会津八一&団塊のつぶやき

会津八一の歌の解説と団塊のつぶやき!

会津八一 1531

2017-09-07 18:48:36 | Weblog
会津八一に関するブログ 447

放浪唫草・第39首(会津八一) 2014・4・25(金)

 自性寺(じしようじ)の大雅堂にて (第1首)  解説

 自性寺は豊前中津町にあり 池大雅(いけのたいが)かつて来りて滞留したりと称し寺中の二室を大雅堂と名づけその襖(ふすま)に彼の書画大小二十余点を貼りつめたり まことに西海の一勝観なり しかるにこの寺今はさだまれる住職もなきばかりに衰へて袴はきたる青年ただ一人ありて見物の客の案内などするのみ そのさま甚だ旅懐をいたましめたり
 彼     池大雅(1723-1776)。今に及びて最も人気ある
       南画家。本名池野秋平。別名は三岳道者、霞樵(かしょう)。
 貼りつめ  作者が、これらの歌を詠みてより、久しからずして、この
       墨蹟を、悉(ことごと)く剃刀(かみそり)かなどにて、襖より
       切り抜きて盗み去りしものあり。それより後今日に至るも、
       遂に行くところを知らずといふ。因(ちなみ)にいふ、昭和
       五年(1930)平凡社発行の『書道全集』第廿一巻には、
       これらの墨蹟のうち五点を掲載せり。
               (八九、九〇、九一、九二、九三頁参照)
       
  むかしびと こころ ゆららに もの かきし
         ふすま に たてば なみだ ながるる

   (昔人こころゆららに物書きし襖に立てば涙流るる)  

 人をあまり褒めない八一だったが、池大雅は評価した。