高槻成紀のホームページ

「晴行雨筆」の日々から生まれるもの

都庁水道局を訪問 2023.9.1

2023-09-01 10:40:18 | その他
私たちは小金井の桜並木の復活において樹林伐採が行われたことは問題があるとして関連団体とともに活動をしています。大きい問題は樹木の伐採が小金井だけでなく、玉川上水全体で進められていることで、砂防学や森林科学で定説とされている「樹木は土壌流失を防ぐ」こととは真っ向から違う樹林管理がされています。実際に松影橋近くでは樹木伐採の結果土砂崩れが起きました。
 こういう問題を委員会への質問という形でまとめ、資料とともに東京都水道局に持参しました。高槻と加藤嘉六さんが書類を持参し、都議の漢人あきこさんと岩永やす代さんが同道くださいました。しかし経理部用地担当課の武井豊課長は「委員には渡せない」と拒絶しました。
 高槻は「委員会は都民のためにあるはず、そうであれば都民がする質問が渡せないというのはおかしいではないか」と説明しましたが、課長は「委員会は局にアドバイスするためのもので、質問に答えるものでない」の一点張りでした。漢人都議が強くサポートしてくださり、心強かったのですが、結局態度は変わらなかったので、書類は一部を渡して引き取りました。

左より 岩永都議、漢人都議、高槻、武井課長

 その質問に答えるかどうかは委員が判断すれば良いので、手渡すことさえしないというのは東京都の態度として正当性があるとは思えないと感じました。



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アンケート結果

2023-08-22 10:44:22 | 最近の論文など
以下のようなアンケートをお願いしました。

アンケート (2023年8月20日)
お名前:(          )
年代(○をする):(20代、30代、40代、50代、60代、70代、80代)
ご住所:小平市、それ以外(        )
このシンポジウムをどうして知りましたか(チラシ、ファイスブック、知人、アサココ、
その他[ 具体的に                         ])
以下を希望する方はメールアドレスをお書きください(          )明瞭に
✔︎をする:今後の連絡をもらいたい( )、会員になる( )(会費なし)

+++++++++++++++
本日の話題について感想・意見を自由にお書きください。

++++++ 前回回答くださった方は記入不要です +++++++++
横断道路(328号線)建設計画があったのを知っていましたか?
(知っていた、知らなかった)
横断道路計画反対の住民投票運動(2012年)があったことを知っていましたが?
(知っていた、知らなかった)
横断道路(328号線)建設計画が進行しているのを知っていましたか?
(知っていた、知らなかった)
横断道路建設に(賛成、反対)
もしつくるとしたら、道路の形状はどうしたらよいと思いますか(平面、地下、高架)

賛成理由(便利になるから、懸案だったから、その他)
 その他の場合:
                                       
反対理由<複数選択可>(国の史跡が破壊されるから、自然が破壊されるから、環境汚染が起きるから、騒音が起きるから、居住地が大変化するから、コミュニティが崩壊するから、その他)
 その他の場合:
                                       
ご協力ありがとうございました。 
玉川上水みどりといきもの会議

+++++++++++++++++++++++++
その回答を集計巣ると次のようになりました。
年代は60代、70代が多く、前回同様、高齢者に偏っていました。

 居住市は大半が小平市で、かなり「小平限定」になりました。道路予定地は小平市ではありますが、この問題は玉川上水全体の問題でもあると思います。

 集会の情報源は「知人から」が多く、広報の工夫が必要だと思いました。


 これまでの経緯についてはほとんどの人がご存じでした。


 道路については大半の人が反対でしたが、一人は条件付き、もう一人は便利になるから賛成という意見で、この集会に参加した意図が不明でした。自由記載はありませんでした。


 今回は道路の形状については議論する余裕がありませんでしたが、アンケートでは地下が良いという人が多い結果でした。


 道路の影響の中では自然への影響が最多でした。


 結果は前回のシンポジウムと共通な部分は合計をし、今後も継続して多人数による意見分布を把握するつもりです。
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小平の玉川上水が危ない 2、2023年8月20日

2023-08-20 16:41:51 | その他
学習会「小平の玉川上水が危ない2」の記録

高槻成紀

 2023年8月20日に小平市津田公民館で学習会「小平の玉川上水が危ない2」を開催しました。今回は話題が2つでした。

 最初にリー智子さんから挨拶があり、講演が始まりました。

会場のようす

 福本さんは「遊び場としての雑木林~プレーパーク活動から~」と題して、中央公園東側のどんぐり林で、子供を遊ばせた経験を話されました。

講演する福本さん(加藤さん撮影)

 子供が遊ぶことは体力や考える能力を高めることに重要であることを強調されました。ケガをすることも、小さなケガであれば、そのことによって今後気をつけるようになるなど、その子の成長に役立つという話もありました。また河原に近づけない子に訳を聞くと、石がゴロゴロあるので平坦面のように歩けないからだと話したそうです。一方、林を子供が遊ぶ場所としてみた場合、木登りは子供が好きなので役に立つが、枝が高いと遊びにくいこと、イヌシデは枝が折れにくいので適しているなど話されました。林は密生していると枝が高くなるので、木登りには適さなくなります。孤立木は枝が低く、横に張り出すので木登りに適していますが、林にはそういう木はあまりありません。林業では材木を得ることを目的としますが、子供の遊び場として林を考えるというのは新鮮でした。泥の中で遊ぶ子どもたちや、テントの屋根に溜まった雨を落とすことで遊ぶ子どもたち、あるいは土に穴を掘って喜ぶ子どもたちの写真が印象的でした。
 子供が心身ともに順調に育つためには野外で遊び、少しはケガをしたり、ケンカしたりしながら、失敗を重ねることが不可欠です。それはどこでもそうですが、都会では自然の中で遊ぶ機会は限られます。それが小平の玉川上水沿いでは可能になっており、それに参加できた子供たちは幸せだと思います。そのことを福本さんたち大人も「失敗」を繰り返しながら追求してこられたことは素晴らしいと思います。

