西村眞悟さんのメルマガより転載します。
本文はトランプ氏の事とオバマ大統領広島訪問についてですが、
ここではまずトランプに関する記事をご紹介いたします。
アメリカの理想と日本の理念
平成28年5月11日(水)
アメリカ合衆国に関して二つの話題を書く。
(その一)
ドナルド・トランプという人物が共和党の大統領候補になる。
この共和党の大統領候補確定に至るまで、
アメリカをよく知る外交評論家やジャーナリストの予測は外れ続けた。
従って、ここから予測される事態は、
トランプの大統領当選である。
何故なら、アメリカをよく知る彼らの多くが、
民主党のヒラリー・クリントンの大統領当選を予測しているからだ。
トランプの共和党大統領候補確定までの経緯(いきさつ)は、
理屈ではなく現象である。
そして、この現象は、アメリカ社会の変貌から湧き上がっている。
もはやアメリカは、「大草原の小さな家」に住んで、
明日の豊かさを信じて明るく生きる白人家族の国ではない。
このアメリカ社会の変貌から湧き上がる現象は、
トランプを大統領にするだろう。
考えてみれば、
我が国を振り返っても、
選挙つまり民主政治とは、
こういうものだ。
別にアメリカで特異なことが起こっている訳ではない。
その上で、「アメリカの理想」について述べる。
トランプ氏には「アメリカの理想」がないとよく言われているからである。
これまで、アメリカ大統領は、
自由や民主主義の理想を掲げ、
世界秩序の牽引者という理想を掲げてきた。
その理想がトランプ氏にはない、と言うのである。
従って、理想を掲げないアメリカ大統領は劣悪である、と言うのである。
しかし、私は言う。
理想を掲げたアメリカ大統領が如何に劣悪で悪どくて危険か、
身にしみて知っているのは日本ではないか、
我が国を対米戦争に誘ったF・ルーズベルト大統領を忘れたか、と。
さらに
理想を掲げて世界中を歩き回るアメリカ人ほど迷惑なものはない。
これを、アメリカンフールという。
理想を掲げて居座るアメリカ人と、
イナゴのように損得だけで居座る中国人はともに迷惑である。
我が国は、昭和二十年代、アメリカ人に居座られて、
けったいな「日本国憲法」という
歯の浮くようなアメリカの理想を押しつけられて、
未だに大迷惑している。
文明論的に言えば、
理想を掲げた一神教徒つまり欧米人が如何に危険だったか、
身にしみて知っているのはアジアでありネイティブ・アメリカンでありアラブである。
なにしろ、白人は、
ネイティブ・アメリカンを殺戮して肥沃な土地を奪うこと、
聖地エルサレムに住むアラブ人を殺戮すること、
これら「西部開拓」と「十字軍」さらにアジア・アフリカの植民地支配を
「神から与えられた使命」と信じたのである。
何故なら、
彼らは、異教徒を単純明快に人間とみなさないことができたからだ。
今も彼らは、優越感の固まりだ。
ドナルド・トランプは、
ローマ法王からキリスト教徒ではないと言われ、
アメリカの理想はないと言われ、
剥き出しのアメリカの利害中心主義だと言われている。
それで、OKである。
我が国は、
日本との連携が如何にアメリカの利益になるのかを
トランプに身にしみて知らせようではないか。
例えば、日本が如何に多くのアメリカの雇用を創設しているか、とか、
日本の生み出す部品がアメリカの国防を支えている、とか。
そして、同時に、我が国は、
安全保障を中心に自立的姿勢を強め、
自らの力で自らを守る誇りある日本を創設しようではないか。
トランプの現象は、我が国に
「戦後体制からの脱却」を促している。
トランプ現象を転じて福としようではないか。