このフェリックス・ゴンザレス=トレスとロバート・ストーの対談で興味深いのは、トレスがどうやらヘレン・フランケンサーラーに影響を受けていたらしいということだろう。この対談を翻訳した学徒は何かしら誤解しているようだが、トレスはフランケンサーラーの、その政治性無き政治性を高く評価していたのである。確かに普通はフランケンサーラーについて、例えばこのような作品主義的にナイーブな見解しか持たないものだ。しかし実は誰よりも成功した政治的コンセプチュアリストであるというフランケンサーラーの本質を、賢いトレスは鋭く見抜いていたのであった。トレス以後の現代アートについて、フランケンサーラーの政治・社会性から考えてみたい。
このフェリックス・ゴンザレス=トレスとロバート・ストーの対談で興味深いのは、トレスがどうやらヘレン・フランケンサーラーに影響を受けていたらしいということだろう。この対談を翻訳した学徒は何かしら誤解しているようだが、トレスはフランケンサーラーの、その政治性無き政治性を高く評価していたのである。確かに普通はフランケンサーラーについて、例えばこのような作品主義的にナイーブな見解しか持たないものだ。しかし実は誰よりも成功した政治的コンセプチュアリストであるというフランケンサーラーの本質を、賢いトレスは鋭く見抜いていたのであった。トレス以後の現代アートについて、フランケンサーラーの政治・社会性から考えてみたい。