものではなく、舟状骨(H)と月状骨(B)が癒合した骨で「scapholunate」と書いてあり、舟状骨はscaphoid、月状骨lunateなので、「舟状・月状骨」としておきました。つまり、1つ1つの骨を比べるとムササビでは月状骨(E)は退化したということになります。Oshida(2000)との違いはこのことと、豆状骨(A)が存在するとしたことです。そして、Thoringtonは、針状軟骨は種子骨由来ではなく、軟骨そのものだとしました。そのように結論付けた論理は私の解剖学的知識では十分に理解ができていません。

 良い骨格標本作りには失敗したみたいですが、勉強になりました。なんとか補完模型でも作りたいと思っています。

ムササビ 胃内容物

2018-11-17 21:03:46 | 研究
 発見はさらにありました。ムササビの胃袋は意外に大きく、胴体の長さが26cmなのに、胃の長さが10cm、直径が5.8cmもありました。





開いたところ


 ムササビは木の葉を食べると言われるので、「どういう葉が出てくるかな」と、期待して胃を開くと、ねっとりしたペースト状のものが詰まっていました。
「ドングリの実*かな」(* 正しくは子葉)
と思いながらフルイで水洗すると、そうではありませんでした。入っていたのは全てサルナシで、その果皮、果肉、種子が確認でき、ほかの葉は全くありませんでした。


サルナシの果皮と種子

ムササビ 飛膜

2018-11-17 21:02:52 | 研究
 驚きがもうひとつありました。何事もそうですが、やって見て気づくことがあります。私は、飛膜は一枚の面だと思っていました。実際、そうなのですが、触ってみてわかったのは、背側と腹側は別のもので、それが合わさって一枚のようになっていて、縁のところで折り返しになっているわけです。あまり、爽やかではないですが、例えて見ます。お腹のたるんだ中年のおじさんが脇腹を持って外側にビューンと引っ張って伸ばすと、腹側と背側の皮の間にたっぷりと脂肪が付いているわけですが、その脂肪がゼロで皮と皮がくっついてびろーんと伸びたのが飛膜だということになります。ということは前足の小指のあたりまで「腹の皮」が伸びていることになるわけで、まことに不思議な変形をしたものです。いやあ、動物の形は実におもしろいものです。



飛膜を例えると・・・



ムササビ 脱がしたムササビ

2018-11-17 21:01:27 | 研究
 腹側の中央にハサミを入れて、皮膚を首方向に切り、胸のあたりで、左右の腕に割(かつ)を入れ、それから足も同様に開き・・・という具合に切れ込みを入れ、皮膚と筋肉の間を開いて行きます。要するに着ている服を脱がすようなもので、どうしても皮膚を切らないといけないのは口、目、繁殖期、肛門など「外に開いている」部分です。剥製にするわけではないので、手首、足首もぐるりと切るので、文字通り「脱がす」ことになります。

 「脱がしたムササビ」はスリムで、ネズミの仲間とはかなりイメージが違います。まあ、普通の哺乳類ですが、ひとつだけ極めてユニークなのが前足です。


前足


ムササビは滑空することに特殊化しており、「空飛ぶ座布団」などとうまいことをいう人もいます。前足と後足の間に膜があって「座布団」になるわけです。飛ぶための幕なので「飛膜」と呼ばれます。その飛膜は飛ばないときは多分邪魔になると思います。いざ飛ぶという時には四肢をピンと伸ばすのでしょうが、状況によっては座布団が広げにくいこともある筈です。こうもり傘でもそうですが、膜状のものを広げるには「骨」が必要です。ムササビの前足の「小指」はこうもり傘の骨のようにビューンと伸びて飛膜を広げるのに役立っています。飛膜がないムササビはまるで、鎌を持っているようです。







モンゴル 2018

2018-08-01 23:41:29 | 研究
去年でモンゴルに来れるのも最後かと思っていた。森永さんの科研費採択もなかったということで、「いよいよ2002年以来続けてきたモンゴル訪問もなしか、まあ定年退職した身でもあるから、やむを得まい」と気持ちを整理していたのだが、森永さんが明治大学に提出していてアイラグ博物館に関する計画が採択されたので、少人数はいけるので私も拾われることになった。これまで数年モゴッドで地形と植生の対応、家畜の食性を調べてきて、だいたいのことろがわかってきたので、同じ手法で乾燥地であるバイヤンウンジュル(BU)に行きたいと伝えていたので、それが実現できることになった。
 内容は次の通り
1)BUの主要な群落を記載する。これはアイラグ(馬乳酒)が美味しいとして有名なブルガンとの比較という意味がある。
2)204年くらいに作られた大型柵(1辺300mの正方形)の内外の群落比較 こちら
3)家畜の糞採取

