こぶた部屋の住人

訪問看護師で、妻で、母で、嫁です。
在宅緩和ケアのお話や、日々のあれこれを書き留めます。
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宗教とターミナルケア

2011-05-08 21:59:57 | 訪問看護、緩和ケア
最近読んだ本。
めぐみ在宅クリニックのIナースが、先月ブータン旅行に行ったのだそうです。
なんでブータン??って聞いたら、大下大圓さんという、高野山の高僧で大阿闍梨のお坊さんと一緒のツアーだったと言う事でした。
このかたは、スピリチュアルケアでも有名な方で、その方とのツアーだったそうな・・。

私は、恥ずかしながらその方を知らなかったのですが、たまたまその名前が載った本があったので、読んでみました。
これは、日本ホスピスケア・在宅ケア研究会の飛騨高山大会での、講演者の内容を集めたものでしたが、あらゆる分野からそれぞれの立場でターミナルケアに関わる講師の話は、とても興味深いものがありました。
スピリチュアリティとは何か、日本人の死生観は西洋とどう違うのか・・
7人の講師の方のお話、なかなか面白かったです。

ひびきあう生と死―未来を拓くスピリチュアルケア
日本ホスピス在宅ケア研究会飛騨高山大会
雲母書房



[ブッダとターミナルケア」

2日前まで読んでいた本。
題名が意表を突くというか、ちょっとおもしろそうだったので読んでみました。

ターミナルケアとかスピリチュアルは、死生観をめぐってどうしても宗教と深く関わってきます。
特別にこれと言った信仰はなくても、先祖代々受け継がれたしきたりとか、日本に根づいている「八百万(やおよろず)の神」的な考え方は、私たちの中にもしっかりと刷り込まれていますよね。
正月に神社に行って、お墓参りにお寺に行って、旅行でムスクを見て、クリスマスを祝っちゃうことが出来る日本人は、きっとこの「八百万の神」的な感覚なんじゃないかと思います。
そんな日本人でも、根底には仏教的なしきたりなどに、心のよりどころを持っている場合も少なくないのではと、最近思うようになりました。

「ひびきあう生と死」の中でも、誰かが言っていたと思うのですが(いい加減ですみません・・)仏教では、はるか昔からグリーフケアが行われていたといいます。
大切なご家族を失った悲しみを、一人で抱え込んで苦しまないように、「死」そのものを家族が受け入れていけるようにするものが、初七日や一周忌や3回忌などの法要なのだそうです。
そうして、時間の経過とともに親戚の人も集まって、死を悼み死を受け入れて行くのですね。

そういうのって、やたらめったら高額なお布施を取るイメージがあったのですが、考えてみればそんな事でもなければ、故人に関わる親族が顔を合わせる事もないですし、一人の死を巡ってみんなで会うのは、よっぽど遺産相続とかで関係が悪くない限り、すごくうれしかったり懐かしかったりしますね。

ブッダのターミナルケア
吉元 信行
法蔵館


この著者も、大谷大学で仏教を研究されていた方で、のちに京都にある仏教系ホスピス「ビハーラ」の創始者や看護師、研究者などとターミナルケアの研究をされている方でした。

内容は、そのまま仏陀の晩年の説法の解釈をしながら、実際の足跡をたどり、入滅までの経過を「人間仏陀」として捉えていったものでした。
仏教を究極的な社会福祉ととらえ、キリスト教との考え方の違いなども書かれており、とても分かりやすく書かれていました。

ターミナルケアとっても、本当に奥が深いですね。
たまには、こういう本もいかがでしょうか?

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2 コメント

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喪失から立ち直るために (miuraですぅ)
2011-05-09 21:32:06
必要なものとして、「新しい物語」と「儀式」って習いました。
過去を振り返り、これまでの人生(物語)を意識して新たに解釈し直すことと、節目としての儀式が大切である。

そういった視点で、葬儀とか初七日とか49日とか仏教の儀式というのは、とてもうまくできているなあって感じます。
キリスト教でも50日祭とかあるけど、救いって何?ってというところが違うので、それぞれの人にしっくりくるものがあるんでしょうね。

日本に限らず、土着の民間信仰とか、宗教とまではいかないけれど、思想や道徳というのも、おもしろくてやめられません。
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とても面白いですよね。 (こぶた部屋の住人)
2011-05-09 22:15:59
私は、今年の母の命日にお墓参りに行きそびれたことが、すごく後ろめたくてしかたありません。
これも、日本人の死生観や、お墓に対する畏怖の念などからくるものなのでしょうね。

反面、お墓参りでお墓に向かっていろんなことを話しかけると、すごく安心したりもしますよね。

やはり、私的には仏教的な考え方のほうが、しっくりくるようです。
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