会津八一&団塊のつぶやき

会津八一の歌の解説と団塊のつぶやき!

会津八一 714

2015-04-30 20:30:54 | Weblog
土くれ(第2首)      解説

十月の末つかたなりけむ喜多武四郎予が胸像を作り持ち来りて示すを見るに頗る予が意を獲たり乃ち喜多が携へたる鉄の箆をとりてその背に秋艸道人の四字を刻す

 つつみ きて ひらけば しろき つちくれ の 
       われ に にる こそ かなし かり けれ

    (包み来て開けば白き土くれの我に似るこそかなしかりけれ)  

会津八一 713

2015-04-29 20:21:51 | Weblog
土くれ(第1首)      解説

十月の末つかたなりけむ喜多武四郎予が胸像を作り持ち来りて示すを見るに頗る予が意を獲たり乃ち喜多が携へたる鉄の箆をとりてその背に秋艸道人の四字を刻す

 あさひ さす ひろき つくゑ に ふろしき の  
         つつみ を おきて とも は しづけし

       (朝日さす広き机に風呂敷の包みを置きて友は静けし)  


会津八一 712

2015-04-28 20:09:44 | Weblog
会津八一 寒燈集・土くれ(七首)    昭和十九年十月

土 く れ  「彫刻家・喜多武四郎が八一の胸像を作り、その塑像を持ってきた。
       とても気にいった八一は土くれ7首を詠う」

1 土くれ(第1首)
   十月の末つかたなりけむ喜多武四郎予が胸像を作り持ち来りて示すを
   見るに頗る予が意を獲たり乃ち喜多が携へたる鉄の箆をとりてその背に
   秋艸道人の四字を刻す
     あさひ さす ひろき つくゑ に ふろしき の 
                 つつみ を おきて とも は しづけし      
2 土くれ(第2首)
     つつみ きて ひらけば しろき つちくれ の 
                 われ に にる こそ かなし かり けれ
3 土くれ(第3首)
     わが とも が いくひ の ちから かたまけて 
                 けづりし つち の かげ さやか なり        
4 土くれ(第4首)
     あき たけて はな なき まど の あさ の ひ に 
                 しろき そざう の もの おもはしむ
5 土くれ(第5首)
     なづみ こし ひとよ はるけし つくり きて 
                 ひと の しめせる おもかげ を みて
6 土くれ(第6首)
     つちくれ の この おもかげ を なつかしみ 
                 わが な きざみつ その かた の へ に  
7 土くれ(第7首)
     わが こふる とほき ひじり の おもかげ を 
                 よりて しぬばむ つちくれ も がも

会津八一 711

2015-04-27 19:57:47 | Weblog
山精(第5首)      解説

七月二十九日さきに童馬山房主人より贈られし歌集「暁紅」をとり出してふたたび読みもてゆくに感歎ますますふかしこえて五日この五首を記して箱根強羅なる山荘にこもれる主人のもとに寄す

 いかで われ ひとたび ゆきて うつしみ の 
       きみ と あひ みむ あき の ひかげ に

       (いかで我一度行きてうつしみの君と相見む秋の日影に)  


会津八一 710

2015-04-26 20:24:30 | Weblog
山精(第4首)       解説

七月二十九日さきに童馬山房主人より贈られし歌集「暁紅」をとり出してふたたび読みもてゆくに感歎ますますふかしこえて五日この五首を記して箱根強羅なる山荘にこもれる主人のもとに寄す

 いにしへ を わが する ごとく のち の よ は 
          きみ を こほしみ たへ がて に せむ

       (古を我がするごとく後の世は君を恋ほしみ堪え難てにせむ)  


会津八一 709

2015-04-25 22:38:29 | Weblog
山精(第3首)      解説

七月二十九日さきに童馬山房主人より贈られし歌集「暁紅」をとり出してふたたび読みもてゆくに感歎ますますふかしこえて五日この五首を記して箱根強羅なる山荘にこもれる主人のもとに寄す

 ふりさけて おもへば とほき いにしへ ゆ 
       かかる きはみ に たれ か うたひし

      (振り放けて思へば遠き古ゆかかる極みに誰か詠ひし)  


会津八一 709

2015-04-25 22:38:29 | Weblog
山精(第3首)      解説

七月二十九日さきに童馬山房主人より贈られし歌集「暁紅」をとり出してふたたび読みもてゆくに感歎ますますふかしこえて五日この五首を記して箱根強羅なる山荘にこもれる主人のもとに寄す

 ふりさけて おもへば とほき いにしへ ゆ 
       かかる きはみ に たれ か うたひし

      (振り放けて思へば遠き古ゆかかる極みに誰か詠ひし)  


会津八一 708

2015-04-24 22:52:24 | Weblog
山精(第2首)       解説

七月二十九日さきに童馬山房主人より贈られし歌集「暁紅」をとり出してふたたび読みもてゆくに感歎ますますふかしこえて五日この五首を記して箱根強羅なる山荘にこもれる主人のもとに寄す

 あしびき の やま の すだま と こもり ゐて 
         よみ けむ うた か さよ の くだち を

       (あしびきの山の山精と籠りゐて詠みけむ歌かさ夜のくだちを)  


会津八一 707

2015-04-23 20:43:48 | Weblog
山精(第1首)       解説

七月二十九日さきに童馬山房主人より贈られし歌集「暁紅」をとり出してふたたび読みもてゆくに感歎ますますふかしこえて五日この五首を記して箱根強羅なる山荘にこもれる主人のもとに寄す

 あめつち の いかなる ちから あともひて  
        この ひとまき の われ に せまれる

        (天地の如何なる力あともひてこの一巻の我に迫れる)  


会津八一 706

2015-04-22 20:33:09 | Weblog
会津八一 寒燈集・山精(五首) 昭和十九年七月

山   精 「斎藤茂吉の歌集・暁紅(ぎょうこう)に心打たれ、作歌した6首を
      茂吉に送る。その内の5首を山精(すだま)として寒燈集に入れた」
                                
1 山精(第1首)
   七月二十九日さきに童馬山房主人より贈られし歌集「暁紅」をとり出して
   ふたたび読みもてゆくに感歎ますますふかしこえて五日この五首を記して
   箱根強羅なる山荘にこもれる主人のもとに寄す

     あめつち の いかなる ちから あともひて 
                 この ひとまき の われ に せまれる      
2 山精(第2首)
     あしびき の やま の すだま と こもり ゐて 
                 よみ けむ うた か さよ の くだち を      
3 山精(第3首)
     ふりさけて おもへば とほき いにしへ ゆ 
                 かかる きはみ に たれ か うたひし        
4 山精(第4首)
     いにしへ を わが する ごとく のち の よ は 
                 きみ を こほしみ たへ がて に せむ
5 山精(第5首)
     いかで われ ひとたび ゆきて うつしみ の  
                 きみ と あひ みむ あき の ひかげ に


会津八一 705

2015-04-20 19:58:53 | Weblog
泰山木(第5首)      解説

 さき はてて ひとひ の うち に うつろへる 
        ましろき はな の こころ を ぞ おもふ

        (咲き果てて一日の内に移ろへる真白き花の心をぞ思ふ)

        ーー  明日第3火曜日は休みます ーー