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7月31日
 成田で森永さんと土屋さんに会う。いやもう一人虎彦くんがいた。東京都市大学でメディア関係の勉強をしているので、今回の博物館準備の記録をするために参加したということだった。虎ちゃんがまだ幼稚園くらいの時にウランバートルのお宅にお邪魔して、外でボール投げか何かをして遊んだ記憶があるが、今や大学生だ。彼と少し話をしたのは少し後で、実は私の名前がアナウンスされたというので、カウンターに行くと、荷物にライターが2本あったので、1本を放棄してくれといことだった。あいにくというか、荷物を一つにするためラップしたほうがいいと言われたので、それを開くのが面倒だった。
 ウランバートルに着くと、緑が濃い印象を受けた。アユーシュさんが迎えにきてくれていたのでフラワーホテルに泊まる。土屋さんと夕食をとる。

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8月1日
 バイヤンウンジュルに出発。昨夜はよく眠れなかったので、道中ウトウトしていた。緑は濃い印象があるが、春は雨が降らなかったということで、そのせいか、ウシの死体がけっこうあった。


ウシの死体

 それと、ノスリなど猛禽が多いなあと思っていたら、ハタネズミがたくさんいて道路をチョロチョロ横切る。それを狙って猛禽が集まっているらしい。
 BUについて、ゾルゴーさんのゲルにお世話になる。奥さんのサラさんが水を運んでいた。ゲルにはストーブがなく、冷蔵庫、冷凍庫、大型テレビがある。
 柵に人がいるので行くと、佐々木さんと横浜国大の学生2人(岩知道さんと南部さん)が作業をしていたので、少し話をする。
 夕方、ゲルの外に出ると、ヒツジの解体をしていた。その手際は見事なものだ。腹側から皮を開き、四肢の先端部を関節で外す。それから腹腔に割を入れる。消化管は剥ぎ取るように外す。内容物も血液も出さない。肛門部を直腸に沿って切り、内側から直腸を引き抜く。胸腔に移り、ここには血があるが、心臓や肺を取り出したあとですくい出す。血液を一滴もこぼさない。


ヒツジ解体の様子

 最後は肋骨、寛骨などを適当な大きさに分けて完了だった。

 その見事さもあるが、解体を少年が見ているのが心に残った。その子はヒツジの解体をどうということなさげに見ていた。これが初めてではないのだろう。子供の時にこういう体験をするかしないかは生命感に大きな違いを生むはずだ。


ヒツジの解体をながめる少年

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8月2日
 調査をするつもりでいたが、ナーダムがあるというので見に行くことにする。曇り空で、人もあまり集まっていない。いつ始まるかわからないということなので、群落記載を始める。非常に印象的な岩山で、そこの岩から始まる扇状地にラインを取る。種数は少ない。
 ひと段落ついたので、会場に行くと、歌をうたっていた。伝統的な長唄は非常にうまく、独特のひっくり返す発声が巧みだった。次に出てきたのは、現代風の歌で巧みではあったが、自信過剰で感じが悪かった。
 珍しいことに弓をしていた。明らかな腕の違いがある。うまい人は姿勢が安定しており、ピタッと決まる。精度も高く、何度も当てていた。


弓を射る

 運転手のジャガさんが「競馬が始まるが見にいきますか」というので、行くことにする。少年たちが馬に乗ってスタート地点に向かって進んで行く。小雨が降ってきた。


スタート地点に近づくうちに雨が降ってきた

 進んでいるといきなり競馬が始まった。少年たちの裏声が響き、ギャロップの馬が進み出す。馬上の少年は小学低学年で、幼いのだが、馬の扱いは思いのままになるようだ。鞭を両側に大きく打ったりして進む。見ると女の子もいる。


奇声をあげながら走り出す


中には女の子もいる

 去年初めて見たとき、感動して涙が出たが、今回も同じだった。子供が生まれ、元気に育って競馬に出れるまでになった。その勇姿を社会みんなで称え、喜ぶということだろう。大人たちも懸命で、自分が少年だった時も大人が支えてくれた、今度は自分の番だということだろう。

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8月3日

 今回、調査を予定しているのは以下の通り。ただしNaは追加。



 手始めに西(W)に行くことにする。1時間ほどで着く。なだらかな丘陵にCaragana(マメ科の低木)が点々とある。


Plot Wの景観

 ここで6つほどプロットをとるが、皆同じなのでそれでやめる。帰りに、往路で見ていたAchnatherum(モンゴル語でデリス)の群落によって少しプロットをとる。


Achnatherum群落

 帰ってから柵内のデータもとる。柵外よりStipaが多く、大きいのが明らかで、そのほかはシロザが多い。種数は非常に少ない。


柵内の景観。Stipaが多い。

 柵内外の比較については こちら
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8月4日
 今日は東(E)に挑戦する。ここが一番遠いところで、時間がかかりそうだった。2時間ほどかかったが、とても良い場所に着く。ここでラインをとった。


Line Eの景観。手前のなだらかな場所から山の麓までラインをとった。

一番下の湿ったところにはElymusが多いが、すぐにStipa型に変わり、Artemisia adamsiiが多いところもある。山の急斜面までとる。Dontostemon(「コナズナ」と呼ぶことにする)の白い花が多い。見下ろすと、草原に白い部分があるが、これがDontostemon。