 私は「玉川上水の野草の価値」と題して、まず玉川上水花マップを作った時の話をしました。その調査では96区画を分担して、「今月の花」として選んだ植物の有無を調べて、充実したデータが取れて、四季の冊子を作りました。


 今はその発展として「花ごよみ」を調べており、その過程で種子植物だけで500種以上が確認されています。これは非常に豊かであることを意味します。こうした調査を通じて、玉川上水が武蔵野の野草が逃げ込むように生育する「レヒュージア」になっていることがわかりました。林に生育する植物の中には早春の限られた時期に開花し、林が暗くなる時には葉もからせてしまう植物があります。私はそれを「たまゆら草」と呼んだらいいと思います。

林の照度とアマナの開花時期

アマナの暮らし方

 これら豊かな野草について、訪花昆虫の調査をしたり、「玉川上水のオリジナル秋の七草」を選んだことなどを話しました。

玉川上水のオリジナル秋の七草

 ここまでの話が「玉川上水の野草の価値」です。しかしそのような牧歌的な態度ではいられないことになりました。
 前からあった328号線計画が、今年になって具体化するかもしれないということを聞いたのです。そこで、生態学者としてこの貴重な樹林が伐採されることの意味を示すべきだと思いました。

小平328号線と玉川上水の位置関係

 328号線の計画は1963年に立てられ、2013年に国が認可しました。その根拠になった「評価書」の生物関係を見ると、当時盛んに行われた「希少種の検討」が行われています。希少種だけに注目することは多くの生物が繋がりあって生きており、全ての生物をセットとして保護しなければならないとする現代保全生態学の立場からすれば間違いですが、その立場を取るとしても、評価する側からすれば希少種があることは不都合です。評価書には希少種としてキンランやニリンソウなどが挙げられています。そしてこれらは移植すれば良いとしています。しかしキンランは寄生植物であり、菌根菌によって樹木から栄養を得ているので、切り離して移植しても定着は困難であることは植物学が明らかにしています。

キンランの移植の説明図

 またニリンソウはレッドデータにあげられていないから「元々あったとは思えず、植栽したと考えられる」としています。しかし「武蔵野の植物」という本(檜山, 1965)にはニリンソウは武蔵野にあるとされているし、我々の花マップの調査でも開花個体だけでも3分の1ほどの区画で確認されており、この全てが植栽と考えるのは不合理です。

小平市におけるニリンソウの生育状態

 また評価書では、伐採による樹林面積の減少は全体の3%に過ぎず、周りに良い樹林が残るから問題は少ないとも書いてあります。しかし緑地の価値を面積だけで評価することも間違っているし、福本さんが紹介されたように、その場所に人の活動の歴史があることを無視しています。
 このような評価書に基づいて工事が認可されたことは大きな問題です。


 東京都が紹介する工事後の予想図では幅広い道路が玉川上水を横切っています。これを道路側から見れば、便利になることは間違いありません。しかし私はこれを玉川上水の側から見ます。そうするとこの道路がいかに甚大な破壊をするかがわかります。

 思えば、戦後の、我々の親世代から我々を含む日本人は、自然の側から開発を見たことがあるでしょうか。しかしこれからは、そういう見方は正しくないことに気づく人が増えるはずで、すでにその兆しは見られます。もしこの認可に基づいて工事進められたとすると、玉川上水の歴史に汚点を残すと思います。そうなれば、私たちはこれからの世代に失望を残すことになります。私は、それはすべきではないと思います。

++++++++++++++++++++
休憩を挟んで、意見交換に入りました。
 「工事を止められる可能性はあるんですか?」という発言がありました。これに対しては「残念ながらほぼない。関係部署に行って説明を聞いたが、この段階で覆った事例はないと言われた」と答えました。
 行政側の立場がわかるという方から、この工事は100%進められる、東京都は面子をかけて必ず道路をつけるという発言がありました。実際、町田まで開通し、埼玉側も同様だということです。可能性としては「条件闘争」として、できるだけ自然への影響が小さくなることを提言してはどうかと発言されました。そして建設の専門家などを取り込んだネットワークを形成してはどうかとの提案がありました。
 1964年の東京五輪の時に、「環7」の拡幅工事があり、問題なしと説明されたが、工事後は騒音がひどかったという発言もあり、その方は小平の玉川上水で撮影したというコノハズクの写真を持参され紹介されました。

 残念ながら、時間切れのようになりましたが、積極的な発言があり、私たちの今後の活動に有益でした。

++++++++++++++++++
 アンケートの自由記述を読むと、多くの人が2つのことを書いていました。ひとつは花マップなど生物学的に正確なデータが蓄積されていることへの驚きと賞賛です。私は大きな声で主観的な主張をすることよりも、粘り強く事実を積み重ねることが力になると考えているので、そのことが評価されたことを嬉しく思いました。
 もう一つは、行政に明るい方の「道路は100%できます」という言葉へのショックです。そうではあろうと思いながらも、なんとか見直してもらいたいと思っている多くの参加者は、現実を突きつけられた気持ちだったと思います。ただ、その人は「東京都はメンツにかけて道路を通します」と言いました。では東京都のメンツとは実際だれがメンツを潰すことでしょうか。また、そのメンツのために樹木が伐採され、そこに生える野草やそこに住む野鳥などの生き物がいなくなるとすれば、生き物の側から物事を見るようにしてきた者からすると、まったく理不尽としか言いようがありません。

 協力いただいたスタッフの皆様に感謝します。

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九州大学福岡演習林のシカの食性

2023-08-11 09:47:37 | 研究
九州大学福岡演習林のシカの食性

高槻成紀
片山歩美(九州大学院農学研究院、環境農学部門)
阿部隼人(九州大学生物資源環境科学府)

