会津八一&団塊のつぶやき

会津八一の歌の解説と団塊のつぶやき!

会津八一 1334

2018-03-31 15:36:27 | Weblog
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海ゆかば1 2016・5・27(金)

 居酒屋で二十歳前に集団で歌った歌の中には軍歌があった。平和憲法のもと、民主教育で育ったが軍歌にそれほどの違和感はなかった。ただ、二十歳前後から平和や人の命の貴さを考えるなかで軍歌は自らの中では最も悪しきものとなった。
 その後、先輩が「海ゆかば」を歌っているのを初めて聞いて、その歌詞に驚いた。なぜなら、戦争で死ぬことを前提にしており、死ぬことが己のためでも家族友人恋人のためでもない、天皇のためだというのだ。

    海(うみ)行(ゆ)かば 水(み)漬(づ)く屍(かばね)
    山(やま)行(ゆ)かば 草(くさ)生(む)す屍(かばね)
    大(おお)君(きみ)の 辺(へ)にこそ死(し)なめ
    かへりみはせじ


     (海を行くなら水に漬かる屍ともなろう 
      山を行くなら草の生える屍ともなろう
      天皇のおそばにこそ死のう
      一身を顧みはしない)

 先の戦争で多くの人がこの歌とともに戦死した。

会津八一 1333

2018-03-30 17:58:03 | Weblog
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南京続唱・第4首(会津八一) 2016・5・30(月) 解説

 菩薩戒会(ぼさつかいえ)の唐招提寺にて(第2首)
      
  のき ひくき さか の みだう に ひと むれて 
              には の まさご に もるる ともしび


 戒会のお堂から洩れる灯火に浮かぶ庭の真砂を詠う。堂内の賑やかさと静かな庭が対照的である。

会津八一 1332

2018-03-29 19:21:49 | Weblog
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南京続唱・第3首(会津八一) 2016・5・26(木) 

 菩薩戒会(ぼさつかいえ)の唐招提寺にて(第1首)  解説
      
  よもすがら かいゑ の かね の ひびき よる 
            ふるき みやこ の はた の くさむら 


 古都奈良の深まる秋を鉦の音で浮かび上がらせている。

会津八一 1331

2018-03-28 22:02:00 | Weblog
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南京続唱・第2首(会津八一) 2016・5・22(日) 解説

 唐招提寺にて(第2首)
                    
  あまぎらし まだき も くるる せうだい の
          には の まさご を ひとり ふむ かな


 霧、あるいは小雨など空一面が曇っている寺に一人いる八一、どことなく寂寥感の漂う歌である。

会津八一 1330

2018-03-27 18:48:57 | Weblog
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南京続唱・第1首(会津八一) 2016・5・16(月) 解説

 唐招提寺にて(第1首)  
               
  せきばく と ひ は せうだい の こんだう の
              のき の くま より くれ わたり ゆく


 唐招提寺に一人立ち、暮れゆく姿を金堂の軒の入り込んだ暗いところから始まると詠む。

会津八一 1329

2018-03-26 19:34:12 | Weblog
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会津八一 鹿鳴集・南京続唱(十四首)  2016・5・12(木)

 昭和3年10月十三首、昭和5年一首、計十四首。南京新唱(九十九首)、南京余唱(四十二首)に対する続唱である。
 故植田重雄早大教授は南京続唱についてこう記している。
 「昭和三年秋十月に、美術史研究のために奈良の諸寺を訪れ、十三首ほど生まれた。今までとはちがい学問考証に没頭し、歌は余滴のように詠まれている。・・・・以前の抒情的、パセティックな作品とちがい、一首一首が歌域(かいき)をひろめ、言葉が緊密な構造力をもっている。
 十四首を徐々に紹介する。

会津八一 1328

2018-03-25 19:25:04 | Weblog
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小園・第9首(会津八一) 2016・5・8(日) 解説

 某生の訃(ふ)をききて 
                   
  くれ かねて いざよふ はる の むさしの の
            いづれ の そら に きみ を もとめむ 


 親しかった友人への挽歌、小園9首の最後の歌。

会津八一 1327

2018-03-24 19:13:32 | Weblog
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小園・第8首(会津八一) 2016・5・3(火) 解説

 折りにふれてよめる(第3首) 
                   
  ふじ の ね の そこ つ いはね に もゆる ひ の
             あかき こころ は しる ひと も なし


 上3句は(八一の)あかきこころを導く序詞。

会津八一 1326

2018-03-23 19:07:00 | Weblog
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小園・第7首(会津八一) 2016・4・27(水)  解説

 折りにふれてよめる(第2首)
                   
  さき ををる もも の したみち ひたすらに
           くだち も ゆく か よる の をすぐに 


 伊邪那岐(イザナギ)、伊邪那美(イザナミ)の神話を知らないとわかりにくい。解説を参照して!

会津八一 1325

2018-03-22 19:39:20 | Weblog
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小園・第6首(会津八一) 2016・4・21(木) 解説

 折りにふれてよめる(第1首) 
                   
  あり わびぬ ほとけ いまさば をろがまむ
        やむ と しも なき よる の まくら に


 病身の八一が仏にすがると詠む。弱音を吐かない八一には珍しい。

会津八一 1324

2018-03-21 19:06:10 | Weblog
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小園・第5首(会津八一) 2016・4・15(金) 解説

 仏伝をよみて
                               
  みほとけ を やどし まつりて くさ の と の
              あかつきやみ に かしぐ かゆ かな


 伝記にでてくる貧しい人が釈迦をもてなす姿を詠む。

会津八一 1324

2018-03-19 20:44:32 | Weblog
会津八一に関するブログ 630

小園・第4首(会津八一) 2016・4・10(日) 解説

 ひびき なき サジタリアス の ゆみ の を の      
            かど の かれき に かかる このごろ


 サジタリアスとは射手座のこと。八一は天文学に造詣が深い。

     (明日第3火曜日は休みます)

会津八一 1323

2018-03-18 19:02:49 | Weblog
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小園・第3首(会津八一) 2016・4・4(月) 解説

 あをやぎ の えだ も とををに あわゆき の       
          ふり つむ なべに つゆ と ちり つつ


 柳の枝がたわむほどに降り積もった春の淡雪とその消えゆく姿をとらえて詠う。

会津八一 1322

2018-03-17 20:43:53 | Weblog
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小園・第2首(会津八一) 2016・3・29(火) 解説

 はる たけし には の やなぎ の はがくれ に      
           はと ふたつ きて ねむる ひ ぞ おほき


 広大な秋艸堂の柳にとまる2匹の鳩、生涯独身で通した八一にはどのように映ったのだろう。

会津八一 1321

2018-03-16 18:47:17 | Weblog
会津八一に関するブログ 627

小園・第1首(会津八一) 2016・3・25(金) 解説
 
 たち わたす かすみ の なか ゆ とり ひとつ      
           こまつ の うれ に なき しきる みゆ


 第1歌集「南京新唱」を刊行したころ、市島春城の別荘を借りた八一はここを秋艸堂と名付け、先生として学者としての豊かな学求生活を送る。