白く見えるのはDontostemon

 休憩をするとジャガさんが椅子を出してくれた。


休憩をする。

 戻って柵外のデータを10個とる。

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8月5日
 天候も順調で、体調も良く、日程もこなしている。今日はセンターから近いラインCを取りに行く。湖の近くのAchnatherumから始め、22プロットをとる。

 戻って柵内のとり残しをとり、草丈の比較データを取る。野帳を使い切る。



 いつもゲルに来る人懐っこい少年(名前はオウゴンバット)が水入れタンクを載せた台車を運んでいた。もちろん水は入っていないのだが、大人のすることを真似したいようだ。モンゴルでいつも目にする、子供が、働く大人の姿を真似るという微笑ましく、素晴らしい光景だ。


水運びをする少年

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8月6日
 少し距離のある南に行く。岩山があり、その裾野に扇状地があってStipaやArtemisia frigidaがあり、その下にCaraganaがあるというのが一つのパターンのようだ。これで終わることが多いが、さらに低くなって湖があるような場合はAchnatherumが出るというのがこの辺りのパターンのようだ。ただしCaraganaの出方は単純ではない。

行きがけに1000頭もいようというヒツジの群れがいたので、糞を拾おうとしたが、全然ない。かなりしつこく探したのだがない。腑に落ちないのでジャガさんにいうと、草を食べ始めたばかりで、まだ糞をする段階にないのではないかという。それもそうかもしれない。


ヒツジの群れ。これだけいるのに糞が見つからなかった。

1時間あまり走ると大きな湖があり、ラインCよりは距離があるが、時間をかければなんとかなるだろうと思っていた。だが、あまりに長いので、写真をとって優占種だけ記載するやり方にする。それでもいくら歩いても変わらないので、うち切ろうかと思っているところに馬に乗った少年が現れてジャガさんが何か話をしている。
「先生、アルガリを作っているゲルがあるみたいですよ」
というので、早速いってみると、老人が集まって酔っ払っていた。いかにも「モンゴル牧民」という人たちで写真を取らせてもらおうと思っていたら、そのままゲルを出て解散してしまった。アイラグとサームをとってもらい、1万Tを払おうとしたが、あいにく2万Tしかないので、それを渡す。照れたような表情で受け取った。


珍しくアイラグを作っているゲルが偶然見つかり、サンプルをもらう

 その少年は競馬に行くというので、そちらに移動することにした。先日の雨の競馬のリベンジだったようだ。今回はスタートを見ることができた。一応、ロープを張っていたが、長さは5メートルほどしかない。馬の群れがきたらとても足りないのだが、そこにいる人たちは興奮した様子で遅れて線にこない馬に大声で何か叫んでいる。その馬がラインについた途端、馬が走り出し、少年の声が響く。今日は天気が良く、砂埃が上がる。感動は変わらない。





 砂埃が上がり、ドラマチックだったが、埃がない草原を走った方がいいのではないかと思ってジャガさんにそう言うと、「いや、草原は、ネズミの穴などがあって、馬が足を痛めるから危ないんです」という。なるほどそういうことがあるのか。

 それから一度戻って、谷に入って調査をする。Alliumがたくさんある、桃源郷のようなところだった。


ラインSの奥の谷

 いつもゲルに来る少年と何となく仲良くなり、一緒に写真を撮った。



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8月7日
 昨日アイラグを一口だが飲んだせいで、お腹がゴロゴロする。
 予定していた調査は全部終わったので、土屋さんに頼まれて取れていなかったW(西側)での植物サンプリングにいく。そこからBUに戻る道すがら、CaraganaがBUに近づくと低くなって、ついには密度も小さくなることを見ていたので、そのデータを4箇所で取る。CaraganaだけでなくStipaもとったが、こちらはそれほどきれいな推移にはならなかった。
 明日でBUを去るので、横国の学生にドライブに行かないかと声をかけた。二人は柵の実験データを取っているが、車がないので、それだけしかしていないようすだった。それで、BUの草原全体を見てもらう方が良いと思い誘ったのだが、とても興味を持っているようで良かった。競馬のあった山の西の谷が良さそうなので、そこを目指す。途中、Stipa群落の説明などする。谷に入るとArtemisia frigidaが多い、きれいな谷だった。







 谷を南下して山を抜け、東に出て、岩山を通過してBUに戻った。
 夕食を待っている時、外を見たら西の空は雨のようで鉛色の雲が覆っていた。その雲がきたようで、強風が吹き、雨が降ってきた。「こういう厳しい自然もモンゴルらしくて良い経験だ」くらいの軽い気持ちでいたら、ゲルに二人の男が入ってきて、何やら様子がおかしい。見るとゲルの床にポタポタと鮮血が垂れた。見ると頭を抑えている。突風で柵内においていた気象測器が倒れて頭を打ったらしい。ジャガさんが車で送っていった。ショッキングなことだった。
 あとで聞くと後頭部に10cmほどの裂傷だったとのことだった。

この写真は嵐が去った後、西の空は雲が去って赤みがさしたところ。



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8月8日
 朝起きると、パネルの作業をしていた残りの人が作業をしていた。ジャガさんの説明で気象測器と思っていたら、温暖化の効果を調べるためのアクリル・パネルが突風で飛んだという音だったようだ。