 九州のシカの食性は情報が限定的で宮崎県と福岡県での分析例がある。宮崎県の事例は椎葉村にある九州大学の演習林において、2003年前後の胃内容物分析が行われ、グラミノイド(イネ科、カヤツリグサ科)が多かった(矢部ほか, 2007)。ここではシカが増え、植生も変化したので、我々が2022年の12月から糞分析を開始した(こちら)。一方、福岡県での事例は有害鳥獣駆除の胃内容物分析で、場所は県内各所であるが、低地が多いとされており、内容は双子葉草本が多く、夏には落葉樹が、冬には常緑樹が多くなる傾向があった(池田, 2001)。今回、片山氏から九州大学福岡演習林のシカの糞の提供があったので分析することにした。

方法
 調査地は福岡市の東側にある九州大学福岡演習林で、森林とオープンな場所が混在している(図1)。ここでは2009年から2013年にかけてシカが増えたが(壁村ほか, 2018)、植生への影響はさほど強くない段階にある。

図1. 調査地(九州大学福岡演習林)の位置図

 新鮮なシカの糞を10糞塊から10粒づつ採集し、0.5 mm間隔のフルイで水洗し、残留物を光学顕微鏡によりポイント枠法で分析した。

結果
 2月28日のサンプルを分析した結果、常緑広葉樹の葉が19.9%、グラミノイドが11.5%、ササが8.8%などで、葉の合計が42.1%であった(図2)。枯葉(8.6%)はこれには含んでいない。そして稈(イネ科の茎)と繊維がそれぞれ20.5%と22.2%を占めた。つまり葉と支持組織がほぼ半々であった。図2には福岡県全体の1月の胃内容物も示したが、演習林の結果はこれと比べると支持組織が多い。また宮崎演習林の12月の結果と比較すると葉が多く、食糧事情はこれよりはよいと言える。


図2. 福岡演習林のシカの糞組成(左)と比較のための2カ所の冬のシカ食性

 福岡演習林での季節変化(10月まで)を図3に示す。2月には常緑樹の葉が19.9%と比較的多く、繊維(22.2%)と稈(20.5%)もやや多かった。
 4月には常緑広葉樹は19.1%とほぼ同じであったが、繊維が45.8%と非常に多くなった。4月には植物が生育中で、葉はみずみずしい状態であるため、消化率が高く、糞には少量しか出現せず、消化率の低い繊維が相対的に多くなったものと推察される。
 8月になると常緑広葉樹は8.5%に減少し、双子葉植物が7.1%に増加した。このことは供給量として常緑広葉樹が減少したのではなく、落葉広葉樹や草本の双子葉植物の葉が増加したためであろう。一方、稈が56.5%と大幅に増加し、繊維は10.2%に減少した。このことはシカは夏になってイネ科をよく食べるようになり、消化率の低い稈が多く出現したものと考えられる。イネ科の稈は広葉樹の枝などに由来する繊維に比べると緑色であり、栄養価もさほど低くないと考えられるので、葉が少ないとはいえ、食物事情は良くなっていると考えられる。
 10月になると、稈が減って代わりに繊維が増えた。イネ科の葉が硬くなるなどしてアメリ食べなくなり、木本の枝などを食べて繊維が増えたものと思われる。葉全体は8月とあまり変わらず、その内訳は常緑樹とイネ科は減少し、双子葉植物は同程度だった。ササが微量ながら検出された。不明が増加したが、この中には不透過物が多かった。


図3. 福岡演習林のシカの糞組成(2023年)


図4. 10月のシカの糞から検出された種子

 注目されたのは種子がこれまでで一番多かったことで、植物のフェノロジーを反映していた。多かったのはヨウシュヤマゴボウの種子で、検出されたもの(図4検出物 1)と手持ちの標本を比較したが、一致した。ヨウシュヤマゴボウは10サンプルのうち、1サンプルから検出されただけだったが、そのサンプル内では8.3%を占めた。このほかにも微細なイネ科と思われる種子も検出された(検出物 2)。また、光学顕微鏡で不透過で縁が直線的な検出物があり、ドングリの殻ではないかと察していたが、糞内容物を乾燥させると、間違いなくドングリの殻の破片が検出された(図4)。
 葉は合計しても23.2%にすぎず、2月の42.1%の半分程度であった。この時期の樹木の葉は消化が良いのかもしれない。

文献
池田浩一. 2001. 福岡県におけるニホンジカの生息および被害状況について. 福岡県森林林業技術センター研究報告, 3: 1083. 
壁村勇二 ・榎木 勉 ・大崎 繁 ・山内康平 ・扇 大輔 ・古賀信也・菱 拓雄・井上幸子・安田悠子・内海泰弘. 2018. 九州大学福岡演習林におけるニホンジカの目撃数増加と造林木 および下層植生への食害. 九大演報 , 99:18-21.
矢部恒晶・當房こず枝・吉山佳代・小泉 透. 2007. 九州山地の落葉広葉樹林帯におけるニホンジカの胃内容. 九州森林研究, 60: 99-100. 

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キツツキの形態 - 木をつつくために

2023-08-09 07:06:41 | その他

ご承知のように、キツツキは非常な速さで木をつつきます(ドラミング)こちら。その速さは1秒に7、8回だそうです。もちろんそのために、スズメやカラ類などに比べると細長くて丈夫な嘴を持っています。


図. いろいろな嘴(World of Birds)

頭を打ち付けるために脛骨(首の骨)が丈夫で、筋肉も特別に良く発達しています。


図. よく発達した首の筋肉(a false(red)startより)

 キツツキは木の幹上を素早く動きますが、その動きは両足と尾羽の3点が幹に接することで安定します。そのため、キツツキの尾羽は軸(羽軸)が非常に太く、短く、丈夫です。


図. キツツキは両足と尾羽の3点で安定(how the woodpecker avoids a headacheより)

