会津八一&団塊のつぶやき

会津八一の歌の解説と団塊のつぶやき!

会津八一 2153

2019-02-28 17:31:56 | Weblog
会津八一に関するブログ 962

榛名・第14首(会津八一) 2019・2・28(木)   解説

 三日榛名湖畔にいたり旅館ふじやといふに投ず(第4首)

  おほなら に こなし さき そふ みづうみ の
            きし の いはほ に つる は なに うを


 青い湖、新緑の楢、淡紅の小梨、岩の上の釣り人、一幅の絵。 

会津八一 2152

2019-02-27 19:03:55 | Weblog

会津八一に関するブログ 961

椎名・第13首(会津八一) 2019・2・27(水)   解説

 三日榛名湖畔にいたり旅館ふじやといふに投ず(第3首)

  はるやま の なら の わかば に なく せみ の
            くぐもりて のみ わが よ は をへむ


 歌人としてはまだ名が売れていなかった時期、八一は「私も世間から遠くこもったままで生涯を終えるだろう」と詠む。八一はこうした消極的な一面もあった。 

会津八一 2151

2019-02-26 19:04:25 | Weblog
会津八一に関するブログ 960

榛名・第12首(会津八一) 2019・2・26(火)   解説

 三日榛名湖畔にいたり旅館ふじやといふに投ず(第2首)

  なら の は は いま を はるび と わが たてる
              つか の あひだ も のび やま ざらむ


 「つかのあいだ」は束の間。春の日にどんどん伸びる楢の葉を詠う。 

会津八一 2150

2019-02-25 19:00:40 | Weblog
会津八一に関するブログ 959

榛名・第11首(会津八一) 2019・2・25(月)   解説

 三日榛名湖畔にいたり旅館ふじやといふに投ず(第1首)

  いたり つく やま の みづうみ おほなら の
              ひろは ゆたけく かげろへる かも


 榛名湖(はるなこ)で6首詠む。「かげろふ」は影が出来ると輝くの二つの意味があるが、八一の心情を考えると光り輝くが良いだろう。

会津八一 2149

2019-02-24 18:54:10 | Weblog
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榛名・第10首(会津八一) 2019・2・24(日)   解説

 六月一日吉野秀雄の案内にて多胡の古碑を観たる後伊香保にいたり
 千明仁泉亭に入る翌二日裏山の見晴に登り展望す(第10首)

  かみつけ の そら の みなか に かがよへる
              くも は しづけし いにしへ も かく


 上州群馬の輝く雲に悠久の時を感じ詠む。そこには八一のいにしえへの憧憬がある。

会津八一 2148

2019-02-23 19:09:27 | Weblog
会津八一に関するブログ 957

榛名・第9首(会津八一) 2019・2・23(土)   解説

 六月一日吉野秀雄の案内にて多胡の古碑を観たる後伊香保にいたり
 千明仁泉亭に入る翌二日裏山の見晴に登り展望す(第9首)   

  かみつけ の くに の かぎり と たつ くも の
              ひま にも しろき ほたかね の ゆき


 北の境に広がっている雲の隙間に、武尊山(ほたかやま)山頂の真白な雪がはっきりと見える。

会津八一 2147

2019-02-22 18:57:26 | Weblog
会津八一に関するブログ 956

榛名・第8首(会津八一) 2019・2・22(金)   解説

 六月一日吉野秀雄の案内にて多胡の古碑を観たる後伊香保にいたり
 千明仁泉亭に入る翌二日裏山の見晴に登り展望す(第8首)   

  あかぎ ね の をちかた とほき やまなみ に
           ふたら さやけく くも の よる みゆ


 赤城山のはるか彼方に二荒山(日光男体山)がそびえたち、雲が寄っていくのが見えると詠む。雄大な情景だ。

会津八一 2146

2019-02-21 18:53:17 | Weblog
会津八一に関するブログ 955

榛名・第7首(会津八一) 2019・2・21(木)   解説

 六月一日吉野秀雄の案内にて多胡の古碑を観たる後伊香保にいたり
 千明仁泉亭に入る翌二日裏山の見晴に登り展望す(第7首)   

  むらぎもの こころ はるけし まなかひ に
        なつづく やま の そき たつ を みて


 「むらぎも」は心にかかる枕詞。「そぎたつ」は遠く離れて立つと言う意味。目の前の夏山を見ていると私の心も遠くに漂って動いていくようだと詠む。


会津八一 2145

2019-02-20 19:12:19 | Weblog
会津八一に関するブログ 954

榛名・第6首(会津八一) 2019・2・20(水)   解説

 六月一日吉野秀雄の案内にて多胡の古碑を観たる後伊香保にいたり
 千明仁泉亭に入る翌二日裏山の見晴に登り展望す(第6首)   