作業をする人

 順調に予定を消化したのと、シロザが多いのがバイヤンウンジュルに特異なことなのか、今年の特異な天候のせいなのかが気になったので、それなら森林ステップに行ってみて、そこでもシロザが多ければ今年の天候のせいだということになるし、少なければバイヤンウンジュルの場所の特徴であることが確認できると考え、ウランバートルに戻ることにした。
 昨夜ケガをした人を車に乗せてUBに送ることにした。UBについてその人の家族が迎えに来たので、食堂でお昼を食べる。UBには金持ちがいて、まるで違う民族の様な顔をしていると感じた。
 ザハ(市場)に行って馬具のコーナーを覗く。小物を買った。


ザハで見つけた小物

 夕方、森永さんと土屋さんにあってアイラグ・サームのサンプルを渡し、馬糞のサンプルを受け取る。モゴッドに計画している博物館の話をしたが、少し狭い様に感じた。

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8月9日
 ウランバートルの北にドライブに行く。景色が北海道みたいだった。道路にガードがあること、畑があること、谷間に狭い平地があることなどがそう感じさせる。
 適当に山に入ると草地はブルガンで馴染みのものになり、斜面北側にはカラマツ林がある。降りて見るがシロザはない。あるいはあっても、荒地の様なところだけで、モゴッドなどと違いがない。やはりシロザが多いのはバイヤンウンジュルの特別なことなのだと思う。
 林の間の道を進むと花が多くなり、フウロやナンブトラノオなどが見られる。BUを見慣れた目には植物の豊かさが印象的だった。




Vicia, Trifolium


Polygonum, Polygala


Geranium, Campanula


ワスレナグサ、「オバケアザミ」

 昨夜、床が変わったのであまり眠れなかったので、少し頭痛があるので、早めにUBに戻ってもらう。
 11日に帰国予定だったが、10日でも帰れるのでジャガさんに相談したらMiatに電話してくれ、10日朝の便が取れた。


バイヤンウンジュルの柵 内外の比較

2018-08-01 11:10:49 | 研究
バイヤンウンジュル(以下BU)に2004年頃に篠田班が作った柵があり、その内外の群落比較をする機会を得た。BUはウランバートルの南西で(図1a)、空中写真を見ると、ウランバートルが森林に囲まれているのに対して、その南では深林がなくなることがよくわかる(図1b)。前者を「森林ステップ」帯と呼び、後者は「ステップ帯」という。これより南はゴビの砂漠帯に続く。Google earthで拡大すると、BUの柵がはっきりわかる(図1c)。


図1a バイヤンウンジュル(赤枠)の位置


図1b ウランバートルとバイヤンウンジュル(赤枠内)の空中写真


図1c バイヤンウンジュルのの空中写真 左上の暗色の正方形が実験柵、下方の格子模様が家屋


地上で見ると、柵内外の景観はこのように違う(図2)。


図2 柵内外の比較 上:柵内、下:柵外


 柵の外は家畜に食べられているから、この違いは採食圧の違いによると思われる。これには植物の生育形が意味を持つ。ブルガン飛行場で調べた場合、直立型が減少して匍匐型が増加した。また柵内では美地形に応じて場所ごとに優占種が違っているが、柵外ではどこでもPotentilla acaulisが優占するという意味で、群落の多様性が失われることがわかった(Takatsuki et al. 2017)。
 そこでBUでも同様の比較をすることにしたが、生育形(Giminghamによるもの)は草本を対象に、生育する形で類型したものだが、BUでは低木もあり、草本類をそれほど細かく類型することにあまり意味を見出せなかったので、低木、イネ科、その他程度に分けることにしたが、BUでは1年生雑草が非常に多かったので、この点は配慮して類型した(後述)。

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予想1 植物高の比較
 柵外は家畜の採食影響を受け、柵内は菜食から保護されているから、植物の高さは柵外の方が低いであろう。その場合、植物によって影響の受け方が違うはずである。1年草であれば、発芽して2、3ヶ月しか経っていないから、影響は弱く、多年草は影響が少なくとも2,3年受けているから影響はより大きく、低木は最も影響が大きはずである。ただし、家畜が嫌って食べない植物では違いがない、あるいは小さいであろう

