壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

初場所

2009年01月11日 20時51分16秒 | Weblog
 今日から大相撲の初場所が始まった。
 一年を二十日で暮らすよい男――といわれたのは、寛政の名力士、谷風や雷電の活躍した昔、春・夏二場所興行の時代であった。
 その後、次第に回数が増えて、昭和三十三年からは、一月・東京の初場所、三月・大阪の春場所、五月・東京の夏場所、七月の名古屋場所、九月・東京の秋場所、十一月・福岡の九州場所と、一年六場所になった。
 今では、一場所十五日、一年六場所計九十日の他に、地方巡業あり、海外公演ありで、力士たちも、なかなか怪我を治す暇がない。

        初場所やかの伊之助の白きひげ     万太郎

 ことに、一月十日前後の日曜日から十五日間催される初場所は、正月場所とも呼ばれ、いわば寒中相撲である。
 第二次大戦後、両国回向院にあった国技館が進駐軍に接収され、メモリアル・ホールと名を変えていた頃は、浜町公園の仮設小屋で興行していたという。
 
        川風に一月場所の太鼓かな     五 空

 隅田川の川風が、土俵を取り巻く砂かぶりの平土間へまともに吹き込んで来て、オーバーを着込んだ見物客も震え上がるような寒さであったと思われる。
 名力士双葉山をはじめ、締め込み一丁の力士たちは、どんなにか寒かったことであろう。

 それからしばらくして、蔵前に本建築の国技館が出来はしたものの、これとて、満足なものではなかった。今でこそ両国駅前に、冷暖房完備の堂々たる国技館が聳え立っているが、入ったことは一度もない。すぐ近くの江戸東京博物館へは、いつも通っているが……。


      葉牡丹の渦にひそめる女ぶり     季 己