 また尾骨も他の鳥のものよりよく発達して尾羽の安定化の基礎になっているそうです。羽軸の付け根が大きく窪んでいるそうですが、私がみた写真や図では未確認で、そのうち標本を見たいと思っています。


図. キツツキの骨格。尾骨に着目(pixelsより)。

 キツツキの舌が長いことは知っている人が多いと思いますが、その長さたるや口の奥から脳の上をぐるりと回って、さらに目を越えます。舌は口の奥の方で枝分かれして後頭部で合流するので、伸ばすとハート型のような特殊な形です。


図. キツツキのなが〜い舌(BirdWatchingより)


図. 2股に分かれたハート型の舌(Lizzie Harperより)

 舌の先端は少し広がり、逆棘がついていて昆虫を捉えやすくなっています。


図. キツツキの舌の先端部(Wamg et al. 2011より)

しかも舌には舌骨(ぜっこつ)という骨がついていて、木を打つ時の衝撃緩和に役立っているそうです。

 
キツツキの舌骨。頭骨を覆うようについている線状の骨
(左 Museum of Osteology、右 The Talk Origins Archiv)

 キツツキの木の突き方は、速いだけでなく強いもので、高速度撮影したものをスローモーションで見るとつついた直後に頭を包む肉の部分と羽毛が大きく揺れ動くことがわかります(こちら)。

「頭が痛くないのだろうか」と心配になりますが、これまで、その強い衝撃をやわらげるために、キツツキの頭骨にさまざまな特殊化がなされていると説明されてきました。例えば、頭骨は中がスポンジ構造になっていて、脳に衝撃がかからなくなっています。


図. キツツキの頭骨のスポンジ構造(Wang et al. 2013より)

 また、嘴を打つ衝撃は頭骨にかかるため、上嘴が上に曲がらないように前頭部が膨らんだ構造になっています。


図. 上嘴が衝撃で上に曲がらないよう、頭部前方が膨らんだ構造になっている
(Jung et al. 2016)

 下の嘴(つまり下顎)は頭骨の末端近くまで伸びており、末端が頭骨に接する部分に「方骨」という特殊な骨が発達していて、蝶番(ちょうつがい)になり、木を突いた時の衝撃が頭には少なく、首の筋肉に分散するようになっています。

 ところが、これらが緩衝機能を持つためだということが真っ向から否定されました。2022年のことです。この論文の著者ワッセンバーグは以下のように問いかけます。「打ち付ける衝撃を頭骨が吸収するということは、嘴を木に打ち付けた衝撃を頭骨に伝えにくくするということである。これをハンマーに例えれば、先端部と基部のあいだにクッションがあることを意味し、そんなハンマーで釘を打っても力は伝わらないはずだ」と。もしそうであれば、嘴が木を打つ瞬間と頭骨がそれを受ける瞬間とにごく短い時間的ズレが生じているはずです。そこで実際にキツツキを飼育して高速度カメラで撮影してみると、嘴の先端、付け根、目の位置で、動きのずれはまったくなかったのです。このことは、キツツキの頭骨には緩衝機能はないことを意味します。つまりキツツキの頭骨は衝撃を受けているのです。
 ではなぜキツツキは大丈夫なのでしょうか。ワッセンバーグによれば、「頭が痛いはずだ」というのは、鳥から見れば巨大な頭を持つ我々サルの直感であり、キツツキの頭の大きさであれば脳に悪影響があるような力にはならないというのです。このことは実は2006年にギブソンが指摘しています。彼はキツツキが衝撃に耐えられるのは1)小さいため、2)衝撃時間が短いため、3)頭骨内での脳の接触面積が大きいため、であるとしました(Gibson 2006)。なおワッセンバーグはこの研究でイグ・ノーベル賞を受賞しました。

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玉川上水の保全活動

2023-08-05 10:04:39 | その他
玉川上水の保全について「玉川上水みどりといきもの会議」で活動していますが、現在ブログに不調があるため、最近のものはこのブログを使っています。ご了解ください。

2023年9月1日
 東京都庁の水道局に質問状を持参するも拒絶 こちら

++++++++++++++
玉川上水の保全活動のうち、小平328号線を考える活動に関心があるメンバーで集会を開くなど活動を始めました。以下はその記録です。

2023年5月7日
 シンポジウム「小平の玉川上水が危ない」を開催 こちら 
        動画(Youtube)は こちら
6月2日
 分断道路を考える集まりを開催 こちら
7月10日 
 坂上多津夫氏(元津田塾大学職員)に話を聞く会を開催 こちら
7月14日
 東京都建設局北多摩北部建設事務所を訪問 こちら(高槻)こちら(水口)
7月20日
 史跡玉川上水整備活用のための作業説明会(小平市・立川市域) こちら
8月20日
 学習会「小平の玉川上水が危ない 2」 記録は こちら 動画は こちら

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328号線影響評価書

2023-07-27 22:50:35 | その他
小平328号戦工事を認可した影響評価書があります。正確な名称は以下の通りで、私が読んだのは簡略版で、本冊があるようですが、それは目にしていません。それでも、問題の本質は十分にわかります。

「環境影響評価書案の概要−国分寺都市計画道路3・2・8号府中所沢線及び小平都市計画道路3・2・8号府中所沢線(国分寺市東戸倉二丁目〜小平市小川町一丁目間)建設事業」(平成23年)といいます。代表者は当時の石原慎太郎知事です。

