たびびと

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みんな家族の村 ホンジュラスの風

2011年01月17日 | ホンジュラスの風
自転車で市内を走っていました。
市内といっても、掘っ立て小屋が集まった市場、小さな商店が数件立ち並ぶ中心街、小学校のグランドの大きさの中央公園、市役所などが立ち並ぶ舗装された道路周辺を通り過ぎるだけのことですが。

市内には3人の日本人が住んでいます。そのうちの一つのホームステイ先の家族が経営する雑貨屋さんの前を通り過ぎようとすると、椅子に座っていたミリアンがぼくに気がつきました。
大声で名前を呼ばれます。両手を大きく広げます。
「お前はここで何をしているんだ。どこへ行くんだ。」
というジェスチャーです。

ぼくは
「Hola」
と笑顔で答え、小学校に向かいます。

すると、今度は学校内の軽食堂を営むセルジオが、ピックアップ(軽トラック車)の窓から手を出して、声をかけてきます。
車の窓は黒塗りで中は見えません。でも、彼の声と、窓先から出た彼の手で、セルジオとわかります。
プップーとクランクションを鳴らして、彼は勤務先の高校へと走っていきます。

このチョルテカは、小さくもなく大きくもない程よい大きさの地方都市。
市内を歩くと、あるいは自転車で走ると、多くの知り合い、友人に出会います。まるで自分の家の庭を散歩しているようです。みんなが家族のようなのです。

平日の日が暮れた後、そして土日に、ぼくはよく市内を歩きました。
日中は日が強いので、夕方から夜にかけてです。夕食後の腹ごなしの運動にもってこいでした。

市内のすべての学校の先生とは顔見知りです。
歩いていると、モラサン小学校教頭先生が、家先で近所の人とトランプをやっています。お金をかけているようです。お酒も入っています。
「こんな下町のようなところに住んでいるのか。」
という驚き。

「教頭先生がお酒をのみながら賭け事をしていていいのだろうか。」
と、少し心配になります。

更に歩いていると、家の中から女子生徒が飛び出してきます。
「私はここに住んでいるのよ。家にあがっていって。」

多くの生徒とも友達です。
このように、見知らぬ人に声をかけられることが日常茶飯事です。

田舎の地方都市ですが、やはり貧困地域というものが存在します。
旧塩田が広がる地域の周辺は特に貧しい人が多く住んでいて、下水が整備されていないため、周囲は生活排水の汚臭がただよいます。

そんな地区でも知り合いの顔を発見することが多く、立ち話をします。
先生方に言わせると、「危険なので近づかない方がよい」とのことですが、そのような目にあう雰囲気を感じないので、気にせず歩いています。

夕食後の散歩のため7時頃に家を出ます。
ぐるりと自宅周囲を30分ばかり一周しようと思うのですが、帰りは9時過ぎ。

夜になると、どの家族も家の玄関先にプラスチック製の大きな椅子を並べます。そして夜遅くまでおしゃべりをします。家族あるいは近所の人と話しをします。

夜散歩をすると、当然この光景を目にします。誰がどこに住んでいるのかよくわかります。道も狭いので、近くを通り過ぎると、「Buenas noches」と夜の挨拶をします。

この散歩の習慣のおかげで、多くの人と友達になりました。
仕事のこと、家族のこと、ホンジュラスのこと。おしゃべりがはずみます。

近所の人はもとより、近所ではなくてもこちらから話しかけると、快く会話を受け入れてもらえます。そして決まって出でくるのがコカコーラ。

たわいもないおしゃべりをしながら夜が更けていきます。

こんな毎日を過ごしている彼らに家庭崩壊という言葉はありません。また、老後の心配もありません。特に老人が大切にされているというわけではありませんが、たくさんの子どもたちと一緒に暮らしているので、生活は苦しいながらも、特に老人が孤独死するということがないのです。

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