会津八一&団塊のつぶやき

会津八一の歌の解説と団塊のつぶやき!

会津八一 1494

2017-07-31 19:38:33 | Weblog
会津八一に関するブログ 410

放浪唫草・第7首(会津八一) 2013・11・20(月)

 厳島にて  解説

  みやじま と ひと の ゆびさす ともしび を
        ひだり に み つつ ふね は すぎゆく    

   (宮島と人の指差す灯火を左に見つつ船は過ぎゆく)

 海上から宮島の夜景を見ながら、九州への旅は続く。

会津八一 1493

2017-07-30 20:00:18 | Weblog
会津八一に関するブログ 409

放浪唫草・第6首(会津八一) 2013・11・14(木)

 尾道にて(第2首)  解説

  わが すてし バナナ の かは を ながし ゆく
          しほ の うねり を しばし ながむる    

  (我が捨てしバナナの皮を流しゆく潮の流れをしばし眺むる)

 誰もがしてみたい、あるいは実行した楽しいことである。

会津八一 1492

2017-07-29 21:02:07 | Weblog
会津八一に関するブログ 408

放浪唫草・第5首(会津八一) 2013・11・5(火)

 尾道にて  解説

  ほばしら の なか より みゆる いそやま の
         てら の もみぢは うつろひ に けり    

  (帆柱の中より見ゆる磯山の寺の紅葉葉うつろひにけり)

 船旅の八一は穏やかな心で陸地の寺の紅葉を眺める。

会津八一 1491

2017-07-28 22:36:44 | Weblog
会津八一に関するブログ 407

薬師寺・水煙 2013・11・1(金)

 水煙は仏塔の最上部にある火炎状の銅版で、火の字を嫌って水煙とよぶ。会津八一はその姿をこう詠んだ。この歌は八一の代表作の一つである。

 薬師寺東塔(第2首)   解説

  すゐえん の あま つ をとめ が ころもで の 
            ひま にも すめる あき の そら かな
 
  (水煙の天つ乙女が衣出のひまにも澄める秋の空かな)

 今、薬師寺では「東塔水煙降臨展」(~11・30)が開催され、この「あまつをとめ(飛天)」が34mの高さから61年ぶりに降ろされ、間近に見れるという。先日から飛天(松久宗琳作)の浮彫を彫り始めたので余計に見に行きたいと思っている。
 奈良の友人・鹿鳴人は薬師寺を訪れ、水煙を詠った。

   水煙の天つ乙女ら舞い降りて吹く横笛の凍れる調べ
                 (毎日新聞・やまと歌壇 入選)

会津八一 1491

2017-07-28 22:36:44 | Weblog
会津八一に関するブログ 407

薬師寺・水煙 2013・11・1(金)

 水煙は仏塔の最上部にある火炎状の銅版で、火の字を嫌って水煙とよぶ。會津八一はその姿をこう詠んだ。この歌は八一の代表作の一つである。

 薬師寺東塔(第2首)   解説

  すゐえん の あま つ をとめ が ころもで の 
            ひま にも すめる あき の そら かな
   (水煙の天つ乙女が衣出のひまにも澄める秋の空かな)

 今、薬師寺では「東塔水煙降臨展」(~11・30)が開催され、この「あまつをとめ(飛天)」が34mの高さから61年ぶりに降ろされ、間近に見れるという。先日から飛天(松久宗琳作)の浮彫を彫り始めたので余計に見に行きたいと思っている。
 奈良の友人・鹿鳴人は薬師寺を訪れ、水煙を詠った。

   水煙の天つ乙女ら舞い降りて吹く横笛の凍れる調べ                  (毎日新聞・やまと歌壇 入選)

会津八一 1490

2017-07-27 22:53:52 | Weblog
会津八一に関するブログ 406

放浪唫草・第4首(会津八一) 2013・10・31(木)

 鞆の津にて(第2首) 解説 

  ふね はつる あさ の うらわ に うちむれて
         しろき あひる の なく ぞ かなしき    

 (船泊つる朝のうらわにうち群れて白き家鴨の鳴くぞかなしき)

 海辺で鳴く家鴨が愛おしい。瀬戸内を行く旅情である。


会津八一 1489

2017-07-26 19:18:36 | Weblog
会津八一に関するブログ 405

放浪唫草・第3首(会津八一) 2013・10・27(日)

 鞆の津にて  解説

  きてき して ふね は ちかづく とものつ の
        あした の きし に あかき はた たつ    

   (汽笛して船は近付く鞆の津の朝の岸に赤き旗立つ)