 大気や水質の影響についてはここでは省略し、生物関係を見てみます。工事中の影響は樹林地を可能な限り残し、やむをえず伐採する場合は草本類を移植や表土を活用するので、「影響は小さいと予測します」とあります。可能な限り残し、移植などするという部分まででも多くの深刻な問題がありますが、だから影響は小さいと予測するという結論の粗雑さは呆れるばかりです。「できるだけ残す」の「できるだけ」が客観的にどのくらいの面積なのかの記述はありませんから、事業者が「できるだけ残した」と言えばよい訳で、「ザル法」と言えると思います。
 さらに読み続けます。希少種はあるが、生育ちの改変面積は可能な限り低減し、樹林地は可能な限り残し、やむをえず改変する場合は移植する努力をするから、「影響は小さいと予測する」としています。ここでも「できるだけ」が頻用されています。どのくらい破壊すればどういう影響が起きるかという記述はありませんから、要するにどうにでもなるということです。
 これに続けて工事完了後の影響も予測されます。工事をしなければ何が起きるかはわからないので、工事中の予測も完了後の予測も、上記のごとく「できるだけ」という逃げ道があり、無意味ですが、一応何が書いてあるかを確認しておきます。ここでも「できるだけ」が繰り返されますが、工事中の予測に書いてなかったことで注目すべきことが書いてあります。それは「環境樹林帯への植樹帯の設置により、連続した新たな緑被を創出します」という記述です。わかりやすく言えば「伐採はするが、木を植えるので大丈夫」ということです。それに続けて「植栽面積を足せば、伐採前よりも緑地は少し広くなる」とあり、だから問題ないと言わんばかりです。これは林をパッチワークのように捉え、「こちらが減るが、同じ面積あちらにつぎはぎを縫い合わせるから減ったことにはならない」ということです。そして「これにより影響は小さいと予測します」と結んでいます。

 これらを踏まえて、さらに驚くべき結論が書かれています。正確に引用すると「評価の指標とした<生物・生態系の多様性に著しい影響を及ぼさないこと>を満足すると考えます」となります。この文章には主語がありません。最初私は石原知事か、これを書いた人が満足するのかと思いましたが、文章から察すると人ではなく、「道路計画が影響を及ぼさないものである条件を満たしている」という意味のようです。それなら「充足する」あたりの言葉が普通だと思います。なぜこの粗雑な理屈の組み立てで、これが生態系に影響しないということになるか、いくら想像を膨らませ、善意に解釈してもさっぱり理解できません。できることならこれを書いた人に質問して、普通の言葉で説明してほしいと強く思います。この文章を書いた人のことを想像すると、「仕事とは言え、なんで自分がこんな文章を書かないといけないのだ」と思ったはずで、同情を禁じえませんが、ここではそんなことではなく、このような文章により、道路計画に妥当性を与えられたということの意味の深刻さを考えなければなりません。
 

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小平328号線問題

2023-07-27 21:59:46 | その他

 東京都林務課から小平328号線が通過する中央公園の南側で土壌調査をするという連絡がありました。そして私(高槻)が関わる野草などの調査には影響しないという説明があったので、特に問題視していませんでしたが、水口さんは、これはいよいよ工事の動きがあるのではないかという考えでした。水口さんは10年前にこの道路問題を取り上げて住民投票の活動をし、残念ながら小平市がそれを「投票率が低い」という理由で開票しないという事態になり、工事が決定されるということがありました。そうしたことがあり、このことを取り上げる必要があると感じました。
 大きくいうと5つの重要なポイントがあります。また、東京の樹木伐採という意味では明治神宮外苑の街路樹伐採などとも共通の課題であり、私たちが考えなければならない問題だと思います。こちら

1)この計画は1963年に立てれられたもので(こちら)、当時は日本中で「開発」が行われた時代でした。その後、半世紀以上経過して社会は大きく変化しました。自然保護のシーンで言えば生物多様性の考え方が浸透しましたし、SDGsは社会の大きな目標となりました。同時に保全生態学も大きく発展し、森林の保護についての基本的考え方も変化しました。にもかかわらず、当時の計画がほぼそのまま進められてよいのか。これは、我々の世代がよく考えなければならないことです。

2)中央公園南側を含む小平の玉川上水の緑地は、他の場所に比べて幅が広く、上流のように両岸の植生が強く管理されることがないため、自然状態がよく、動植物が豊富です。この場所に幅が36メートルもある水平(地上)道路がつけば、連続的であることに価値がある玉川上水の緑地が分断され、測り知れない影響が予測されます。こちら

3)コゲラというキツツキの仲間は状態の良い林があることが必要ですが、この鳥は「小平市の鳥」に選ばれています(こちら)。我々の調査によればコゲラは玉川上水の中でも小平で最も個体数が多く記録され(こちら)、まさに「小平の鳥」にふさわしいことが裏付けられました。その意味でこの場所の樹林が伐採されることは、小平市にとっても大きな問題です(こちら(準備中))。私たちは、この林を「小平コゲラの森」と呼ぶことを提唱します。


Bは「どんぐり林」と呼ばれている。Aを「小平コゲラの森」と呼びたい。

4)「小平コゲラの森」には実に85種もの鳥類がいることが確認されています(大出水データ)。東京の都心には皇居、明治神宮、赤坂御所などの大きな林があり、鳥類調査がおこなわれています。種数は皇居が86種(西海ほか 2014, 黒田ほか 2017)、明治神宮には最近の調査では94種(柳澤・川内 2013)、赤坂御所は46種です(濱尾ほか 2005)。このことは、小平コゲラの森には、東京にあって例外的に広く、厳格に保護されている皇居や明治神宮に匹敵する種数の鳥類がいるということであり、驚くべきことです。
 内訳を見ると、明治神宮だけにいる鳥類は11種おり、その主体は水辺にいる鳥類です。皇居だけにいる6種も主にカモ類です。小平コゲラの森だけで記録されたものは10種います。小平コゲラの森と明治神宮の2ヶ所だけで記録されたものは7種いて、これと小平だけの10種を合わせた17種のうち8種は樹林性の鳥です。それを挙げると、アオバズク、アオバト、クロツグミ、コジュケイ、トラツグミ、ホトトギス、マミチャジナイ、ゴジュウカラです。
 明治神宮の森は鬱蒼とした常緑広葉樹林であり、その明治神宮の森と小平コゲラの森に共通な種の半数が樹林性の鳥であるということから、「小平コゲラの森」がこのような鳥類の生育地として適したものであることが分かります。