方法
 そのことを確認するために、柵内外で主要種20個体の高さ(イネ科の場合は葉長)を測定した。

結果
 結果を図3に示す。このうち、Aは1年草で、いずれも雑草である。多くは柵内外の高さの違いは小さかったが、Salsolaは明らかに柵外が短かった。これに対して多年草であるイネ科とスゲCarexは柵外が草丈が低かった。ただしCarexは違いが小さかった。低木はCaragana2種は非常に大きな違いがあったが、Artemisia frigidaは違いが小さかった。
 このように、予想通り、植物の寿命が長いほど、家畜の採食に暴露される確率が高くなるから影響が大きいであろうという予測は概ね支持された。ただし1年草でもSalsolaは違いが大きいし、多年草でもCarexは違いが小さく、低木でもArtemisia frigidaは違いが小さかった。Salsolaの違いの理由はよくわからない。Carexはモゴッドの柵でも内外の違いが小さく、菜食影響下でも回復力が大きいことが確認されている。Artemisia frigidaは植物体が強い香りを持っており、家畜が食べるのを好まない。牧民によるとこの匂いが秋には弱くなるので食べるようになるという。Art frigidaは柵外にも多いので、家畜があまり食べないのは確かであろう。ただ、私の観察ではブルガンでみるArt frigidaは高さが30cm程度になるのに比べ、BUのものは草丈が低いという印象があり、柵内でも回復が遅いように感じた。
 この結果は採食影響は植物の寿命が長いほど植物高に影響が強く出るが、それに植物側の回復力、家畜の好みが複合的に影響していることを示唆する。

 
図3a 柵内外の植物の高さの比較。A 1年草雑草、B 多年草、C 低木


1年生雑草。いずれも左が柵外、右が柵内


多年草。いずれも左が柵外、右が柵内


多年草あるいは低木。いずれも左が柵外、右が柵内

図3b 柵内外の植物の高さの比較


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予想2  群落組成の違い
 家畜による採食影響を植物種ごとの高さだけでなく、被度を含む植物量として捉え、群落レベルでどのような影響を受けるかを考えると、群落の構造などの効果があることが想定される。日本では時間が立つほど木本類が優勢になり、草本類が抑制される傾向がある。モンゴルでは木本類は少ないので影響は違うが、ブルガンの飛行場では柵内では草丈が高くなれる直立型の草本が増え、柵外では匍匐型の小型草本が多くなった(Takatsuki et al. 2017)。BUでも基本的には同じことが起き、柵内で草丈の高い双子葉草本やイネ科などが増えるものと予想されるが、BUの方が乾燥しているので、柵内での回復に何らかの違いがあるかもしれない。

方法
 1m^2のプロット内の植物の被度(%)と高さ(cm)の積をバイオマス指数として算出した。柵内20、柵外10のプロットをとった。
 植物は以下の群に分けた。

1年草雑草:主にシロザの仲間
双子葉草本:多年草
イネ科:Stipa, Elymusなど20cm以上になるイネ科
イネ科小型:Cleistogenes, Carexなど最大でも20cmにならない小型のもの(正確にはCarexはカヤツリグサ科だがここではイネ科で代表させた)
単子葉:Alliumなどイネ科でない単子葉植物
低木:Caragana2種

結果
 バイオマス指数を比較すると柵内が3.04倍も多かった。タイプごとに比較すると、図4のようになった。


図4 植物群ごとの柵内外でのバイオマス指数


 1年草は予想通り柵内外で違いがあまりなかった。イネ科は多年草だから柵内が圧倒的に多く、それは図1で明白である。同じイネ科でも小型は採食をまぬがれやすいので、違いは小さ買った(図4)。低木もイネ科並みに違った。
 双子葉草本は逆に柵外の方が多かったが、その主体はArtemisia adamsiiとfrigidaであった。家畜に採食される外で多いのは不思議かもしれないが、理由は1)柵外ではイネ科が少ないので被陰されない、2)Artemisiaは強い匂いがするので家畜が好まないためと思われる。
 かくして、柵内はイネ科、低木、1年草雑草で、柵外は1年草雑草と双子葉草本で特徴づけられるということが確認された。何れにしてもバイヤンウンジュルでは1年草雑草が多いのが特徴的であった。

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予想3 面積 - 種数曲線の比較
 柵内では採食を免れていた植物が生育できるから、群落の多様度が高くなり、一定面積内に出現する植物種数が多くなると予想される。

方法
 群落の多様性を比較するために、面積-種数曲線を描いた。そのために10cm四方の区画から、面積をほぼ2倍に拡大して2m四方まで拡大し、新たに出現した種数を記録した。

結果
 面積-種数曲線を見ると予想とは違い、柵内外で最大出現種数に違いがなかった(図5)。


図5 柵内外の面積-種数曲線


 そして、1m^2まではむしろ柵内の方が少ない傾向さえあった。群落高が低い芝生状の群落では調査面積が狭いうちから種数が増えて小面積のうちに飽和する傾向があるが、ここでも群落高の低い柵外でその傾向があった。柵内では調査面積が広くなるほど種数が増え、4m^2においても飽和していないようだった。
 ブルガン飛行場の場合、柵内では草丈が伸び、柵外にあまりない草丈の高い草本が生育し、しかも柵外にある小型の草本類も残存するため、柵内で種数が多かったのだが、BUにおいてはイネ科や低木が背丈が高くなることはあったが、草丈の低い草本類がないことが多く、種数は少ないままだった。
 ブルガンとの大きな違いは大型の(直立型、分枝肩など)の草本が侵入していないことで、これらがもともとないのか、あるいは元々はあるのだが、柵を作った時点ですでに採食影響によって失われ、十数年経過しても回復できないのかは判断できない。いずれにしても言えることは、森林ステップで起きた「採食影響を排除すると柵外になかった生育型の草本が増加する」ことはなく、草丈は回復したが、種数は10年以上たっても回復していないということである。深林ステップとBUの違いは基本的には降水量の違いだから、乾燥地では採食影響がなくても大型草本は乏しいという背景があるものと思われる。