 瀬戸内海航路の要所、鞆の浦に船は近づく。
 この古い港町の雰囲気が気に入った宮崎監督が『崖の上のポニョ』の舞台とした。

会津八一 1488

2017-07-25 19:49:38 | Weblog
会津八一に関するブログ 404

放浪唫草・第2首(会津八一) 2013・10・22(火)

 瀬戸内海の船中にて  解説

  わたつみ の みそら おし わけ のぼる ひ に
            ただれて あかき あめ の たなぐも 
      
  (わたつみのみ空押し分け昇る日にただれて赤き天のたなぐも)

 船で朝を迎えた瀬戸内海の雲はただれたように赤く染まっていた。

会津八一 1487

2017-07-24 19:59:00 | Weblog
会津八一に関するブログ 403

放浪唫草・第1首(会津八一) 2013・10・17(木)

 大阪の港にて   解説

  をちこち に いたがね ならす かはぐち の
       あき の ゆふべ を ふね は いで ゆく    

  (をちこちに板金鳴らす川口の秋の夕べを船は出でゆく)

 「憂患」の山田温泉(山中高歌10首)を経て、今度は西国の旅へ大阪から船出する。

会津八一 1486

2017-07-23 20:14:13 | Weblog
会津八一に関するブログ 402

放浪唫草(会津八一) 2013・10・12(土)

 山中高歌に続いて放浪唫草(63首)を紹介する。

 鹿鳴集・放浪唫草
 “大正十年十月より同十一年二月に至る。
  唫草(ぎんそう)「唫」は「吟」の古字。「吟草」にて「詠草」といふに同じ。


 大正10年6月、「憂患」の山田温泉(山中高歌10首)を契機に、学校運営から学術の道に軸足を移す。その後の奈良行きを経て、同年11月から翌年2月まで西国九州の古寺古跡、石造美術の調査を行うとして西国を遍歴する。その時の歌が放浪唫草である。
 2月18日帰京した八一は、早稲田中学教頭辞任を坪内逍遥に3月22日に申し出て受理される。
 西国遍歴の意義は、捨て身の思いで旅立った病身の道人が大自然や古代の美術のおおらかな精神にふれることによって、心の懊悩煩悩が消え、腎臓障害、神経痛などからも解放され、心身ともに新鮮で充実した時を過ごすなかで生気を蘇らせたことにある。
               (植田重雄著「會津八一の生涯」を参考に)

会津八一 1485

2017-07-22 23:02:38 | Weblog
会津八一に関するブログ 401

山中高歌・第10首(会津八一) 2013・10・4(金) 解説

 かみつけ の しらね の たに に きえ のこる
          ゆき ふみ わけて つみし たかむな 
  
 (かみつけの白根の谷に消え残る雪踏み分けて摘みしたかむな)

 山中高歌の最終歌。 山田温泉での時を経て、憂患を克服しつつ穏やかになった八一は坪内逍遥に筍を送る。

会津八一 1484

2017-07-21 19:59:00 | Weblog
会津八一に関するブログ 400

山中高歌・第9首(会津八一) 2013・9・29(日) 解説

 たにがは の そこ の さざれ に わが うま の 
          ひづめ も あをく さす ひかげ かな    

   (谷川の底のさざれに我が馬の蹄も青く射す日かげかな)

 谷川の水の中の馬の蹄も青く見えるほどの日の光だと言う。憂患から解放されつつある八一は太陽の光も素直に受け入れる。

会津八一 1483

2017-07-20 19:57:33 | Weblog
会津八一に関するブログ 399

山中高歌・第8首(会津八一) 2013・9・25(水) 解説

 かぜ の むた そら に みだるる しらくも を 
         そこ に ふみ つつ あさかは わたる 
  
    (風のむた空に乱るる白雲を底に踏みつつ朝川渡る)

 朝川のその川底に白雪が映っている。それを踏んで渡る八一の心境はどうだったのだろう。

会津八一 1482

2017-07-19 20:27:30 | Weblog
会津八一に関するブログ 398

山中高歌・第7首(会津八一) 2013・9・21(土) 解説

 あをぞら の ひる の うつつ に あらはれて 
         われ に こたへよ いにしへ の かみ    

    (青空の昼のうつつに現れて我に答えよ古の神)

八一の叫びである。山中高歌を代表する1首。

会津八一 1482

2017-07-17 19:58:04 | Weblog
会津八一に関するブログ 397

山中高歌・第6首(会津八一) 2013・9・14(土) 解説

 いにしへ の ヘラス の くに の おほがみ を
           あふぐ が ごとき くも の まはしら   

  (いにしへのヘラスの国の大神を仰ぐがごとき雲の真柱)

 雲がギリシャの神のように見えると言う。憂患の八一に神々はどう語りかけたのだろう。

        明日第3火曜日は休みます。