「小平コゲラの森」、皇居、明治神宮、赤坂御所の鳥類種数の比較

5)「小平コゲラの森」にはコゲラのほか、キツツキとしてアオゲラとアカゲラがいます。個体数ではコゲラが15位、アオゲラは26位、アカゲラは58位です。キツツキは木の幹をつついて中の昆虫などを食べます。そのために全身にそれに都合のよい構造を持っています(こちら)。その形態にも驚きますが、生態学的、つまり環境やどの他の生物との関係という視点で見たキツツキの重要さは、穴を開けることが、他の鳥類の棲家や巣として利用されるということにあります。つまりキツツキがいるおかげで、穴を開けることができない多くの動物が暮らせるようになるということです。1990年代以降の研究により、キツツキはその林の生物多様性に大きな貢献をしているということがわかってきました(準備中)。この意味で、「小平コゲラの森」に地上道路がつくことははかり知れない影響があることがわかります。

これらの問題を多くの人に知ってもらうために集会を開くなどの活動を始めることにしましたこちら)。

文献

黒田清子・小林さやか・齋藤武馬・見恭子・浅井芝樹. 2017. 2013 年 7 月から 2017 年 5 月までの皇居の鳥類相. 山階鳥学誌, 49: 8-30.
西海 功・黒田清子・小林さやか・森さやか・岩見恭子・柿澤亮三・森岡弘之. 2014. 皇居の鳥類相(2009年6月-2013年6月). 国立科博専報, 50: 541–557.
濱尾章二・紀宮清子・鹿野谷幸栄・安藤達彦. 2005. 赤坂御用地の鳥類相(2002年4月-2004年3月). 国立科博専報, 39: 13-20.
柳澤紀夫・川内 博 2013. 明治神宮の鳥類 第2報.「鎮座百年記念 第二次明治神宮境内総合 調査報告書」鎮座百年記念第二次明治神宮境内総合調査委員会編 pp.166-221.
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杉並の鳥類群集と放射5号線の影響

2023-07-27 14:43:29 | その他
玉川上水はもともと43kmの水路でしたが、高度成長期に杉並の浅間橋より下流は暗渠化されました。したがってここが開渠部分の最下流となります。都心に近いため、人口も多く、都市化が進んでいます。そして2019年に放射5号線が開通しました。地元で玉川上水の動植物を調べてこられた大塚惠子さんはこのことに危機感を覚えて、2017年から鳥類調査を続けてこられました。そのデータを見せてもらい、明らかに開通後に鳥類が減少したことがわかったので、三鷹で調査をしてこられた鈴木さんにも声をかけて杉並での調査結果を合わせて、放射5号線の影響について論文にしました。

大塚惠子・鈴木浩克・高槻成紀. 2023. 玉川上水の杉並区に敷設された大型道路が鳥類群集に与えた影響. Strix, 39: 25-48. こちら
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植生状態と鳥類群集

2023-07-27 14:08:36 | 研究
玉川上水は東京を30kmの長さで連なる水路ですが、その植生管理は一様ではありません。羽村から小平までは水が豊富で生活用水に使うため両岸の管理がよく行われ、サクラを主体として樹林が続きますが、その幅は広くない場所が多いです。小平管理所で取水し、それ以下は再生水が流れますが、水量は少なく、玉川上水の水路は深くなります。小平では樹林はばが30メートルほどもあり、武蔵野の雑木林の片鱗が見られます。小金井では桜並木のために強度の伐採が行われ、サクラが間隔を置いて植えられています。それより下流(東側)では樹林幅は狭くなり、杉並では両側を放射5号線という大きい道路が開通しました。西から小平、小金井、三鷹、杉並で7回の鳥類調査をし、比較したところ、玉川上水と三鷹が鳥類が豊富で、杉並では大きく減りましたが、小金井はそれよりもさらに少ないことがわかりました。しかもその内容は小平と三鷹では樹林に住む鳥が多く、杉並と小金井では都市のオープンな場所に住むスズメ、カラス、ハトなどが多いことがわかりました。このように鳥類群集は生息地の樹林の状態に強く影響されること、したがってその管理には生物多様性の考え方が重要であることを指摘しました。

高槻成紀・鈴木浩克・大塚惠子・大出水幹男・大石征夫. 2023. 玉川上水の植生状態と鳥類群集. 山階鳥類学雑誌 (J. Yamashina Inst. Ornithol.),55: 1-24. こちら
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小金井の桜並木と台風の影響について

2023-07-27 14:01:39 | 研究
小金井では桜並木の保存に力を入れ、その目的でその他の樹木を皆伐しました。その影響はさまざまなところに現れていますが、その一つとして2021年に東京を襲った台風18号の影響があります。これにより多数の樹木が被害を受けましたが、その被害率は小金井地区が他の場所の7倍も多く、また内訳はほとんどがサクラでした。私たちはその実態を調べて論文として公表しました。こちら

高槻成紀. 2020. 2018 年台風 24 号による玉川上水の樹木への被害状況と今後の管理につい .  植生学会誌, 37: 49-55.
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玉川上水の保全関連

2023-07-27 13:57:57 | その他
玉川上水の保全関連の調査・活動を行なっています。

1)小金井の桜並木と台風被害について こちら
2)玉川上水の鳥類群集について こちら
3)久我山の鳥類群集と放射5号線の影響について こちら
4)小平328号線の問題点について こちら

活動の記録は こちら
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史跡玉川上水整備活用のための作業説明会(小平市・立川市域)