研究8 その他

2016-01-01 08:27:57 | 研究
「須田修氏遺品寄贈の記録」
高槻成紀・金子倫子
麻布大学雑誌
論文ではありませんが、「須田修氏遺品寄贈の記録」を書きました。これは麻布大学の明治時代の卒業生である須田修氏の遺品をお孫さんの金子倫子様が寄贈されたことを機に、寄贈品について私とやりとりをしたことを含め紹介したものです。麻布大学は昭和20年に米軍の空襲により学舎を消失したので、戦前の資料は貴重です。それを博物館ではありがたくお受けしたのですが、それに添えるように2つの興味ふかいものがありました。ひとつは「赤城産馬會社設立願」で、須田氏のご尊父が群馬県の農民の貧困さを憂え、牧場を作ることを群馬県に提出したものです。その文章がすばらしく、文末に当時の群馬県令揖取素彦の直筆サインがありました。また「夢馬記」という読み物があり、これは須田氏が誰かから借りて書き写したもののようです。内容を読むと、ある日、馬の専門家がうたた寝をしていたら、夢に馬が現れて「最近、日本馬は品質が悪くてよろしくないから品種改良をせよという声が大きいが、そういうことをいうものは馬のことを知らず、その扱いも知らないでいて、この馬はダメだといってひどい扱いをする。改良すべきは馬ではなく騎手のほうだ」といって立ち去った。目が覚めたら月が出ていた、というたいへん面白いものでした。こうした遺品についてのやりとりをしたので、金子様にも共著者になっていただきました。




牧場設立願いに書かれた揖取群馬県令のサイン

Mammal Study」が産声をあげた頃
『哺乳類科学』57: 135-138

日本哺乳類学会はMammal Studyという英文誌を刊行していますが、これは20年前にスタートしました。この雑誌は今や国際誌となり、質も向上し、たくさんの論文が世界中から寄せられ、きびしい査読を受けるようになりましたが、かつてはそうではありませんでした。最初のときに私が編集委員長をしたのですが、今年20周年を迎えるので、現在の編集委員長が当時の思い出などを書いてほしいということで依頼がありました。思い出しながら当時のようすを書くとともに、古い文献などもひもといて学会の先人の志なども紹介しました。
 その一例です。
「哺乳類科学」の創刊号をひもとくと,九州大学の平岩馨邦先生が若手研究者に次のようなことばを贈っておられる(平岩 1961)。曰く「”Keep the fire burning”私たちのともした。いと小さい火を若いみなさんで、もりたてて大きく燃やして頂きたいものである」.
 最後につぎのようにまとめました。
 内田先生が「老いも若きも一致協力して邁進しようではありませんか」と呼びかけられたことが、こうした時代の流れとともに学会の実質的な体力を蓄えることにつながったと思う。ネズミの研究が主体であった我が国の哺乳類学は中型、大型の哺乳類も対象とするようになり、生態学や形態学、遺伝学などもカバーするようになってバランスもよくなってきたし、野生動物管理などの面も力をつけてきた(高槻 2008)。こうして学会という木が育つための土壌に栄養が蓄積し、水も光も得て力強く育ってきた。これにはよきリーダー、コミュニケーション手段の進歩、制度の改革なども大いに力になったが、しかし私は「このおもしろい哺乳類学を進める学会をよいものにしたい」という会員の情熱がそれを実現したのだと思う。まさに半世紀以上前に平岩先生が点(とも)された「いと小さい火」が大きな炎に育ったとみてよいだろう。

その他の動物(有蹄類)

2016-01-01 07:41:30 | 研究
各種動物について 有蹄類
カモシカはグルメ
     
Takatsuki, S., Y. Kobayashi-Hori and T. Ito. 1995.
Food habits of Japanese serow (Capricornis crispus) in the western foothill of. Mt. Zao, with reference to snow cover.
Journal of Mammalogial Society of Japan, 20: 11-155.

 カモシカはシカと違い、群れを作らないで、単独で森林に暮らしている。なわばりをもつために低密度で生活している。蔵王のカモシカはハイイヌガヤ、ヒメアオキ、イヌツゲなどの常緑低木の葉をよく食べていた。逆に生育地に多いササはあまり食べていなかった。

Kobayashi, K. and S. Takatsuki.2012.
A comparison of food habits of two sympatric ruminants of Mt. Yatsugatake, central Japan: sika deer and Japanese serow
Acta Theriologica, 57: 343-349.
この論文は私の長年の懸案を解決したものです。私はシカの食性を調べて来ましたが、機会があってカモシカの食性も調べたことがあります。明らかにカモシカのほうが常緑樹の葉や果実などをよく食べているという確信があったのですが、いずれもシカがいない場所のカモシカだったので、その違いはカモシカの食性ではなく、場所の違いを反映しているだけかもしれないということを反証できないでいました。同じ東北地方で比較したこともありますが、シカは岩手、カモシカは山形でした。5年前に八ヶ岳で調査するようになり、そこにはシカもカモシカもいることがわかりました。それで小林謙斗君といっしょに糞分析をしました。予想が見事にあたり、シカはササをおもに食べていましたが、カモシカは常緑黄葉順などをよく食べていました。また糞の粒径もカモシカが小さいほうに偏っていました。このことにはシカとカモシカの進化が関係しており、消化生理学的な説明も可能です。

