すとう信彦 & his band

社会起業家(チェンジメーカー)首藤信彦の日常活動とその仲間たち

安倍政権のスタートダッシュから透けて見えるもの

2012-12-31 21:12:44 | Weblog
 これまで何度も選挙を戦ってきた。そして残念ながら何度か落選の憂き目を見たのだが、それでも選挙ごとに戦っている相手も自分の課題もよく見えていたと思う。ところが、今回の選挙はいったい誰と戦っているのかわからないという気持ちが残った。むろん当面の対抗は自民党なのだろうが、それ以外に、「新党」なるものの存在がはっきり把握できていなかったと思う。結果的に圧倒的な議席を獲得した自民党だが、選挙区で自民党の影に脅威を感じたことは一度もない。それなら新党はどうかというと、新党はいったいどういう理念や哲学あるいは運動体なのか、どういう社会をつくろうとしているのか、まったく最後までわからなかった。橋下氏の維新の会にしても、なぜあれだけ批判されたのが、これほどの議席を取るのか、なぜ「未来」なんて政党ができて、それに「生活」がなだれ込んで来たりするのか...意味も意義もわからないような混乱と混迷の激戦だったと思う。
 しかし、安倍首相のまだ首班指名もない時期からの狂気のような猛烈なスタートダッシュを見て、そしてその危なっかしい姿や政策にほとんどメディアの批判がないことを見ると、ようやく、今回の選挙が何だったのか、そして一体誰と闘っていたのか、よく理解できるようになったと思う。それは民主党政権下で利権を失った利権集団・利権構造の総体だ。民主党政権誕生で利権を失った、半世紀を超える自民党長期政権の中で確立した利権構造や既得権益に巣食うやからのすさまじい怨念と旧体制への復帰の執念がその実態だ。3年間、耐えに耐えて、もう我慢ができないところで転がり込んできた政権には恥も外聞もなく一瞬でも早く利権構造を回復してほしいのだろうと思う。
 そしてそうした旧秩序への回帰をめざす怨念集団一員がマスメディアてあることは疑いない。民主党政権時代に連日のごとくテレビで民主党批判を繰り返す「政治評論家」は要するに自民党評論家であって、民主党のことは何も知らないと言っても過言ではない。小生も3期で、民主党でも論客として悪名(?)は鳴り響いていたと思うが、テレビで活躍する「政治評論家」とは誰一人として会って話したことも、名刺交換したことすらない。彼らは要するに自分たちが新人記者時代から苦労して食い込んだ自民党以外には人脈も情報資産も持っていないのだ。だから一刻も早く、自分たちの権益が確保できる政治に戻したかったのだろう。さしたる実績も理念も思想もない橋下氏の一言一言を毎日のようにとりあげて大報道していた彼らの心情もわからないではない。50名を超える勢力になった橋本氏の露出度が激減したが、それはもう役割が終わったからなのだろうか。
 幸か不幸か、また残念ながら、彼ら復古主義利権集団の期待は現実世界から冷たくあしらわれるに違いない。やはり旧利権集団が失った3年の間に、もう世界も日本社会も大きく変容しているからだ。どんなに権益を熱望しても、もうそこからは絞り出すことができないのだ。願わくはそうした時代に取り残されたゾンビのような利権集団のかく乱が、これ以上、日本の残された数少ない回復のチャンスをつぶさずに、歴史の逆流現象としてのみ後世に記憶されることだ。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。