2023-07-20 07:14:47 | その他
史跡玉川上水整備活用のための作業説明会(小平市・立川市域) 記録メモ(水口)
日時:令和5年7月20日(木)19時~
場所:中央公民館視聴覚室
参加市民:5名+水口
次第:2.水道局境浄水場長挨拶
   3.水道局、東京水道(株)、小平市(水と緑と公園課、文化スポーツ課)、立川市 自己紹介
4.樹木処理作業等について
    ・伐採は赤テープ、強剪定は黄色テープ、剪定は青テープを貼る。
   5.史跡玉川上水整備活用計画検討委員会の設置について(*水口はここから参加)
    ・5月23日に第一回委員会を開いた。令和6年度から16年度が対象となる計画を策定する。
    ・水路、法面の保全、法面補修、サクラの保存と被圧樹木の処理、植生管理(ナラ枯れや、多様性に配慮した管理)、地元自治会との連携、などに基づく活用整備を規定する。
   6.質疑応答
問:鷹の台自治会のユノキさん:新堀用水は小平市など、管理主体がいろいろでわかりにくい。どんな対応をしているのか。
答:昨年度は、中流部18㎞の環境調査や樹木医による樹勢調査をした。その結果、ナラ枯れの(?)被害木が800本あまりあり、今年度は、それらの樹木の根株の腐朽診断など詳細調査をしている。それらの調査に基づき、枯死した木や、不健全な木、周辺住宅等への影響、警察等からの連絡、などで樹木処理を行う。
問:江戸東京学び舎ユネスコクラブのクボタさん:月に1回、玉川上水の自然観察会をしているが、下草刈りで貴重な野草が刈られていることがある。専門知識をもたない人が刈っているのか。
答:小平市では、毎年11~12月に下草刈りをしている。貴重な野草があれば、具体的な場所を東京水道(株)か境浄水場に知らせてほしい。
問:鷹の台自治会の方:樹木の周辺住宅への影響に配慮してほしい。(スライドで紹介された)小桜橋下流では、緑道の桜が斜めになっていて危ないのではないか。台風対策の意味もあり、樹木の高さに気を付けてほしい。
問:近所で、枯れたナラの枝が路上に落下した。これで3回目。現在、ポールを立てて、伐採の方向で作業中だが、危ない枝は取り除いてほしい。
問:玉川上水での作業を示す黄色い看板は、美観上よくない。
答:作業期間のみの掲示で、すぐ取れるようなものにしている。
問:岩井さん:羽村から浅間橋まで歩いた。橋が105あり、橋から玉川上水の深さを赤外線で(?)測ったところ、小平区間が、5~7.5mで、他区間より深いにも関わらず、柵の高さが60㎝くらいでまたげる状態である。今年4月には、東小川橋のところで亡くなった方がいる。今日の午前中に、西部公園緑地事務所にも行ってきたが、他市区間の柵は、一部高さ80㎝のところもあるが、ほとんど110㎝ある。小平区間は、橋の上から水面が見えず、高さが感じられない。東小川橋では対岸も見えず、そのために発見が遅れたということもある。これまでも、年1回くらい落下事故がある。水面が見えない部分は、危険性を認識できるように刈り取ってほしい。
答:眺望の確保は、整備活用計画でもうたっており、刈ることは検討したい。
問:クボタさん:柵については、反対運動があったのか。小平市部分はなぜ低いのか。
答:水と緑と公園課:小平市部分の柵を設置した当時は、現在と基準が異なっていたのではないか。
問:クボタさん:安全管理には反するが、柵が低いから、例えば柵を乗り越えて昆虫をつかまえて子ども達に学習させる、などもすることができており、難しい面はある。
答:水と緑と公園課:小平監視所の下流部分は、高さ110㎝の柵になっている。状況を見て、都建設局が対応していくと思う。
問:鷹の台自治会の方:高さ110㎝にしても、越えようと思えば乗り越えられる。史跡であり、景観重視の観点から、自分は今のままの柵でいいと思う。100年先を見据えて残すようにしてほしい。
問:ユノキさん:台風が来た後に、樹木の調査をしている人がいて、聞いたら役所ではなかった。環境重視で、家の前の小さな木も切ることはできないのか。環境にうるさい人ではなく、住んでいる人の意見を聞いてほしい。環境重視で意見を言う団体があるのか。
答:水と緑と公園課:玉川上水の景観に配慮する団体はある。管理主体もいろいろだが、適切な管理方法を検討したい。
問:クボタさん:玉川上水のごみを市民で掃除して取ることはできないのか。
答:小平市部分は特に深くて危険。ごみを見つけたら、連絡してほしい。
問:岩井さん:八左衛門橋?のたもとあたりは、交通事故が起きそうなので、視認性を確保してほしい。山家橋?も、水路の中に木が生えていて、対岸が見えないので、対処してほしい。
答:視認性の確保は検討したい。

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東京都北多摩北部建設事務所 訪問記録メモ(水口)

2023-07-14 07:11:59 | その他
東京都北多摩北部建設事務所 訪問記録メモ(水口)
 日時:2023年7月14日
 参加者:小口、加藤、高槻、松山、リー、水口、竹井都議
 対応:中田和範(工事第一課長)、柘植憲彦(同課長補佐)、吉山順一(同工務担当)、中川恵一(用地第一課長)、池田昌弘(同専門課長)

(1)小平328号線計画の進捗状況について
・用地取得状況は7割とのことだが、今後の見通し
 現在、土地の買収は7割程度になっている。事業に反対している人や移転先が見つからない人など、難しい案件が残っているので、今後、買収のスピードは停滞する可能性がある。

・今年度に設計を行う予定か
 今年度に予備設計を行いたいと考えている(予備設計の次は、詳細設計)。設計者は、一般競争入札で決める。今年度に予算は確保している。

・玉川上水緑道部での地質調査の結果は
 玉川上水に橋をかけるにあたって、構造上問題はないか、設計するために地盤の固さなどを調べた。史跡の調査も兼ねている。地下15mまで、直径10㎝の穴を開けて、土の状況をみた。15mまで地下水にはあたらなかった。結果は今年度中にまとめ、開示請求されれば開示する。
 

