猪突猛進 鈴木研究室へようこそ

関西医療大学大学院 教授である鈴木俊明研究室の紹介や鈴木が日頃考えている教育・臨床・研究への思いを熱く語ります。

動作を正しく解釈できる能力を身につけることのできる重要性を大学教員は気づかないといけない

2022-06-11 07:49:00 | 日記

現在、臨床実習前の3年生に患者さんの動作を見て、正しく動作を解釈する学習をしています。私自身、非常に熱が入っています。それには理由があります。

 

大学院の授業やセラピストへの勉強会などで臨床動作分析の講義をしており、動作解釈を話しています動作の見方を誤解していることが多いように思います。セラピスト自身の目で動作を見ているわけであるが、明らかに間違って判断していることがある。例えば、歩行の立脚期で対側に身体が傾斜するような動作を見るときに、多くの方が立脚側の股関節内転の動きであると短絡的に判断するようなことです。対側に身体が傾斜するのは、多くの要因があるわけです。このような誤解を是非、無くしたいと思うわけです。

 

S N Sの記事などで、動作を運動学で解釈することが本当に必要かというような内容の記事を見ることがあります。間違った運動学的な解釈を、さも正しいように主張することがあるとすると、動作を運動学で間違った解釈することとなり問題です。解釈を間違ってはいけないとは思います。また、長年、動作分析を一緒に勉強してくれた仲間が、「先生の指導は正しいし、細かい。しかし、そこまで細かく動作を判断することができなくても仕事は成り立つ」と言って離れてしまったことがありました。これは私にとって非常に衝撃であり、我々セラピストが動作を正しく判断できなくて良いということになったら、我々は何の価値を見出せるか という疑問感じます。

 

正しい動作解釈には動作のストーリーを考えることが必要です。なぜ、こんな動きをしているのか? 健常者の動作との相違点を見つけるだけが必要なのではなく、その動きが患者さんにとって問題な動作であるか、代償としての動作なのかを判断するわけです。脳血管障害片麻痺患者さんの動作であれば、麻痺側の動作だけでなく、非麻痺側の動きがどのように関連しているかを考えることが重要です。私の動作解説では、麻痺側の動きを良くするためには、まずは非麻痺側の動きを改善させることが重要である というコメントをすること非常に多いです。また、運動器疾患の動作解釈の方が更に複雑で、例えば変形性膝関節症で人工関節などの外科的手術をされている患者さんであれば、膝関節機能が正常に近くなっても動作は改善しないことが多いですね。それは、術前の動作を想像して見ることができないといけないからです。術前に膝関節の運動障害、疼痛などがある場合には、そこを回避して動くわけです。その動作が、患者さん特有な動作になってくるわけです。その動作を想像しながら動作解釈をしないといけないわけです。そのため、神経疾患より圧倒的に運動器疾患の方が動作解釈は複雑であり、そのために動作解釈する面白さは増えることにもなります。

正しく動作解釈できることが正しい評価につながり、その正しい評価が正しい治療につながる このポリシーを常に持ち、仲間の皆さんには今後も熱く伝える必要があると考えています。

 

学生には難しい内容かも知れませんが、今後も熱く語っていきたいと思います。私は現在、大学院の講義が中心になり、学部の授業は、理学療法学科3年生では脳血管障害理学療法学、ヘルスプロモーション整復学科3年生では動作分析学が私の主担当科目です。私のようなもう数年間で定年を迎える年齢の教員ではなく、若手の元気で優秀な教員の方が綺麗に教えてくれるのでしょうね。でも、今の私の生きがいは、学部のゼミ生、大学院生が非常に熱心に努力してくれています。宝ですね。大切にしたいと思います。


実習後の発表会で

2022-06-01 08:26:00 | 日記
我が大学の4年生は先週で長期実習の2回目が終了し、次の長期実習までの間にゼミ単位で症例報告会を行います。私は以前からイベント的な報告会が好きではなく、私が参加させていただくと質問を積極的にさせてもらうので、どうしても時間を超過する傾向にありました。今回はゼミ単位ということで、発表と質疑応答を含めて一人1時間かけて実施します。

私の専門でもあり、理学療法士にとっては絶対に必要である動作分析を中心に議論しています。患者さんは治さないと意味がない これをスローガンに問題点の把握とその理解ができているかが大切になります。

学生にとって有益な時間になっているとは思います。 治せるセラピスト 本学理学療法学科のスローガン  改めて考えないといけません。