カモシカはグルメ、もうひとつの事例
 静岡県のカモシカの胃内容物111個を分析した結果、生息地の植生の多様さにもかかわらず、安定的に常緑広葉樹を中心とした木の葉が出現し、カモシカの食性の安定性が示された。これはカモシカがなわばりをもち、低密度で生活し、植生に強い影響を与えないことに関係していると考えた。
Jiang, Z., H. Torii, S. Takatsuki, and T. Ohba. 2008.
Local variation in diet composition of the Japanese serow during winter.
Zoological Science, 25: 1220-1226.

論文 2011-

2015-04-01 14:34:00 | 研究
2011
Kubo, M. O., K. Kaji, T. Ohba, E. Hosoi, T.Koizumi, and S. Takatsuki. 2011. Compensatory response of molar eruption for environment-mediated tooth wear in sika deer. Journal of Mammalogy, 92(6):1407-1417.

Takatsuki, S., M. Kobayashi and S. Katayama. 2011. Rumen contents of the sika deer in Wakayama Prefecture, southern Honshu: a new demonstration of latitudinal variations of the food habits. Mammal Study, 36: 73-77.

2012
Kobayashi, K. and S. Takatsuki.2012.
A comparison of food habits of two sympatric ruminants of Mt. Yatsugatake, central Japan: sika deer and Japanese serow.
Acta Theriologica, 57: 343-349.

Kakinuma, K. and S. Takatsuki. 2012.
Applying local knowledge to rangeland management in northern Mongolia: do ‘narrow
plants’ reflect the carrying capacity of the land
Pastoralism: Research, Policy and Practice 2012, 2:23

Kojo, N., N. Higuchi, M. Minami, N. Ohnishi, A. Okada, S. Takatsukiand H. B. Tamate. 2012.
Correlation between genetic diversity and neonatal weight of sika deer (Cervus nippon) fawns.
Mammal Study, 37: 11-19.

Minami, M., N. Oonishi, N, Higuchi, A. Okada and S. Takatsuki. 2012.
Costs of parturition and rearing in female sika deer (Cervus nippon).
Zoological Science, 29:147-150.

Jiang, Z., S. Takatsuki, M. Kitahara, and M. Sugita. 2012.
Designs to reduce the effect of body heat on temperature sensor in board house of GPS radio collar.
Mammal Study, 37: 165-171.

Okutsu, K., S, Takatsuki and R. Ishiwaka. 2012.
Food composition of the harvest mouse (Micromys minutus) in a western suburb of Tokyo, Japan, with reference to frugivory and insectivory
Mammal Study, 37: 155-158.

Takiguchi, H., K. Tanaka, K. Ono, A. Hoshi, M. Minami, K. Yamauchi and S. Takatsuki. 2012.
Genetic variation and population structure of the Japanese sika deer (Cervus nippon) in the Tohoku District based on mitochondrial D-loop sequences.
Zoological Science, 29: 433-436.

Tsuji, Y. and S. Takatsuki. 2012.
Interannual variation in nut abundance is related to agonistic interactions of foraging female Japanese macaques (Macaca fuscata).
International Journal of Primatology, 31,DOI 10.1007/s10764-012-9589-0

高槻成紀・立脇隆文. 2012.
雑食性哺乳類の食性分析のためのポイント枠法の評価:中型食肉目の事例.
哺乳類科学, 52: 167-177.

2013
Takatsuki, S. and M. Sato. 2013.
Biomass index for the steppe plants of northern Mongolia.
Mammal Study, 38: 131-133.

Ito, T, Y., M. Tsuge, B. Lhagvasuren, B. Buubeibaatar, B. Chimeddorj, S. Takatsuki, A. Tsunekawa and M. Shinoda. 2013.
Effects of interannual variations in environmental conditions on seasonal range selection by Mongolian gazelles.
Journal of Arid Environments, 91: 61-68.

Kubo, M. O., M. Minami, N. Higuchi, N. Ohnishi, A. Okada, K. Kaji, T. Ohba, E. Hosoi, T. Koizumi an S. Takatsuki. 2013.
Female sika deer have evolved larger incisors than males under relazed selection against rapid tooth wear.
Linnean Society Biological Journal, 110: 384-397.

Takahashi, K., A. Uehara and S. Takatsuki. 2013.
Food habits of sika deer at Otome Highland, Yamanashi, with reference to Sasa nipponica.
Mammal Study, 38: 231-234.

Suzuki, T., A. Higuchi, I. Saito and S. Takatsuki. 2013.
Food habits of the Ural Owl (Strix uralensis) during the nestling period in central Japan.
Journal of Raptor Research,47: 304-310.