(2)小平328号線計画の今後の予定
・地質調査の結果が出たら、史跡への影響を審査する委員会を立ち上げる予定か。
 委員会立ち上げは考えている。国分寺328号線のときの例を参考にする。委員会の会合は、半年から1年間くらいかけて、2.3回行う。非公開。委員は、学識経験者、本庁の担当者、市の文化財担当者など、10名前後になる。
質問:非公開の理由は? 
回答:これまでも公開していないため。

・国分寺328号線と同様に、小平328号線計画沿道30m内の住民が参加する話し合いの場は設定されるのか。
 国分寺328号線のときを参考に、検討している。両側10mずつの環境施設帯をどのようにするかについて話し合う。まだ決まっていない。

・今後、市民が意見を言える場はあるか
 問い合わせいただけば、北北建で対応する。

(3)国分寺328号線の状況について
・用地取得ができていない部分が数か所残っていると聞いていたが、その現状は。
 3か所が残っている。そのうち2か所は、北北建が対応し、1か所は道路整備保全公社の管轄になる。現在、交渉中である。

・2027年度に完成予定か。
 工事がまだ残っており、未定。全部が開通するまで2~3年はかかる。
・2017年4月に開通した部分の事後アセス(交通量調査)の実施状況
 開通直後以外、交通量調査はしていない。東京都環境局が、騒音、振動、大気汚染などについて、アセスを行い、基準オーバーがあれば、改善措置を行う。
質問:建設局がつくった道路が、たとえば環境影響評価で基準値を超えるなど問題が生じた場合はどうなるか。
回答:環境局が是正措置を求める。)
質問:温度は評価しないのか。 
回答:温度は、アセスの項目になっていない。

(4)小平328号線に係る予算・決算の状況(添付ファイル参照)
・令和2年度以降の決算額と、令和3年度以降の予算額
 本庁の所管課に請求してほしい。

(5)交通センサスの実施状況
・平成27年度以降の実施状況と、府中街道の交通量
 平成27年度秋と、令和3年度に実施しており、府中街道津田塾大学前の1日往復交通量は、平成27年度が19,824台で、令和3年度が19,313台で、あまり変わっていない。

(6)小平328号線を地下あるいは高架にする場合の課題
・用地取得への影響等
 地下にする場合、地下に入る部分は、現在の36m幅よりも両側5mずつくらい広げる必要がある。都が土地を購入した後、予定地の外側に自宅を再建した人もおり、そこを再度広げるとなれば、説明が必要で、合意を得るのは難しい。

質問:地下あるいは高架に変えた例はないのか。 
回答:用地買収に入っている段階で変えた例はない。)
質問:玉川上水で自然観察会をしているが、変形菌が20種以上いる。そのように多くの種類がいるのは珍しく、玉川上水の生物の多様性が豊かであることがわかる。残すべきではないか。 
回答:ここに橋をつくってほしくない、という意見もあるが、早くつくってほしいという意見もある。)
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東京都建設局北多摩北部建設事務所での話し合いのメモ(高槻)

2023-07-14 07:06:54 | その他
東京都建設局北多摩北部建設事務所での話し合いのメモ(高槻)

 2023年7月14日、水口さんのご尽力により東京都建設局北多摩北部建設事務所工事第一課を訪問し、話し合いをしました。多くは水口さんが事前に準備した質問に答える形でした。これについては水口さんからの報告をご覧ください。
 私としては「建設局の予測が基準値を超えたら、環境局が是正を求めるという形がとられる」ということが聞けたのが最大の成果でした。私は次のように質問をしました。
「東京都が道路工事の計画を立てます。そのことについて東京都が予測し、開通後に測定するのですね?」
「はい」
その時第1課の側から
「東京都と言われますが、実際には工事をするのは建設局、評価をするのは環境局と別の局なのです」
 私は心の中で「しめた」と思いました。評価書を読む限り、全くの「お手盛り」で、工事をすると決めたら調査をして、どんな結果が出ても「問題ないと予測される」と書いてあったので、これでは無意味だと感じていたのに、そうではないと言ったからです。
 例えば排気ガスが環境基準を上回ったら、環境局が是正を求めることもあるというのです。これは、きわめて健全な姿勢です。
そこで、例を考えてみます。お地蔵様などが拡幅工事によって移動を余儀なくされ、「重要な物なので壊すことは良くないから移動した」をこれまで「仕方ない」としてきました。しかしよく考えたら、歩道の脇にあって人が自然に頭を下げたお地蔵様を交通量の多い道路の脇に移動したのは、ほとんど破壊に近いと見ることもできます。このことを、「高度成長期には、お地蔵様を移動することは問題視されなかったが、現在の基準からすれば大きな問題があった」と反省することはごく自然なことです。
 もし「工事によって過度の問題が生じれば戻さなければならない」ということが本当なら、「工事によって自然が破壊されたら、永遠に失われて取り返しがつかない」ことが立証できれば、工事の強い抑止力になるはずです。生物現象は人の浅知恵で予測できないことが多いことは、多くの保全生態学の成果が示しています。その評価が高度成長期と今では違うことを論理と生態学の成果で説明することは十分可能です。そのような考えに立曲して、私は次のような主張をすべきだと考えます。
 「高度成長期に立てられ、認可された道路工事は、当時の社会の価値観から自然に対する配慮が欠けていた。その後社会は生物多様性の重要性を認識し、保全生態学において長足の進展があった。そしてSDGsつまり「持続的発展のゴール」は現代社会の重大な課題とされるに至った。これは人類が地球資源を利用する上では、破壊的ではなく、持続可能な形で利用しなければ人類の未来はないという考え方であり、20世紀の開発優先の考え方を根本的に改めなければならないというものである。この視点からすれば、高度成長期に立てられた計画のうち、自然に対する配慮の部分の問題点を見直すことは、現代社会にとっての必要不可欠な重要な課題である。」
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