会津八一&団塊のつぶやき

会津八一の歌の解説と団塊のつぶやき!

宗教の意味(キリスト教)  SURUME

2008-07-28 22:41:49 | Weblog
 メシア(救世主)待望の中で、多くの「メシア」が出現した紀元前後の地中海東岸で、ナザレのイエスはキリスト=メシアとなって、後のキリスト教の神となる。しかし、当時の体制とは相容れない福音の思想は、彼自身を十字架に、十二使徒のほとんどを死に追いやる。
 「健康な者には医者はいらない。いるのは病人だ」 宗教は幸福な者の中に出現するわけではない。精神的あるいは物質的弱者の救いとして求められる。だが、帝政ローマによる民心掌握とユダヤ教弾圧のためのキリスト教国教化(392年)でイエスの教えは変質する。(続)

 小説「聖書」 ウォルター・ワンゲリン著より
 イエスがいやしをおこない、福音を伝えるようになったとき、その対象となったのはつねに貧しい者、差別された者、病気に苦しむ者たちで、律法の立場からはけがれている、悪だとみすてられていた人々だった。「健康な者には医者はいらない。いるのは病人だ」という言葉どおり、イエスはたえず彼らとむきあい「裸の者に着せ、渇いた者に飲ませ、貧しい者にあたえる」という律法本来の精神を実行していった。・・・・・・・こうして、体制側との対立を深め、イエスは十字架への道をすすんでいくことになる。・・・・

既成宗教の失墜   SURUME

2008-07-25 23:54:05 | Weblog
 封建社会から自由平等博愛を旗印に近代社会=資本主義社会が生まれ、現時点ではその体制が社会の基本として是認されている。だが、この社会も沢山の矛盾が吹き出し、その解決の方法が模索されてきた。そこから生み出された一つがマルクス主義だったが、これはすでに終焉したと言える。
 その中で、宗教への期待が高まったが、キリスト教、仏教、イスラム教などの既成大宗教は、本当の困っている人たちの拠り所になるのではなく、資本主義(体制、政権)と共存する事によってのみ生き残ってきた。このことを既成宗教の失墜とする。蟹工船を読みだした報われない人たちをこの宗教は助けてはくれない。市場原理主義を掲げ、フリーター資本主義を作りだした現政権の一翼を担っているのが某宗教団体であることを考えれば自明のことである。

蟹工船ブーム  SURUME

2008-07-24 23:27:43 | Weblog
 多くが低賃金で不安定な非正規雇用者が、働く者の35%に達する現状は、表面的には蟹工船に描かれた世界に似ている。だが、マルクス主義イデオロギーと国家(ソビエト連邦)が存在し、その下でプロレタリア文学として書かれた蟹工船に現在を二重写しにしてみるのはおかしい。
 ベルリンの壁崩壊に象徴されるマルクス主義と主要国家の終焉、さらに既成宗教(イデオロギー)の失墜の中で、一人勝ちした現代資本主義社会における問題なのだ。
 年収200万円に満たないフリーターを含む非正規雇用者(35%)に支えられる日本の現状をある学者は「フリーター資本主義」と呼ぶ。どうしてこれほどまでに格差が広がったのか?をこの学者・盛岡孝二の「働きすぎの時代」(岩波新書)を参考に考えてみたい。

作家・澤地久枝3   SURUME

2008-07-21 00:42:43 | Weblog
 この国の近未来を想像し、身震いした澤地を40年来の友、作家・小田実の死が襲う(19・7・30)。その衝撃からの立ち直りは、小田の遺志を継ぐ活動からだった。戦争までやりかねない大きな力をもった大きな人間たちとではなく、力は小さいが「破滅への道」には「私は嫌だ」と言いうる隣の小さな人たちと手をつないでいく人間でいようと語る。
 年金や医療費問題にも怒りを隠さない。「・・・・一生懸命働いて、ある年齢に達したら、穏やかな老後があるというのが、本来の国のあり方だと思う。・・・・」
 有識者の言葉を連載した毎日夕刊の「おちおち死んではいられない」は澤地で完結した。9月刊行のこの本はずっしりと重い。

作家・澤地久枝2   SURUME

2008-07-20 20:53:10 | Weblog
 「昭和の語り部」として多くのノンファクション作品を発表した澤地久枝(77歳)は九条の会・呼びかけ人の一人として「実現不能の理想論とか、女書生の夢などと言われることは覚悟の上」で、現状を平和憲法の原点へかえしたいと言い「もうこの国は駄目だと投げてしまうのは簡単だけども、投げて得るものは何かと考えたら、無理にも希望を持っていたいし、希望を持ち続けるには勇気がいるのです」と決意を語り、さらに続ける。
 「いざ、有事」という時、政治家や金持ちは一線では役に立たない、もちろん年寄りもそうだ。なら、ボーナスも退職金もない不安定な非正規雇用者(今では労働者全体の3分の1超)が、ちょっといい条件を示されたら、戦争に出かけていくだろう。もう、そういう社会状況が出来ている。この国の近未来を想像し、身震いしたと言う。(続く)

作家・澤地久枝1     SURUME

2008-07-19 22:35:14 | Weblog
 澤地久枝は小林多喜二の蟹工船ブームの中で「あの時代は、人権なんてものは何もなかった。それでも、あまりの労働の過酷さに、死を覚悟して立ち上がった人たちの話です。今も過労死するほど残業させられたりする、ひどい労働条件はある。しかし、今は組合もストライキも会社側と交渉することも、すべて合法です。そういう権利を持っていながら、蟹工船にわが身をなぞらえるのは、矛盾なんです。・・・・」と言い「投獄から獄中死があった時代と人間的な要求を掲げても、そのことだけでは、投獄されたり、殺されたりすることない今に生きていることをもっと自覚し大切に」(毎日新聞)と展開する。
 過酷な現状を容認しているわけではない、もっと歴史を学んで、今と近未来を考えなさいと言っている。(続く)