  たなぐも を そがひ に なして あまそそる
         あかぎ の ねろ は まなかひ に たつ


 「そがい」はうしろ、「あまそそる」は天に高くそびえること、「ねろ」は嶺。目の前にそびえる赤城山の峰を詠む。



会津八一 2144

2019-02-18 20:12:42 | Weblog
会津八一に関するブログ 953

椎名・第5首(会津八一) 2019・2・18(月)   解説

 六月一日吉野秀雄の案内にて多胡の古碑を観たる後伊香保にいたり
 千明仁泉亭に入る翌二日裏山の見晴に登り展望す(第5首)   

  とね いまだ うらわか からし あしびき の
            やま かたづきて しろむ を みれば


 かたづきて(片付きて、偏付きて)は(あるものに)片側が接して。ここでは川が山に接して、という意味。


   (明日第3火曜日は休みます


会津八一 2143

2019-02-17 19:06:07 | Weblog

会津八一に関するブログ 952

榛名・第4首(会津八一) 2019・2・17(日)   解説

 六月一日吉野秀雄の案内にて多胡の古碑を観たる後伊香保にいたり
 千明仁泉亭に入る翌二日裏山の見晴に登り展望す(第4首)

  みはるかす のら の いづく に すむ はと の
            とほき つづみ と きき の よろしき


 はるかに見渡す野のどこかにいる鳩の声が遠い鼓のように聞こえると言う。大自然の中で解放された八一の姿が浮かぶ。 


会津八一 2142

2019-02-16 18:54:25 | Weblog
会津八一に関するブログ 951

榛名・第3首(会津八一) 2019・2・16(土)   解説

 六月一日吉野秀雄の案内にて多胡の古碑を観たる後伊香保にいたり
 千明仁泉亭に入る翌二日裏山の見晴に登り展望す(第3首)

  この をか の うめ の ふるえだ のび はてて 
           なつ に か むかふ きる ひと なし に

 
 古い枝が伸び放題で手入れがしてない。「きるひとなしに」は戦時でひとがいないことを暗示するか?

会津八一 2141

2019-02-15 19:05:23 | Weblog
会津八一に関するブログ 950

榛名・第2首(会津八一) 2019・2・15(金)   解説

 六月一日吉野秀雄の案内にて多胡の古碑を観たる後伊香保にいたり
 千明仁泉亭に入る翌二日裏山の見晴に登り展望す(第2首)

  やまつつじ うつろふ なべに おにつつじ
        もゆる たをり に のぼり いで に けり 


 たをり(撓り)とは山の稜線(尾根)のくぼんで低くなっている所。鞍部。たわともいう。赤の山つつじと黄のおにつつじが群生する。


会津八一 2140

2019-02-14 20:43:40 | Weblog
会津八一に関するブログ 949

榛名・第1首(会津八一 山光集) 2019・2・14(木) 解説

 六月一日吉野秀雄の案内にて多胡の古碑を観たる後伊香保にいたり
 千明仁泉亭に入る翌二日裏山の見晴に登り展望す(第1首) 

  たまたまに やま を し ふめば おのづから
         やま の いぶき の あやに かなし も


 初夏の山は瑞々しく心を湧き立たせるものである。大自然の中で足下から伝わる感動を明るく詠んでいる。山光集の名はこの榛名の一連の歌から付けられている。   


会津八一 2139

2019-02-13 19:02:39 | Weblog
会津八一に関するブログ 948

宮川寅雄(山光集について) 2019・2・13(水)
 
 山光集について宮川寅雄は以下のように書く。(昭和46年出版・山光集、解説より)

 「・・・醜い、無惨な戦争に、拒絶の術もなく、時にはひきまわされ、時にはさいなまれ、その歌にさえ、それを投影しないではおれなかったのである。
 しかし、それは、総体的日本人の歴史的宿命でもあった。そして、會津八一もまた、その思想の質を、それによって冷厳に問はれ、試されたのであった。かれは軍国主義やファシズムには無縁ではあったが、国家の伝統の伝説には弱かった。『山光集』に、それをまざまざと見とることができる。しかし、かれは、その陥穽に対して、微妙に警戒を怠らなかったことも汲み取るべきだろう。
 『山光集』には、一部の、戦争の投影を除けば、そこには、平常の、美しい人・會津八一がいる。・・・