Ito, Y, T, B. Lhagvasuren, A. Tsunekawa, M. Shinoda, S. Takatsuki, B. Nuuveibaatar and B. Chimeddorj. 2013.
Fragmentation of the habitat of wild ungulates by anthropogenic barriers in Mongolia.
Plos ONE, http://dx.plos.org/10.1371/journal.pone.0056995

Takahashi, K., A. Uehara and S. Takatsuki. 2013.
Plant height inside and outside of a deer-proof fence in the Otome Highland, Yamanashi, central Japan.
Vegetation Science, 30: 127-131.

高槻成紀. 2013.
ポイント枠法の再検討:シカ, タヌキ, ハクビシン, テン試料を用いて.
哺乳類科学, 53: 89-98.

佐藤真・中村一寛・玉手英利・門脇正史・遠藤好和・高槻成紀. 2013. 山形県で確認されたニホンジカ(Cervus nippon)の出自ーミトコンドリアDNA多型に基づく推定ー. 哺乳類科学, 53: 131-137.

2014
Tsuji, Y., Y. Yasumoto and S. Takatsuki. 2014.
Multi-annual variation in the diet composition and frugivory of the Japanese marten (Martes melampus) in western Tokyo, central Japan.
Acta Theriologica, 59: 479-483.

高槻成紀・久保薗昌彦・南正人, 2014.
横浜市で捕獲されたアライグマの食性分析例.
保全生態学研究, 19: 87-93.

Rivals, F., S. Takatsuki, R. M. Albert, and L. Mcia. 2014.
Bamboo feeding and tooth wear of three sika deer (Cervus nippon) populations from northern Japan.
Journal of Mammalogy, 95: 1043-1053.

Yamada, H. and S. Takatsuki, 2014.
Effects of deer grazing on vegetation and ground-dwelling insects in a larch forest in Okutama, western Tokyo
International Journal of Forestry Research, 2015, Article ID 687506, 9 pp.

Kubo, O. M. and S. Takatsuki. 2014.
Geographical body size clines in sika deer: Path analysis to discern amongst environmental influences
Evolutionary Biology, 42: 115-127.

Asakura, G., Y. Kaneshiro and S. Takatsuki. 2014.
A comparison of the fecal compositions of sympatric populations of sika deer and Japanese serows on Mt. Sanrei in Shikoku, southwestern Japan.
Mammal Study, 39: 129-132.

2015
Sakamoto, Y. and S. Takatsuki, 2015
Seeds recovered from the droppings at latrines of the raccoon dog (Nyctereutes procyonoides viverrinus): the possibility of seed dispersal. Zoological Science, 32: 157-162.

Yasumoto, Y. and S. Takatsuki, 2015
The Japanese marten favors Actinidia arguta, a forest edge liane as a directed seed disperser.
Zoological Science, 32: 255-259.

小森 康之・高槻 成紀 , 2015
アファンの森におけるカエル3種の微生息地選択と食性比較.
爬虫両棲類学会報 2015(1) : 15-20.

高槻成紀, 2015.
広義の「家畜」の類型についての試論.
人と動物の関係学会誌, 41:43-46.

高槻成紀・安本唯・辻大和, 2015.
テンの食性分析における頻度法とポイント枠法の比較.
哺乳類科学, 55: 195-200.

2016
足立高行・植原 彰・桑原佳子・高槻成紀.2016.
山梨県乙女高原のテンの食性の季節変化.
哺乳類科学,56: 17-25.

足立高行・桑原佳子・高槻成紀,2017.
福岡県朝倉市北部のテンの食性−シカの増加に着目した長期分析.
保全生態学研究,21: 203-217.

Yamao, K, R. Ishiwaka, M. Murakami and S.i Takatsuki. 2016
Seasonal variation in the food habits of the Eurasian harvest mouse (Micromys minutus) from western Tokyo, Japan.
Zoological Science, 33: 611-615.

Morinaga, Y., J. Chuluun and S. Takatsuki. 2016.
Effects of grazing forms on seasonal body weight changes of sheep and goats in north-central Mongolia : a comparison of traditional nomadic grazing and experimental sedentary grazing.
Nature and Peoples, 27: 27-31.

2017
箕輪篤志・下岡ゆき子・高槻成紀,2017.
山梨県東部のテンの食性の季節変化と占有率−順位曲線による表現の試み.
哺乳類科学, 57: 1-8.

Endo, Y. and S. Takatsuki. 2017.
Dietary comparison of three sympatric ungulates on Mt. Asama, central Japan: sika deer, Japanese serow and wild boar.
Mammal Study

高槻成紀. 2017.
テンが利用する果実の特徴 – 総説.
哺乳類科学, 57:337-347.

高槻成紀・高橋和・髙田隼人・遠藤嘉甫・安本 唯・菅谷圭太・箕輪篤志・宮岡利佐子. 2017.
草食獣と食肉目の糞組成の多様性 – 集団多様性と個別多様性の比較.
哺乳類科学, 57:315-321.